無事、東京での料理教室を開催することができました。参加してくださった方々、色々と手伝ってくれた心優しい方々、どうもありがとうございました。楽しんでいただけたなら幸いです。これから、まずは月一回東京で開催し、大阪でも隔月くらい、札幌でもまめに開催していきたいと思っています。さすがに今回の滞在は、いつものような食べ歩きはできなかったため、半分以上は料理教室の話になると思います。どんなことを考えながら作っていたかを文章化してみます。なので、いつもよりは価値のある情報かもしれません。今回東京に行ってみて、ひとつ気になることがありました。東京に着いてから3日間、ずっと体がベタベタしていました。これ、東京にいる限りずっと続くの? やばくない? 一年の半分が寒い札幌といい勝負だね!

アドレナリンできまった目をしている
・サルシーナハラルフード
体力のあるうちに新大久保の用事を済ませようと思った。行きたくないけど行かねばならない町、新大久保。そしてサルシーナはなぜか11時開店と、他の店より早いため、あさ5時起きで飛行機に飛び乗っている僕のような人間にはありがたい。サルシーナは最近、お客さんが増えていると聞いていた。印度カリー子女史が紹介したので火がついたとか。さすがだね。じょいっ子さん(noteをたくさん書いている人)が粘り強く広め、おいしさが広まって行ったところに、強い影響力のある人がパッと広めるという理想的な流れ。南インド屋もそうならないかな。売り上げ伸ばしたい! サルシーナはおいしい。前も書いたように、料理の凄みとしては2年くらい前の方があったと思うけど、依然として魅力を保っており、ヘッドシェフ(?)のお兄ちゃんが、食べるのと作るのが好きなんだなあと感じる。最終的には気合いだよね。サルシーナに初めて行く人におすすめするなら、ビーフカラブナかもしれない。カラブナは実にバングラデシュ的だし、しっかり辛くておいしい。ダルもあることを考えると、通常の日本人の米消費量では、グレイビー系のカレーを注文すると、おかず過多になるような気がする。注文したエビとココナッツのパトゥリは、ふわっとして濃厚だった。僕は魚卵を想起した。うまいうまい言いながら食べていると、今作ったと言って、赤ほうれん草のバジを出してくれた。僕の他に二人お客さんがいたので、バジはシェアした。食べますか?食べますよね?と言いながら問答無用で配った。べちゃっと炒め煮にしたほうれん草をご飯に混ぜ込んで食べるとうまい。
・夜アジャンタ
いつもはツンツンしている店員さんたちが、夜に行くと感じが良かった。「ああお兄さん、久しぶり。いつもありがとうございます」なんて言われた。先月も来ましたよへへへ、と言ったけど信じてなさそうな顔をしていた。なぜだ。カレーと小麦と、ダヒワダを食べた。アジャンタの素晴らしさを疑ってはいないのだけど、昼に来た方が良いかなとも思った。やはりアジャンタには昼に来て、黙々とカレーと炭水化物を食べるのが良いのかもしれない。夜なら、焼き物を食べたら楽しいのかな。
・銀座にあるウエストのカフェ
特殊な空間だった。奥行きはあるけど天井が低い店内には、白いクロスがかけられたテーブルが並べられている。床はカーペットだったか。絨毯ではなかった気がする。店員さんは白シャツにベスト?チョッキ?を着こんでいる。19時過ぎに行ったのだけど、店内はほぼ満席で、出勤前かな?というような女性もいたのは場所柄でしょうか。シュークリームはちゃんと作ったコンビニスイーツみたいでおいしい。僕はゴンチャが結構好きで、ゴンチャの季節限定メニューは、ちゃんと作ったコンビニドリンクの味がする。ミルフィーユは層がほわっとして、多層構造の喜びがあった。ミルフィーユ然りミルクレープしかり、多層構造がもたらす幸福感はあると思う。ドリンクは1260円だったか。銀座すごい。おかわり自由だったからガバガバ飲もうかと思ったけど夜だからやめておいた。この店の最大の問題点は、天井の低さでも価格でもなく、空調。入った瞬間にはっきりわかるくらいカビっぽい。昔っぽさを感じさせる舞台装置なのかもしれない。そんなわけない。
