Sambar
これさえ作ることができれば、「南インド料理を作れます!」と自慢できる、そんなカレーです。
sambarというと、基本的には、ダルと野菜をタマリンドやスパイスと煮たものを指しますが、厳格な定義はなかなか難しいです。一般的にサンバルパウダーと呼ばれるスパイスミックスを入れるのですが、このサンバルパウダーも、配合は色々で、さらにサンバルパウダーを入れないでサンバルを作ることさえあります。ダルは、トゥールダルが基本ですが、ムングダルやマスールダルで作ることもできます。
動画を作りましたので、イメージをつかむためにご覧ください。
材料と手順
注.このレシピは、もう一つの代表的なカレー「ラッサム」を同時に作ることを想定したレシピです。ぜひ、二つを同時に作って、南インド気分を高めてください。
(5人分)
●トゥールダル——–1cup
(洗ってから1.8lの水につける)
●お湯——600ml
●ターメリック——–小さじ1/6
●茄子・オクラ・冬瓜——–各100g程度
(茄子は2cm角、オクラは3等分、冬瓜は3cm角に切る)
●塩——–大さじ1
●タマリンドペースト——–大さじ2
●サンバルパウダー(ミキサーでペーストにする)
○コリアンダーシード——–小さじ1/2
○クミンシード——–小さじ1/2
○フェネグリーク——–小さじ1/4
○ブラックペッパー——–小さじ1/4
○ホールチリ——–2本
○青唐辛子——–1本
○水——–100ml
●ヒング——–小さじ1/6
●テンパリング用
サラダ油——–大さじ3
マスタードシード——–小さじ1
クミン——–小さじ1/2
ホールチリ——–3本
カレーリーフ——–10枚
1.トゥールダルを煮る。圧力なべにトゥールダルを水ごと入れて強火にかける。噴きこぼれないように1度だけ灰汁をとり、その灰汁は捨てずにとっておく。中火で20分ほど煮込んで茹で汁が濃く濁ったら火を止める。1分ほどで豆の成分が沈殿するので、上澄みを別の鍋に移す(煮汁はラッサムに使う)。残った豆にターメリックと、お湯600ml、サラダ油小さじ1(分量外)を加え、はじめ強火で熱し、圧力がかかったら弱火にして15分煮込む。
※ラッサムを作らない場合は、1000mlの水につけておき、そのまま煮る。灰汁をとったら圧力をかけて、弱火で10分煮る。
2.野菜を下茹でする。茄子、冬瓜は水から茹でると早い。自信のある方は時間差で鍋に放り込む。冬瓜は10分、茄子は6分、オクラは2分ほど茹でる。すべてザルに揚げて、置いておく
3.豆が煮えたら、とっておいた灰汁を戻し、塩とタマリンドを加えてよく混ぜ、煮立たせる。この時点で塩味も酸味も、すこし濃いくらいで良い。野菜を入れて、さらにひと煮立ちさせたら、サンバルパウダーペーストを加えてひと煮立ちさせる。粘度が高いようだったら水を加える。この時点では、しゃばしゃばくらいで良い。
4.鍋に直接ヒングをふりかける。テンパリングをする。別の小鍋に油を入れて熱し、マスタードを入れる。ぱちぱちと弾け始めたらクミンを入れ、一呼吸おいてホールチリを入れる。最後にカレーリーフを入れたら火を止め、ざっとかき回してカレーリーフに火を通してから、鍋に、ジャッと加える。最後に塩味と酸味をみて、足りないようだったら足す。
サンバルのポイント
・ベースとなるのは、煮崩したトゥールダルの、柔らかい味です。ご飯にかけられる程度の塩味をつけ、タマリンドの酸味が加わります。野菜の甘みもします。
・ほんのり辛い程度で、スパイスは控えめです。コリアンダーとクミン、それにカレーリーフが、香りの基調となります。
・とろみはありつつも、もったりとしないで程度です。ご飯にかけた時に、染み込みつつも、上に留まるくらいが良い塩梅で、完全にご飯の上に溜まるようでは、サンバルらしいとろみではありません。
・色としては、ターメリックとその他のスパイス類が混ざり、黄土色になります。黄色味が強いと、ダールと見た目がに似てしまうので、ターメリックは控えめにします。
・テンパリング時の油が多いのではないかとご心配の向きもあるかと思います。この油で味がまとまるので、勇気を出して大さじ3をつかってください。
・これは豆カレー全般に言えることですが、時間がたつと豆が水を吸います。また、温度が下がると、粘度が高くなります。なので、手順3の段階ではしゃばしゃばでも、食べることにはちょうど良いくらいになります。熱々でサーブすると、手で食べられないのです。
