メールマガジンはこういうものです

南インド屋では時々メールマガジンを配信しています。こういう内容です。完全に同じではないですが、ブログで再現します。商品を購入しなくても、会員登録をすればメルマガは配信されるらしいです。

 

役に立つのわからないグルメ情報満載!!

3泊4日で東京に行ってました。18時ごろに家に着き、この文章を書いている20時現在、全力でストーブを焚いているものの、家の中のもの全てが冷え切っている(壁も皿もベットも全部冷たい)せいで、家の中はいまだに冷え冷えしています。なんで俺はこんなに寒いところで石油を燃やして暮らしているんだろう。足立区を歩いていて、公園のベンチにデカデカと「居座り禁止!!」とステッカーが貼られていました。ホームレスが居座らないようにということなのだと思いますが、なかなか札幌では見かけない情景です。札幌は外で寝ていると死ぬからです。札幌の気温では、社会性を装備して寒さを防げる人間しか生き残れません。そうか、と理解しました。ある程度温暖な方が生物種が増えるのは、何も動物や虫に限った話ではないのだと。札幌の気温ではインド人は生きていけず、インド料理店は生えてこない。ネパール人ならギリギリ耐えられるからネパールカレー店(notネパール料理)は生えてくる。東京に行くたび、温暖で豊かな土地だなあと思います。雪と道路だけのモノクロの世界から行くと、色が多くて目が眩むようでした。東京で食べたものについて書きます。

・サマルカンドテラス 高田馬場
ウズベキスタン料理のお店。プロフを食べに行った。高田馬場駅から歩いてすぐの、さかえ通りにある。外階段を登っていくちょっと変な作りのビルだけど、中に入ると割と広く、割と綺麗だった。テラスというだけあって広いテラスがあって、そこに肉を焼くアメリカのBBQグリルのようなものが置かれていた。そこで焼くの食品衛生法的にOKなのか?と少し思ったけど気にしないことにした。日曜の昼だからか予約席も多く、人気店のようだった。ウズベクの人たちやその他外国人、日本人おばさまグループ、そして一人で黙々と食べる日本人の男、という客層。多分カフェ利用も想定された店で、ケーキが充実している。専任のパティシエいるのだろうなと思った。オープンキッチになっていて、体のでかいウズベク人ふたりが黙々と料理をしている。僕の30倍くらい男らしい。プロフ用の大鍋がタイル張りの作業台に埋め込んである。現地では人間を10人くらい炊けるような巨大なサイズのものもあるらしい。サマルカンドテラスの鍋は、おじさんがデカいせいかそれほど大きく見えなくて、なんだ大きくないじゃん、と少し残念だった。プロフもサムサ(サモサの原型?)もおいしかったけど、ケーキが一番よかった。メドヴィクというロシア的なケーキなのかな。もちっとしたスポンジ生地とクリームがミルクレープのように層になっていて、はちみつの味がする。丁寧に作ったコストコのケーキみたいだなと思った。飲み物は何にしますか?と聞かれて、ケチ心が出て600円のお茶(かわいいポットで出てくる)ではなく、350円のコーヒーにした。コーヒーが意外とおいしかった。マシンで入れたものだけど、意外といい豆を使っている感じがした。ケーキとコーヒーとサムサを食べて帰るのが一番良いかもしれない。プロフは日本米っぽいけど聞いたらウズベクの米と言っていた。

・apsara  早稲田
目星をつけていた二店が意図せず徒歩圏内だった。僕の場合、50分か、ちょっと遠いけど歩けるな、という判断を下すから徒歩圏内と言ってもかなり伸び縮みはするのだけど、これは本当に徒歩圏内だった。3月にスリランカに行くので経験値を高めておこうと思った。apsaraは、おいしいと思う。駅からはちょっと歩くけど、あのあたりは駅がたくさんある場所で、意外とアクセスは良いような気もした。なんとなく作り置き感が薄く、ココナッツミルクが鼻につくこともない、食べやすい料理だった。僕はこれまでずっとスリランカ料理にあまり良い印象がなかったのは、外で食べるスリランカ料理は、大体作り置き感があって味がクッキリしていて、甘み酸味しょっぱ味がしっかりついていて、ああおいしいねはいはい、という感じだったから。ココナッツミルクのわざとらしい美味しさまで重ねると、どこで食べても一緒だなという感じがしていた。ここのはそんなことはない。でも、飲食店としてはヒキが弱いかなとはちょっと思った。近くにあったら行くけど、誰かに「絶対食べに行って!」と言うほどではない。値段設定はちょっと高め?なのかな。ランプライスはお腹いっぱいになるけど、ライスアンドカレーの方はちょっと物足りないと思う。言えばご飯は大盛りにしてくれそうな気もする。ずっと不思議なのだけど、なんでスリランカ料理店ってご飯が少ないこと多いの?足りなくない? 札幌のチャンドリカはおかずもご飯ももりもりでものすごくお腹いっぱいになる。

