東京に行くことが決まったので、「開催してください!」と直球のお願いをしてラオス料理を作ってもらった。佐藤さんありがとうございます。自宅で開催される料理会、つまりホームパーティ。一番良いものが食える場だぜ。
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すでにじょいっこさんという方が記事にしているのでそちらもご確認ください。
料理の細かい感想を伝えていなかったからここに書こうと思う。まず言いたいのは、どれもおいしかったということ。料理人へのほめ言葉はたったの一言でいいんだぜ、と兵ちゃんが言っていたのはみんな知っていると思うけど、蛇足を重ねずにはいられない。え?わからない?ミスター味っ子8巻第九話「素材と工夫」を読んでください。必読です。こんな代物っ 味皇どころか犬だって食わないよっ。今試したら「味皇」が一発で変換されたのだけど、味皇って一般的な用語だったのか。まあ味皇は有名だからなぁ。
カオニャオ(蒸した餅米)と、タム・マークフン(ソムタムのような青パパイヤのサラダ)、モック・パー(魚の包み蒸し)がまず出てきた。最初からクライマックス。なんと言っても今回はカオニャオをたくさん食べようと思っていた。前回は米の食べ方が足りず、どちらかというとおかずをメインで楽しむような食べ方になってしまったので、これはいかん、ミールスも米食ってなんぼだからなと反省した。タム・マークフンもモック・パーも、比較的地味系にまとめられていて、塩も強くなく、カオニャオがいくらでも食べられる感じだった。カオニャオの蒸し方も実に良い。さあ感想を書こうと思って気がついたのだけど、今回はどれも抑制された仕上がりで、指摘すべきポイントが少ないことに気がついた。スルッと食べられる仕上がり。最高じゃん。青パパイヤのサラダは酸味が強すぎず、魚の包み蒸しも塩が強すぎず、カオニャオと合わせて食べることで完成する。前回の方が、米とおかず、というはっきりした図式だったのが、今回は米とおかずがあらかじめ近づいている。ラオス人はどちらのタイプを好むのだろう。敢えて言うなら、魚自体の主張がもう少しあってもよかったかなという程度。前回の方が魚感が強かった気もした。淡水魚バージョンも食べてみたいなと思った。
ピン・ガイ(焼き鳥)が出てきた。これもおいしかった。ハーブが入った少し甘めのタレ的なもので軽くマリネしてから焼いてある。手羽元と手羽先なので、味が入りにくく、肉のマリネ感は薄い。それがいい。マリネした肉はうまいけど、最終的には加工肉のおいしさになってしまうから、敢えて浅めにして、それを炭火で上手に焼けば、ライブ感、勢いのある焼き鳥になる。いいね。フライパンで焼いてもこの味にはならないしオーブンでもちょっと違いそう。佐藤さんが、ライブ感とか勢いを大事にしているのがわかるから、このピンガイは、まさに彼の好みが反映されているのだと思う。なんとなくだけど、可食部がたっぷりあるジューシーな肉と言うよりも、しっかりと焼いた、ガシッとした肉をラオスでは尊ぶのではないかなあと思うので、そう言う意味では手羽元とか手羽先はピンガイに向いているのかもね。丸鶏を開いてしっかり焼いたの食べてみたいな。こういう焼き物でカオニャオ・餅米を食べる時はどうするのだろうと佐藤さんに聞いてみた。彼は口内調味でいくと。なんとなく口外調味の文化かなあと勝手に思っていたので、少し気になる。手についた油でカオニャオをこねこねしてから食べるのもうまい。
詰め物をしたゴーヤのスープ、ゲーン・マークマラ。太いきゅうりの皮をむいたものも入っていた。全体的に緩い味で、柔らかく煮られたゴーヤの苦味と豚ミンチの旨みがモヤっと立ち上がる、汁物とポトフの中間のような料理だった。焦がしてあるのかな?唐辛子のフレークが散らされている。こういうの、おいしいよね。これも塩が薄めで僕は好きだったけど、皆様どうだったのでしょう。塩をキリッとさせても喜ばれそう。塩が薄いところに唐辛子がかかっているので、ゴーヤ!豚!唐辛子!とストレートな味になっていた。豚ミンチがかなりみっしりと詰まっており、カオニャオをたくさん食べていた僕は、やや満腹になってきていた。