・プルジャダイニング
ネパール料理が食べたい!でもきつい塩気も新大久保の人混みも、蒲田の荒んだ空気も今の僕にはちょっと辛い。そう思って巣鴨の川沿いを歩いてプルジャダイニングに向かった。いつもは東京に来る時に、食べるのも仕事!俺は強い!と言い聞かせてから来るのだけど、今回は日曜日の料理教室が主要業務なので、ふわっと、魔都・東京に降り立ってしまい、ややダメージを負っていた。プルジャダイニングは、いいよね。ダルカナとモモにした。ムラコアチャールがあるべきところに、赤大根(?)の甘酢漬けに胡麻を振ったものが配されていた。これだよね。この自由さだよね。新鮮な野菜が定期的に手に入るなら、わざわざ干して発酵させる意味は薄れるし、夏の暑い日なら、普通のムラコアチャールではやや重い気もする。青菜は、スベリヒユだった。名前は聞いたことがあったけど、これがそうなのか。見た目は空芯菜に似ている。粘り気があって、酸味がある。結構はっきりと酸味がある。大変好ましい。豆豆しく、塩のキツくないダルを米にかけて食べると、これが食べたかったんだ…と良い気持ちになった。食べたいものを正しいタイミングで食べられると幸せな気持ちになる。横に座ったネパール人の兄ちゃんが手で食べていたので、僕もそうした。手で食べると2倍おいしいよね、と話しかけられた。完全に同意する。
・シズラー
初めてのシズラー。グリルがおいしいのは知っていたのだけど、グッと堪えてサラダバーだけに集中した。シズラーはすごいね。僕は基本的に外食がそれほど好きではない。楽しいしおいしいけどね。ちょっと話は逸れるけど、インド料理界隈の方々が、現地の飲食店に大変ご執心なのをいつも不思議に思っている。それは、なんのかんの言っても、結局は店の味だよ?といつも思っている。シズラーは、外食による疲れが少ないなと思った。押し付けがましくなく、ファミレス的でない。付き合ってくれた人は、シズラーには啓蒙思想があると言う。なるほど、我々日本人を教化してくれているのか。言われてみれば確かに、ライスサラダ、キャロットラペ、タコスのミートソース(?)は、単純な最適化をしたら辿りつかないような味になっている。思想を感じる。そしてチーズトーストはすごい。食べたことがない人は、一度食べてみるべき。問答無用のおいしさがある。シズラーには時々行きたい。次はグリルを頼むかどうか悩んでいる。サラダバーが、明らかにサイドではない情報量なので、ここにグリルをぶつけてしまうと疲れてしまう気もする。悩むね。楽しい悩みだ。
・DEAN&DELUCA
すみません、舐めてました。あまりにもみんながバッグを持っているものだから、ハイハイちょっとお洒落な感じでみんな好きなのね、と思っていた。全然違った。ニューイングランドクランベリーケーキが、すごくおいしかった。シズラーにも通じるような啓蒙思想を感じる。絶対に、中に優秀で気合の入った人間がいる。複数名いる。自社製造ではなく、松之助というお店のものなんだ。すごいね。札幌で暮らしていると、こういう、みんながおいしいと知っているものを逃してしまう。
・タンジャイミールス幡ヶ谷
豆と青マンゴーのサラダ、メドゥワダ、ラワドーサ、などを食べた。ワダの生地コンディションがすごく良かったのは、どういうオペレーションなのだろう。ワダ生地は、出来上がってから時間が経つとふわふわ感が失われ、モタッとしてくるのだけど、なんだか出来立てっぽい味だった。たまたま良いタイミングだったのか、味を戻すプロのテクニックがあるのか。モウカザメをほぐして炒めたようなスーラプットゥもおいしかった。外食としては特異的に塩が薄く、助かった。羊肉揚げ団子のコーラウルンダイはしょっぱかったけどね。週末にやっているというバナナリーフミールすが非常に魅力的なメニューだった。2000円だったかな。これはきっと食べたほうが良いものだという直感があったから、次に東京に来たら食べようと思った。
ここからは料理教室編だよ!長いね!