・タンジャイミールス幡ヶ谷
ご記憶の方もいるかと思うが、以前経堂店に行って少し悲しい思いをした。今回はおいしかった。今のところ幡ヶ谷店をお勧めしたい。店の作りとしても幡ヶ谷の方が落ち着いて食べられる気もする。タンジャイミールスは、インド料理店としては奇跡的に塩がそれほど強くない(外食だからやっぱり強いけど)。プロの料理だけどどこか優しいのはおそらくメインシェフのシャンカーさんの人柄によるのだろうと思う。たとえばナンディニに比べると塩が半分くらいだと思う。夜にナンディニのノンベジミールスを食べた時は驚いた。小さいカトリ一つで米全部なくなるくらいで、カトリは6個くらいあり、思わず、え?これどうやって食べるの?とキョロキョロしてしまった。カレー探検家いよちゃんの取り計らいで、いくつか特別メニューを出してもらえることになった。ありがとうございます。大変美味しかったのだけど、特別メニューだからおいしかったのではなく、タンジャイミールスだからおいしいと言うべきだろうと思う。青マンゴー入りのスンダル(通常メニューにあるよ)が一番好きだった。そしてタンジャイミールスは少し安いと思う。チャンスがあればまた行きたい。

・タンジャイミールス幡ヶ谷(2回目)
チャンスがあったから翌日の昼にミールスを食べに行った。新宿から歩いて35分くらいか。僕はところどころ走るから20分かからずに着く。東京滞在中は一日3時間以上歩いていたと思う。やっぱりミールスはうまい。現地感マックスというわけではないと思うけど、日本で食べるならタンジャイのミールスが一番おいしいと僕は思っている。

・タパリモモ 大久保
噂のモモスタンドに行ってきた。昼はベジミールスだけで、散々歩いているせいもあってお腹が空いていた。タパリモモは大久保駅のすぐそばにあって、ケバブ屋と、軒を連ねるというか、薄い仕切り一枚で接していた。ほぼゼロ距離。タパリモモには人だかりができていて、ケバブ屋は暇そうにしていた。ケバブ屋の兄ちゃんは曖昧な顔をしてぼーっとしている。モモが6個で500円、僕が渡されたものはぬるくなっていたけど、多分普通は熱々のが出てくるのだと思う。ぬるいものが好きな僕には好都合だった。タパリモモの周りには、ネパール名物の、何をしているんだかわからない暇そうなおじさんが複数名立っていた。きっとタパリモモの発する現地感が彼らを引き寄せるのだろう。モモ自体は特段美味しいものではない気がするけど、訳わからない立地でネパール人に混ざってモモを立ち食いするのは、東京レジャーとして優れていると思う。

・サルシーナハラルフード
サルシーナはうまい。ボッタ(チャトニみたいなもの)とバジ(炒め物みたいなもの)でご飯をもりもり食べる楽しさがある。ダル、ボッタ、バジがあればあとは何もいらない、という気持ちになる。シェフの兄ちゃんは色々と工夫をするようで、多分バングラ人と日本人の両方に喜んでもらえるバランスを探っているのだろうなと思った。インド料理なら先達がたくさんいるから、どれかルートを選べば良いのだろうけど、バングラデシュ料理でそれをやっている人はいないから、大変だと思う。店員さんが増えたような気がするし、調理の効率化も進めているのかもしれない。料理の凄みとしては2年前に比べると少し落ちているような気もするけど、おいしいことには変わりない。じょいっこさんの差配で食事会を開いてもらった。ありがとうございます。いやあ自分は半分店員みたいなものっすわ、みたいなことを言う人がいるけど、じょいっこさんに関しては本当にそうだと思う。これはインド料理にも言えることで、バングラデシュ料理で日本のディナー需要に応えるのは難しいなと思った。何人かで来て、いくつか頼んで、取り分けるスタイル。喋りながら飲んで食べたいから、全てはおつまみと化す。今回の我々は、食べるのが好きで、ぱっと食べてぱっと帰ろう、みたいな会だから問題はなく、90分程度で解散したからちょうど良かったのだけど、もっと腰を据えて喋りたい人にインド料理やバングラデシュ料理を食わせるのは難しい。そういえば酒飲みのネパール人の料理の方が宴会的な使い方には向く。散々飲んで食って、締めにダルバートを食べるらしい。すごいね。僕は常々、しっかり食べてから次の店で酒飲んでしゃべれば良いのではないかと思っていて、イナダシュンスケさんも同じようなことを言っていたのが嬉しかった。インド料理もバングラデシュ料理も、おしゃべりするための食事ではなく、腹ごしらえのための食事なのだと思う。そして僕は、おしゃべりのための食事よりも、腹ごしらえの方が好き。おしゃべりするなら食事より茶の方がいい。散歩しながらしゃべるのも好き。