レモングラスに豚ミンチをつめて焼いたもの、ウア・フアシーカイ。ここにきて最大の質量をぶつけてきた。肉肉しくてうまい。一旦蒸してから焼いているよう。レモングラスが乾燥していたからか肉が脱落気味でワイルドになっていた。おいしかったのだけど、あんまり構造を理解できなかった。現地で、もっと良いレモングラスを使うと印象が違うのかな。これだと、レモングラスは肉に練り込んでしまって、生の状態からケバブ的に焼いた方がしっくりくるかなとも思った。いずれにせよ、一旦蒸してから焼いているのと、レモングラスに詰める上品さから、なんとなく他の料理とは違う文化を感じた。気のせいか。
ラープ・ムー、だったかな。ラープはうまいよね。作り慣れている味だよなと思ったら、彼は小松亭タマサート氏と組んで料理をする時にはラープ担当だったとか。道理でこの完成度。混ぜたての、各要素の味がまだ侵食しあってない、良い意味でバラバラの味が楽しい。ラープはハーブが主役だとも肉が主役だとも言えない、ややハーブの方がメイン寄りかな、という微妙な料理なのかな。これまたカオニャオとあわせると完成する。やはりカオニャオが主役。佐藤さんはラープが好きなようで、嬉しそうに食べていたのが印象に残っている。日本で作ると原価が高そう。ハーブ高いからね。感謝の気持ち。思い返してみても、本当に、良い意味で料理の印象が強くない。レストラン料理とは違う魅力だよね。
なんらかの麺。スッキリ系のスープにトマト入りの挽肉が載っていて、当然うまい。僕は脳内補完でクミンを感じた。ライムを絞って食べてもおいしそう。皆様お酒をきこしめしていて、楽しそうだった。酔っ払うほどではない酒の効用。良い会だよね。料理の話からは逸れるのだけど、立地、建物の感じ、調度、台所の作り、そういうものが彼の個性をしっかり反映していて、調和が取れていた。調和は大事だよね。昔、休学して大学のそばの安アパートで一人暮らしをしていた時、当時付き合いのあった女性が僕の部屋を見て、「八島さんの部屋は良いよね。八島さんらしくて」と言っていた。当時は、ただの安い部屋やで?くらいに思っていてピンと来なかったのだけど、多分そういうことなのだろう。個性を反映していて、調和が取れていて、そしてその個性が好ましいものなら、その部屋は好ましいものになるのだね。調和は取れているし個性を反映しているけど好ましくない部屋を見たこともある。個性を反映してはいるけど好ましい個性ではなく、調和も取れていなくて、好ましくない部屋もある。俺は何の話をしているんだ。ちなみに僕の家の居間は壁がオレンジで、寝室の壁は真っ青だ。
ココナッツミルク、バナナと緑豆入り。これもよかったね。塩が入っているからほんのりおかず風味。バナナが、あまり熟成の進んでいないものを使っているからか、煮込むことでフルーティになって、味のポイントになっている。緑豆がくきくきするくらいの固茹でで、これは佐藤さんの好みのよう。くきくきしてるな!と思った。佐藤さんが、僕は客の胃の容量が無限だと思っている節がある、と言っていたのが面白かった。わかる。締めにココナッツミルクと豆、バナナを叩き込まれて相当満腹になった。カオニャオ食べすぎたかな、と一瞬思ったけど、後悔はない。俺はカオニャオが食いたかったんだ。
佐藤さんは料理が好きで、どういう形になるかわからないけれど料理をして生きていこうと思っているみたい。現在は別の職種で働いていて(新卒一年目!)、もしそちらの仕事が楽しくなって忙しくなれば、こういう料理会も開催されなくなってくるかもしれないし、強烈な体力と気力でどうにかするのかもしれない。いずれにせよ、気になる人は、ラオス料理食べたいです!と連絡をしてみても良いと思う。面識のある人なら僕が紹介しても良い。ただしその場合、佐藤さんと僕、両方に対して責任が発生するので、単騎で乗り込む方がまだ楽なのでは?とも思う。もう若者ではない年齢になっている諸氏、やる気のある若い人がここにいますよ!応援したいね! 会を主催してくださった佐藤さん、ありがとうございます。また会いましょう。