・ミーンコランブmeen kuzhambu
南インド的なものの中で一番おいしいのはミーンコランブだと思う。魚を酸っぱ辛いグレイビーで煮てご飯と食べる。これさえあれば他はおまけだと言っても良いくらい。イベントごとにトラブルはつきものだと覚悟してはいたけど、その主役たるコランブに使うブリが売っていないのには焦った。きゅりあんの下にある西友に3度下見に行き、3回とも、潤沢なブリ在庫(しかも安い)を確認していたので、これはもう大丈夫だろうと思ったら大丈夫じゃなかった。本番の日限って入荷がない。まあ、そういうものだよね。結果的に、狙っていたのとは違う、脂が乗った感じのブリ(安くない)と、イワシの2種類にした。食べくらべができて楽しかったかもしれない。そして今回の教室で最大の問題は、やはり鍋のサイズ。中華鍋二つで作っていたのが、小さくて、最終的な仕上がり量が、やや足りなくなった。本当はもっとたっぷりとコランブを作り、好きにじゃばじゃばかけて食べて欲しかった。無念。今度からは、炒め工程までは中華鍋でやって、そこから先はデカイ煮込み鍋に移すようにしたい。やってみないとわからないものですね。塩の加減が少し甘く、確かブリの方が少し塩が薄かった気もする。インド小玉ねぎとインドごま油の力で全体の旨さが数段階上がっており、家で再現できるかはわからないけどかなり良い仕上がりだっと思う。パウダースパイスを山ほど入れて、タマリンドもガンガン入れた。え?そんな入れるの?というくらい入れる。料理教室は、勢いを感じるためのものだよね。
・チキンペッパードライ
骨付きの肉をぶつ切りにして炒め煮にしたもの。肉料理はおいしいことが確定しているから気が楽。スターターは、シナモン、ホールチリ、フェンネル、シナモンで、甘めの香りにした。トマトは使わない硬派なレシピ。玉ねぎ、エシャロットの量も少なめにして、ぶつ切りにした鶏肉はうまいな!と感じてもらいたかった。果たしてどうだったろう。味見でグレイビー部分を舐めただけなので、実際においしかったかは不明。多分大丈夫。この料理もかなりの量のスパイスを使う。ペッパーの名を冠するのだから、大量の黒胡椒を使いたい。どれくらい入れるかと言うと、見た目が黒っぽくなるまで入れる。味や香りではなく見た目で決める。面白いから粉末にしたカルパシを加えた。カルパシは、一度認識すると、どこかで食べたときに「これはカルパシだ!」とわかるようになる。
・キーライクートゥ
ほうれん草を使った。パラククートゥと呼んでも間違いではないけど、ヒンディーとタミル語が混ざってしまいますね、とヘラヘラ笑っていたけど、多分通じていなかったと思う。普段独り言をやりすぎているせいで、どこまでが通じてどこまが通じないのかの判断がゆるゆるになっている。自分に喋るなら100%通じるんだけどなあ。スパイスレッスンの解説を書くときは、一応ちゃんと読まれることを想定して書いている。このメルマガもそう。クートゥは粘度が大事。ギリギリ手で掴めるくらいが良いよね、と最初に言ったのに、ちょっと緩くなった。すみません。多分作ってから30分くらい置いておけばちょうど良くなったはずだけど。ほうれん草の質が良く、茎が筋っぽくならずにしっかりしていて、葉も厚かった。だから煮込むのに時間がかかった。この感じのほうれん草なら、煮るのではなく炒める処理の方が、クタッとさせるのには向いていたかもしれない。まあ、炒める鍋もないから無理な話なのですが。アハハハ。クートゥは、塩が入っているんだか入っていないんだかわからないくらいの加減が良いと思う。しょうもない味。かなり好き。
・ビーツポリヤル
買い出しではないタイミングで寄ったスーパーで、異常に安いビーツを見つけて大量に買い込んだ。100g19円!!!!この異常さがわかりますか。あまりの安さに興奮して、レジの女性に、いつもこんなに安いのですかと尋ねたら、そうですね、土曜日はもっと安いです、とまさかの返答があった。これより安くなったら、もう主食にしないといけないよ。すでに米より安いけど。ビーツのポリヤルは、まあ大体どうやってもおいしいことが確定している。コツを言うなら、とにかくしっかり火を通すこと。炒めている途中で一回注目してもらい、見てください、まだ切り口が直線的ですね、これではまだ足りないです、もっと、自我を失うくらいに火を通しますと言ったら笑われた。料理教室は、こういう変化を確認できるのが楽しい。人数が少なければ、少しずつ味見しながら変化を見られるのだけど、30人近くなるとそれもできない。ウラドダルとマスタードシードだけの、ほぼもっともシンプルなレシピにした。ビーツは