・ブラッスリーロノマトペ 北千住
何を食べてもおいしいロノマトペ。パテ、ファラフェル、豚足のカリカリ焼きを前菜にして、肉とマッシュルームの煮込みにチーズをかけて焼いたものを食べた。ステークフリットも素晴らしくおいしかった。ロノマトペに関しては、料理を細かくレビューする意味もあまりなくて(専門外だしね!)、その日あるものを食べたら満足するよとしか言えない。値段も安い。ランチタイムは90分制限で、13:30以降の予約なら時間制限はないはず。

・ナワブ湯島店
同じことがナワブにも言える。ナワブはうまい、で全てが終わる。ラムプラオ、アチャーリゴシュト、ダルマーシュ、ロティを食べて、まだ行けそうだからパラクチキンとナンを頼んだ。マニアはダルマーシュを食べてみた方が良いと思う。マニアはロティを選びがちで僕もロティが好きだけど、ナワブはナンもうまい。そういえば新宿店や旧人形町店の方がロティは大きかった気がするけど気のせいか。ナワブはちゃんとおいしくて、働いている人の顔も死んでないから良い。人と喋りながら食事をするなら、ムスリム度の高い料理の方が向いている気がする。問題はムスリムは酒を飲まないことだけど、ナワブは酒も出している。新宿店よりも湯島の方がおいしい。タイミングにもよるとは思うけど、結構違う気がする。

・三燈舎 小川町 神保町
マニア以外にも人気のミールスを食べてこようと思った。11時の開店前から列ができている。ぐええっと言いそうになったけど、人気店だから食べにきているという点で僕もまごうことなきミーハーであり、自分だけが誹りを免れると思ってはいけない。ぐええ。お店は2階にあり、広くはないけど光が入ってきて、カフェのようだった。大理石のテーブルにウィンザーチェア(と言うらしい。背もたれ付きの木の椅子)が配されている。11時開店だったけど準備が間に合っていなかったらしく、二人いるインド人シェフの一人は下を向いてパパドを揚げ、もう一人は肉を刻んでいた。今刻むの?大丈夫?と思ったけど、カレー自体は出来上がっていたようだった。人気店になってスタッフの精神が摩耗していることが感じられた。一定以上に忙しくなると、みんなちょっと斜め下を向いて目を合わさないようになる。がんばってほしい。ミールス自体は、なんというか、甘かった。バトゥーラも甘い。揚げてから時間が立ってるせいで硬くなり、祖母が好きだったザラめつきのせんべいみたいだった。おいしいけど。ダバインディアよりもサラッとしていて甘く、辛さも薄い。サンバルとラッサムの味が近く、どちらも甘酸っぱかった。細かく刻んだ茄子(だったと思う)のサンバルで、ズッキーニとナスのココナッツカレーも野菜が細かく切られていた。キーマとししとうも当然具材が細かい。つまりほぼ全部の具材が細かく、キーマを除き粘度が低めで、俺は何を食べているんだ?という気持ちになった。この感覚は覚えがあるなと思ったらケララの風で、サントーシャもシェフはケララの人らしい。ケララの風のミールスが食べたくなった。おしゃれな店だからスプーンで食べようと思っていたけど、手洗い場が設置されているから手で食べた。手洗い場がある場合は無条件で手で食べることにしている。客層は女性が圧倒的に多く、ヨガやアーユルヴェーダが好きそうな人たちが集まっている。女性に連れられてきたカップルもいる。女性4人組もいる。そう、つまり回転が悪い。行列ができているけど、平気で、ごく普通に、喋りながらランチをしている。サーブが極めて早かったダバインディアとは違い、やや時間がかかること、内装のおしゃれさ、スタッフの優しい話し方、そういうものが相まって、長居しても良い店と認識されてしまっているみたいだった。ダバインディアの高性能集金装置としての雰囲気はなかった。おしゃれにするとこういうことがあるんだよなと胸が痛くなった。隣に座ったおじさんはワンカレーセットで、揚げパンとキーマカレーを食べていた。こう言う人でも残さず食べられるようなものを出すあたりが、ちゃんと商売をやっていて素晴らしいと思った。夜に来た方が楽しいかもしれない。

