ミールスの実践vol.11「食いしん坊の友人に作るミールス」

此頃都にはやるもの ミールスミールス それからミールス

という落書きがあったようですね。500年くらい前に。いまの東京の南インドっぷりを指しているのだと思われます。残念ながらわたしの住む札幌では、ミールスを食べられる店は、一軒、あるかないか、という状況で、やはり東京との距離を感じます。ところで、東京は東京であって、日本ではない、というのがわたしの考えです。「東京」という特殊な地域だと思います。すごいですよね東京。なんだろうあの集積度。

ということでミールスです。南インド屋は名前の通り南インドっぽいもの、とくにミールスを得意としておりまして、間借りで飲食店の真似事もしていました。二年以上も前の話です。最近は料理教室とスパイス販売をしていて、ミールスがわきにおいやられていますが、やっぱりミールスはおいしいです。素敵な食べ物です。昨日、お客さんがきたので、作りました。

手は日本人 店員Aのもの
ココナッツチャトニ 辛かった
オムレツ  
切ったらこんなかたちに

作ったのは下記の5品です。

  • 米茄子とズッキーニのサンバル sambar
  • トマトラッサム rasam
  • ブロッコリーのポリヤル broccoli poriyal
  • 蕪のクートゥ shalgam kootu
  • ココナッツチャトニ coconut chutney
  • オムレツ omelette

マンゴーピックルと、パパドpapadamは既製品を使いました。パパドは油で揚げるとおいしいです。

ここから、それぞれの簡単なレシピと、どういう出来を狙って作ったのかを、書いていきます。すべて目分量で作っているため、書かれた分量はあてにしないでください。雰囲気です、雰囲気。

茄子とズッキーニのサンバル


今回のサンバルの特徴

  • 野菜は柔らかくしっかり煮込む
  • ダルはトゥールダルとマスルダルを混ぜて使う
  • チリパウダーで辛味を強めにする
  • ヒングも強め
  • 玉ねぎとトマトをつかう
  • 砂糖をちょっと加える

作り方

①トゥールダル3/4cupとマスルダル1/4cup、トマト1/4個、玉ねぎちょっと、ターメリック少し、を圧力鍋で煮る。

②煮えたら小さめに切った米茄子を加えて、時間差でズッキーニも加える。水は、さらっとした粘度になる程度に加える。ズッキーニのほうが火が通りやすい。タマリンドペーストと塩も加える。

③砂糖ちょっと、サンバルパウダー小さじ2、チリパウダー小さじ1、ヒング3ふり、青唐辛子1本、あればコリアンダーリーフ、カレーリーフ、を加えて2分ほど煮込む。テンパリングはしない。

ポイント

  • 塩は強くし過ぎず、つよめの辛味と酸味、それからちょっとの甘味でバランスをとる
  • 砂糖が大切で、これによって、さらっとした口当たりと、味としての満足感を両立させることができる。マスルダルもを使うと、さらっと感が出るので、トゥールダルと混ぜて使った
  • 野菜は小さめに切る

考えていたこと

  • 近所の八百屋に地物の米茄子(128円)があって、手に持ってみると、まあまあ重みがあったので使うことにした。 ズッキーニ(108円)も安かった。インゲン(138円)も使おうと思ったけれど、ま、いいか、とケチ心を出した
  • 食べに来た友人は、大柄で、たくさん食べて、どちらかというとしっかりした味のほうが好み、というタイプなので、そういう味にした。だからといって、玉ねぎ、トマト、砂糖を多くしすぎると、さらっとしたおいしさが損なわれるので、そのあたりは、良い塩梅で。
  • サンバルと米がミールスの土台になるよう、これだけでも満足いくくらいの味にした。
  • 食べてみて、もっと思い切って辛くしても良かったかなあと思った。そうすると、本場感が出る