・味を調整する場合は、塩味を決めてから、酸味を足してください。タマリンドの酸味は、塩味の無い状態では感じにくいので、先に酸味を決めようとすると、出来上がりが酸っぱくなりがちです。
・豆をコーンスープのように完全に煮崩してしまうと、味が平板になります。ところどころ形が残るくらいがおいしいです。一番多い失敗は、豆を焦がす、もしくは煮崩せない、という圧力鍋にかかわる失敗です。お手持ちの圧力鍋とよく相談してください。
・インド料理において、灰汁はうまみのもとです。とっておいた灰汁を戻すときに溶けにくいことがあるので、まず空の鍋にとっておいた灰汁を入れ、それを強火で熱して蒸発させるようにしてから、煮崩したダルを入れると、溶け残りにくいです。
こういう作り方もあります
・この欄では書ききれないくらいに、サンバルには色々なタイプがあります。なので、あくまでこのレシピの応用を書いていきます。
・入れる具材は、三種類が揃わなくても大丈夫です。冬瓜だけだと少し物足りないですが、茄子とオクラだけ、茄子だけでもおいしいです。主張の強くない野菜であれば、ほかのものを入れてもおいしいです。ただ、大根人参あたりを入れるときは、玉ねぎやトマトも入れたほうがおいしく食べられます。こちらのコラムも参考にしてください。
・サンバルパウダーは、様々なレシピがあります。ダルや生米を一緒に挽くこともあります。また、このレシピでは水を入れて一緒に挽いていますが、これは一般的な方法ではありませんのでご注意ください。
・このレシピでは豆をほぼ煮崩していますが、もっと固めに煮て、しゃばしゃば系にしても良いです。
・トゥールダルを煮るときに、一緒にトマトと玉ねぎをすこし入れても良いです。
・トゥールダルに、マスールダルを混ぜても良いです。1/4cupほど混ぜてみてください。
・サンバルパウダーは、市販品もありますので活用してください。十分においしいです。
・レシピ化の都合で、サンバルパウダーの配合が、実際に店舗で出していたものと違います。コリアンダーとクミンが同量になっていますが、クミン小さじ2/5、コリアンダー小さじ3/5くらいにした方が、味は近くなります。
・あれば、最後に刻んだパクチーを加えるとおいしいです。
どうやって食べるか・どのように提供するか
・ごはんにかけて食べます。そのまま食べて朝ごはんにもなります。シリアルよりは体によさそうです。冷蔵庫に入れておけば、一週間近くもちますが、責任はとれないので、各自の判断でお願いします。ただ、ほかのサンバルに比べて、時間経過で味の落ちやすいレシピです。
・ミールスの主役として出すとよいのですが、このレシピは、玉ねぎトマト抜きのため、バスマティライスを合わせるようなミールスには合いません。タイ米やソナマスーリライスをつかった、ベジミールスに好適です。そのため、カフェ的な展開を考えた場合、このレシピで作ったものだと、誰の口にも合うようなものにはならないので、工夫が必要です。
・ティファンにも問題なく合います。
サンバルはミールスの主役級です。これにラッサムや、ポリヤルなんかがちょっとあれば、
それで立派にミールスになります。基本的なものを紹介します。
南インド屋のレシピを十全に楽しむためには、タイ米やソナマスリライスなどの、香りの薄いインディカ米が必要です。
お勧めなのはタイ米です。その茹で方を紹介しています。
ムングダルで作った豆のカレーです。サンバルの代わりに主役を張れます。サンバルより簡単なのでおすすめです。
言わずと知れたラッサムです。トマトもニンニクもつかわないタイプの、すっきりしたラッサムです。
キャベツのココナッツ炒めです。汁気のあるものばかりでなく、こういう炒め物っぽいものがあると、
がぜんミールスらしくなってきます。とくにこのキャベツのポリヤルは、作りやすくて安くておいしいので、おすすめです。
野菜ばかりで物足りないときは、オムレツを焼いて添えましょう。
トマトと青唐辛子があれば、それでおいしく作れます。できればパクチーも欲しいですが、なくても良いです。
南インド屋では、ベジミールスにバスマティライスを合わせることに強く反対しています。
バスマティライスはおいしい食べ物ですが、使い方を考えたほうが良いです。
狭義のミールスには、日本ではタイ米がベスト、という話をしています。