・アジャンタ 麹町
固形物が食べたい!と思ってそのままアジャンタに行った。いや、1200円で出してくださっているサントーシャランチと比べるのは悪いのだけど、アジャンタは、食べ応えがあった。うまいなあと思った。アジャンタは、プロがきっちり作った家庭料理みたいな味で、本当はもうちょっと塩を弱くして欲しいけど、僕が一番好きなゾーンにあると思う。最高だよアジャンタは。アジャンタはご飯で食べるのが正解の気もするけど、やっぱり小麦も欲しい。セットは小麦にして200円でライスを追加するのがおすすめ。相変わらずマトンカレーの肉質が良かった。もしかして冷凍ではない生の肉を使ってるのか。季節限定のアルゴビもうまいし、チョーレも普通でおいしい。人に作ってもらうインド料理うまいなあと思った。今からもう一回行きたい。ここから先は余談で、アジャンタは立地的にハイクラスサラリーマンも多く、普段雪に埋もれて家の中でパソコンに向かっている僕には、両隣のおじさんは味付けが濃すぎた。僕は社会不適合系だから、社会的な地位がその人にもたらすパワーを感じ取るのが苦手なのだと思う。立派な会社に勤めていたり、役職がついて部下がたくさんいたりすることで、おじさんはパワーを得る。部下は敬語で話し、上司はぞんざいにしゃべる。彼らの中ではパワーバランスに従った正しい振る舞いでなんの不思議もないのだと思うけど、僕には、このおじさんはなぜこんな自信たっぷりで偉そうなの? 100M何秒で走れるの?としか思えない。やはり僕のような社会性のない人間にも凄さをわからせるために、アメリカのエリートよろしく体を鍛えるべき。社会性の高い人間の集団なら肩書きだけで通じるのだと思うけど、ほら、多様性社会だから、誰にでもわかるパワーが必要。あとは料理がうまいのもわかりやすくていいぞ。スパイスレッスンやらないか?

・いただいたアトリエデューのお菓子
竹ノ塚から歩いて20分くらいのパティスリー。ここのお菓子は本当においしい。僕はフランス菓子に詳しくないけど、問答無用のうまさがある。迫力がある。スパイス入りのクッキーを食べた。クッキーは、バターで食わせるタイプと粉で食わせるタイプがあって、それは粉で食わせるタイプだった。もちろんバターもたくさん入っているのだけど、最終的には粉で着地させている。このバランス感覚たるや、アパホテルの部屋でかじって、おいしさに驚いた。エデューはすごい。夏に出すマンゴープリンも劇的においしい。

以上です。一緒に食事をしてくださった方々ありがとうございます。またどうぞよろしくお願いします。連絡をいただければ、基本的にはどなたでも。最後に宣伝を。ビリヤニレッスンは2月28日締め切りです。どうぞよろしくお願いします。https://minami-indo.shop/items/6777c521fe1d6b2580fbfda1

 

シュッキという干し魚のカレーが2種出てきた。ご飯何杯食べればいいの?3杯だよ!そっか!

今度スリランカに行く、まずはコロンボに泊まる、と言ったら、「コロンボなんか泊まらなくていいよ!意味ないよ!」と言われた。キャンディ出身らしい。流れるようにお国自慢とよその悪口を言うのは、インド周辺あるある。

ダルマーシュ。ホワイトウラドダルですね。ししとう?と青唐辛子併用してるのかな。酸味はアムチュールかざくろの種か、なんだろう。わからないけどうまい。