すでにブログ内で紹介しているレシピとしては、これが近いと思う。

トマトラッサム

特徴

  • ニンニクとトマトをつかう
  • 酸味強め
  • チリパウダはつかわない
  • 胡椒とクミンは粗く潰す

作り方

①にんにく2かけを半分に割って芯を取り除く。クミン小さじ2ブラックペッパー大さじ1は粗く潰しておく。

②鍋にサラダ油大さじ1程度を熱して、マスタードシード小さじ1を弾けさせる。クミンとブラックペッパーも加えて香りが出たら、ニンニクを加える。さっと炒めたらトマト半分くらいを切って加える。かるく火が通ったら、水800mlくらいと、タマリンドペースト、塩、青唐辛子一本、を加えて煮込む。トマトがくたっとすれば出来上がり。あればコリアンダーリーフやカレーリーも加える。

ポイント

  • にんにくの芯をとること
  • 酸味強めで、塩はあまり強くしない
  • 写真ではわかりにくいけど、スパイスやトマトが浮いている出来になるはず

考えていたこと

  • もっとお坊さん系のさらっとラッサムにすることも考えたけれど、強めの味にしたかったのと、夏だから!という理由で、ニンニクとトマトを加えた。食べる人は全員すっぱいもの好きだったので、かなり酸っぱくした。
  • ラッサムの素があるので、さらっと系のラッサムは食べ飽きている可能性もあるな、とも考えた。せっかく作るなら、ラッサムの素とは違う系統のラッサムのほうが嬉しいかなと。

ラッサムだらけのレシピ生地がありますので、ご覧ください。

ブロッコリーのポリヤル

作り方

①ブロッコリー1株を洗って、軸の部分も皮も、ちょっとついている葉っぱっぽいものも全部、まとめてみじん切りにする。フードプロセッサーがあると楽。

②鍋にサラダ油大さじ2程度を熱して、マスタードシード大さじ1を弾けさせ、ウラドダル大さじ1を加える。ウラドダルが色づいたら、手でちぎったホールチリ2本を加える。玉ねぎのみじん切り大さじ2くらいとと青唐辛子のみじん切り1本分を加えて、塩小さじ1弱、ヒング2振り、コリアンダーパーウダー小さじ1を加える。さっと炒めたらブロッコリーを加える。水を少し加えて蒸し焼きにする。

③ブロッコリーに火が通ったらふたを開け、ココナッツ大さじ4程度を加えてさっと炒める

ポイント

  • ブロッコリーを細かくすること。花の部分にもためらわず刃を入れる。それと、ブロッコリーの皮を剥かないこと。食感として大切
  • 塩分は、そのままで食べられるくらいにする。濃くし過ぎない。なぜなら、たくさん食べたいから
  • ココナッツは少なめにする
  • マスタードシードとウラドダルはちょっと多め

考えたこと

  • 八百屋でブロッコリー(98円)が安かったから即決。そこの八百屋の自家農園らしい。以前イオンで売っていた徳島産のものより柔らかく、出来上がりが柔らかくなった。もうちょっと硬い歯ごたえにしたかったので、加熱時間を短くするべきだった
  • 本来、ミールスは、おかずをたくさん食べる、と言うより、米をたくさん食べるものだと思う。だけど、おかずをたくさん食べるのも楽しいので、今回は、ちょっと味薄めにして、そのままでもモリモリ食べられるようにした

だいたいレシピ通りです

蕪のクートゥ

作り方

①圧力鍋にムングダルとひとつかみと、チャナダルひとつかみ、ターメリック少しを入れて煮る。

②蕪の皮をむかず、よく洗う。細かく切る。ダルを煮た鍋に、切った蕪を加える。塩少しを加えて、蕪が柔らかくなるまで煮る。挽いたココナッツを大さじ3くらい加えてさっと煮る。