、玉ねぎとあんまり合わないような気がするんだよね。大量に作ったけど全部なくなった。ビーツはおいしいから。そして余裕があったら作ろうと思って買ってきたインドのクラスタービーンズは、間に合わなかった。レシピに、(余裕があれば)と書いておいて良かった。次はもっとうまくやります。また来てください。
・里芋フライ sepankilangu varuval
一年でもっとも里芋が悪い時期にこのメニューを作ろうという季節感の無さ。僕は本当に季節感のない人間で、料理人としては良くないなと思っている。服装もかなり季節感がない。気温に応じて厚くなったり薄くなったりするだけで、シーズナルという感じではない。里芋が硬く、乾いていて、本当に全然感覚がわからなかった。多分、下茹でが足りなかったのかな。揚げ焼きに時間がかかった。火が通っても硬いままの里芋もあるし、この辺りは本当に難しい。ミールスは重い食感のものがなく、さらっと終わることが多い。それは魅力の一つだけど、やっぱり食べ応えがあった方が嬉しいと思うから、里芋みたいなものがあると満足度は上がると思う。曲借りで店の真似ごとをしているときにそう思った。サンバルパウダーとチリパウダーとターメリックだけで作る簡単レシピ。
・オムレツ
30人分くらいのオムレツを一人でパンフライするのは自殺行為と知りながら、サービス精神からやってしまった。いや、おいしいのですよ。絶対においしい。皆様が食べている時に、僕が必死になって焼き、切り分けて配っていくのは、ライブ感があって楽しいよね。配りながらちょっと話したりもできるから、僕も楽しい。レシピ的にはやや非インド的で、本当はブラックペッパーとかもうちょっとスパイスを入れるべきだけど、コリアンダーリーフと青唐辛子で十分味が決まるからスパイスは不要と僕は思う。設備のでかい鉄フライパンを使ったら、管理が悪くてこびりついて酷い目にあった。二鍋を同時に使い焼くから、一つは鉄、一つはテフロンにした。鉄を諦めてテフロン2個でやればもっと安定したのに、この時点で僕の脳はオーバーヒートしていて、正しい判断を下せなかった。ウケるね。
・チャイ
茶葉を2種類持っていった。寸胴二つで作り、一つは生姜入り、一つは生姜抜き。に種類のチャイを飲めるのは楽しいね。オムレツとかチャイとかのライブ感があれば、他のものの出来が多少甘くとも、最終的な満足度を一定ライン以上に持っていくことができるという姑息な読みもあった。茶葉によって味が結構変わりますよねえ、などと言いつつ、延々とチャイを注いで回った。チャイをやかんに移すのは、プンジェの中野さんにお願いした。プロの安心感。チャイをやかんに移すのは、かなり難しく初見でうまくいくのは至難。中野さんはさすがに上手だった。小岩井の1本300円くらいの牛乳を使った。僕はなんとなく小岩井にあまり良いイメージを持っていなくて、なんでだろうと思ったら、小岩井のジュースが100%じゃないからだと思った。ヨーグルトも、おいしいけどなんだかちょっと作り物っぽい味がする気がする。やはりよつばが良い。よそのものを貶し地元のものを上げるお国自慢の所作。
来月はベジミールスです。すでに満員なので、もしキャンセルが出たら追加で募集します。今回は三名ほどキャンセルが出たので、今回もあるかも。参加してくださった方々、手伝ってくれた方々、参加したいけど間に合わなかった方々、皆様今後ともよろしくお願いします。
最後に宣伝を。
料理教室は楽しいけど厳密なレシピではなく再現性への配慮もないので、もっと自宅でちゃんとやりたい場合はぜひスパイスレッスンをお試しください。そちらを買ってもらえると、僕が東京で活動できる時間が伸びます。どうぞよろしくお願いします。
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あとは11期目のビリヤニレッスンも受付中です。今回はガラッと構成を変えました。フライパンで2、3人分作る前半と、もっと大きい鍋でたくさん作る後半の2部構成です。今後ビリヤニ教室の開催も考えていますが、おそらく再現性ゼロのパフォーマンスになるので、腰を据えてじっくりやりたい方はこちらをぜひ。
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脳の酷使で思考の連続性が失われ、やばい状態になっていました。これは本当に事故を起こすなと思ったので空港に直行した。直進しかできないチョロQみたいに歩いた。「丸亀にお金を落としたくない!」と血を吐きそうになりながら小かけを注文した。生まれて初めて汁を全部飲んだ

スベリヒユが酸っぱくておいしい。ご飯は、日本米、麦、バスマティのミックス。グンドゥルックのジョルも好き。今度はそれにしよう。

ゴビ65を注文し、ゴビのパコラですねと復唱されたからゴビ65ですと答えたら、ゴビパコラが来た。もうどっちでもいいよ。おいしかった。