③別の小さい鍋にサラダ油を熱して、マスタードシードを弾けさせる。蕪と豆の入った鍋に、じゃっとかける。

ポイント

  • 塩を濃くしない。もやっとした味にすること。
  • 蕪を細かく切ること。皮を剥かないこと

考えたこと

  • サンバル、ラッサム、ポリヤル、まで決まっていて、なにか味のしないもにょっとしたもの、つまりクートゥを作ろうと思っていた。八百屋で蕪(80円)が異常に安かったので即決した。本当は、ハヤトウリやへちまがあると良いと思う
  • 味のバランスとして、もやっとさせたかった。単体で食べたらおいしくないくらいの味にしたかった。だから、このクートゥを作るときは「このままじゃおいしくないよ!!」という脳の制止を振り切らないといけない。
  • 味のメリハリをつけようとして、どれも強くするのでなく、こういうクートゥで弱パンチを混ぜると事がプロだよね、ふんふん、と思いながら作った。自分で自分をほめるの大事。

すでにレシピが書かれています。すごいねこのブログ!

ココナッツチャトニ

作り方

①ミキサーに、ココナッツシュレッド、水、生姜、塩、青唐辛子、を全部入れてペーストにする。小鍋に移して、さっと煮る

ポイント

  • 塩はうすめ
  • 青唐辛子をがっちり効かせる。当然辛い
  • 火をさっと通してあっさりさせる

考えたこと

  • チャトニがあるとご馳走感が高まるからチャトニ必須だな、そして一番簡単でみんな好きなのはココナッツチャトニだな
  • 作った日は札幌らしくない蒸し暑い日で、火を通さない濃厚なココナッツチャトニだと、重い気がした。だから、粘度は少し低め、辛味がっちり、そして火を通すことであっさりになる、そんなチャトニを目指した。

この記事のものが近いかなと思います。

オムレツ

作り方

①卵3つをボールに割り入れる。みじん切りの玉ねぎ、みじん切りのトマト、みじん切りの青唐辛子、を好きなだけ加える。塩も加える。良くかき混ぜる。

②鍋にたっぷりのサラダ油を熱する。火を弱めてから、たまごを一気に流し入れる。最初は大きくかき混ぜて、固まってきたら、それ以上はかき混ぜない。ぱたんと二つに畳んで、ヘラで押し付けるようにする。もう一度たたんで、同じように押し付ける。

ポイント

  • 塩は強くし過ぎない。なぜなら、サンバルがしっかり味なので、オムレツは、おまけの位置づけだから。
  • 油をたっぷりつかう。ためらわずたっぷりつかう

考えたこと

  • ベジミールスは素敵な食べ物なのだけど、やっぱり、ちょっと物足りなさもある。この日のお客様は、肉もしっかり食べたい人だったので、オムレツも追加した。ここで肉のカレーをもってきても良いけれど、やっぱり、それではミールスとしての調和が乱れるので、おまけの位置におけるオムレツはとても便利。僕もオムレツが大好き。

やはりレシピがあります。動画もついています。

米の調理法

いまのところ最善と思われる方法です。

①タイ米(not ジャスミンライス)を炊飯器で普通に炊く。水加減は、日本米よりも、ちょっと多めくらい

②炊けたら、内釜を流しに持っていき、冷たい水で米を洗う。ぬめりが取れたらぬるま湯に通して、ざっと水を切ってから炊飯器に戻る。保温しておけば、2時間くらいで温まる。もし早く食べたければ、お湯をかけて温めるか、保温でなく炊飯モードにして一気に温度を上げる。

このようにすると、米の中心部はでんぷんが残って噛み応えがあり、かつ、米一粒一粒が独立した、ミールス向きの米になる。

茹でる設備のある方はこちらもどうぞ。ただし、難易度は高く、安定もしないです。

パパドの揚げ方

油で揚げるのが一番おいしいと思います。揚げ方は、文章で伝えるのが難しいので、そのうち動画にするかもしれません。ポイントとしては、揚げすぎないこと、です。揚げすぎるときつね色になってしまいます。

以上、ミールスの実践でした。試してみてね!知ってる!誰も実践しないと知っている!