チャトニは、ペーストのような見た目の、役割としては薬味のような、そういう食べ物です。だいたいどんな食材でも、すりつぶしてちょっとスパイスを加えてば、それでチャトニになりそうな気もします。今回は、チャトニの中でも人気が高いと思われる、ココナッツチャトニを延々と研究していこうと思います。そういう料理教室を札幌で開催します。その会の、大体の内容です。
下の写真の、左の皿の3時から5時にかけての位置にある、ペースト状のものがチャトニです。右の皿の上の方にあるのも同じものです。ドーサを頼んだら、そっちにもチャトニがついていて、二倍チャトニになってしまったホテルでの朝食の図です。
まずは、ココナッツチャトニの基本の作り方を見ていきます。
すでにブログにて発表しているココナッツチャトニの作り方を転載します。
●ココナッツシュレッド——1cup
●チャナダル——小さじ1/4(乾煎りする)
●青唐辛子——3本
●生姜——薄切りを1枚
●水——1cup
●塩——小さじ1/2
●テンパリング用
○サラダ油——小さじ2
○マスタードシード——小さじ1/4
○カレーリーフ——10枚程度
①テンパリング用以外の材料をすべてミキサーに入れて、滑らかなペーストにする。テンパリングする。以上。
このレシピは、濃い目辛め、のココナッツチャトニが出来上がります。
それでは、一般化して、どういう手順になるか、見ていきましょう。
①市場にココナッツを買いに行く
え?市場にココナッツが売っていない?それは仕方がないですね。ココナッツシュレッド、もしくはココナッツファインを使いましょう。東京ならココナッツも売っているらしいですが、個人的には、東京は日本ではなく、東京という特殊な地域だと思っています。札幌在住の私も、ココナッツシュレッドを使ってこのコラムを進めていきます。ココナッツシュレッドは、スパイスショップやハラルショップで売っていることが多いですが、通販で買うと楽です。私は、アンビカにお世話になっています。下の写真がココナッツシュレッドです。
②ココナッツをミキサーで挽く
ココナッツシュレッドに水を加えて、挽きます。
このときに、色々なものを加えて一緒にペーストにすることもあります。詳しくは後程。
③テンパリングをする
油でスパイスをシュワシュワと熱して、ココナッツのペーストにかけます。ただし、必ずしも必要なわけではありません。これもあとで詳しく見ていきます。
④好きなものに合わせて食べる
チャトニをそのまま食べる方も、いない訳ではないと思いますが、基本的には、何かと合わせて食べるものです。ミールスについてくることもあれば、スナックや軽食についてくることもあります。ディップのようなイメージですね。
ココナッツチャトニの作り方は本当にいろいろあるのですが、おおよそ、上記のような工程で作られます。かなり、単純な料理だといえると思います。それでは、このココナッツチャトニの中から、工夫の余地のある要素を取り出してみます。おおよそ、このようになると思います。これらを検討していくのが、5月19日の料理教室の内容です。来たれココナッツ好き!
使うココナッツの質
大事ですね。ものすごく大事ですね。でも、日本ではあまり工夫の余地のない部分です。ここは素通りしましょう。ココナッツがそこらに生えている地域にお住まいの方は、ぜひ、良いココナッツを使ってください。
ココナッツシュレッド or ココナッツファイン
それでもやっぱり、選択の余地はあります。ファインが、より細かいもので、シュレッドは、シュレッドです。シュレッダにかけられた書類のように、細長いかんじです。先に答えを言ってしまいますが、シュレッドを使うほうが、より濃厚な味になります。ファインのほうが、そっけないチャトニになります。
ココナッツチャトニに加えるものには、どんなものがあるか
ココナッツをただペーストにしたものをチャトニと呼べるかは、微妙なところです。大根おろしは料理なのか?というのと似ています。ココナッツチャトニに加えるものには、下記のものがあります。大体は網羅できていると思います。
塩・青唐辛子・各種スパイス・ニンニク・生姜・玉ねぎ・ダル・カレーリーフなどのハーブ・タマリンド・レモン・砂糖・ピーナッツ・ごま・ヨーグルト
ココナッツチャトニの挽き具合
ざくざくとしたココナッツチャトニがあり、とろっとしたクリーミーともいえるくらいのチャトニもあります。挽き具合がどのように味に影響するかを検討します。基本的には、粗ければあっさりして、なめらかにすれば、味は濃くなります。
ココナッツチャトニの粘度
皿に置いたとき、さーっと流れてしまう粘度のものもあれば、ねりっとして形を保つものもあります。米に合わせる場合はある程度の粘度があったほうがおいしく、ドーサやワダに合わせるなら、多少さらさらでも大丈夫、という話になります。
ココナッツチャトニの辛味
ココナッツチャトニは、結構辛い場合があります。青唐辛子か赤唐辛子で辛味をつけることが多いです。全く辛くないものは、味に締まりがないことを確認します。
ココナッツチャトニの甘味はどうするか
ココナッツと言えば、甘いような味がします。ココナッツがデザートと結びつきやすい日本においては、甘みは無視できません。レストランで出すのなら、ちょっと砂糖を足して甘くするのも手だと思います。
ココナッツチャトニの色はどうあるべきか
白、薄緑、赤みがかった白、灰色、茶色、と、さまざまなパターンがあります。それらの色が、何に由来するものかを確認しつつ、見栄え、写真映え、という観点から、色を検討していきます。
ココナッツチャトニの塩気はどれくらいにするか
あまりしょっぱいものではないココナッツチャトニですが、塩分ゼロでは味が決まりません。逆に、しょっぱいココナッツチャトニ、というバランスも可能ではあるので、試してみましょう。
テンパリングの有無
油でスパイスを熱して、最後にチャトニにかけて仕上げる作り方があります。これがどのような効果を生むかを確認します。
ココナッツチャトニを何に合わせるか
米料理、ティファン、焼きもの、それぞれにチャトニをつけて食べてみます。最終的には、個人の好みと、何を合わせるかによってココナッツチャトニをどういう風に仕上げるかが決まるね、という結論になります。
まとめとして、おすすめのココナッツチャトニのレシピを4つ挙げておしまいにします。
とにかく濃厚!高級ホテルのねっちりココナッツチャトニ!
(4人分)
ココナッツシュレッド——1cup
ココナッツミルク——大さじ2
チャナダル——小さじ2
ピーナッツ——大さじ1
青唐辛子——2本
玉ねぎ——ちょっと
生姜薄切り——1枚
水——130ml
塩——小さじ1
砂糖——小さじ2弱
〇テンパリング用
マスタードシード——小さじ1/2
ウラドダル——小さじ1/2
ホールチリ——2本
カレーリーフ——5枚
①チャナダルとピーナッツは乾煎りしておく。ピーナッツの皮は剥く。面倒だけど剥く。
②材料を全部ミキサーに放り込んで、滑らかになるまで回す。最後にちょっとココナッツを足して、食感を残しつつ濃厚、という仕上がりにする
③テンパリングをする
タンドールで焼いた肉を食べながら酒を飲んで、締めとしてドーサを頼んだ時にこのチャトニがついてきたら、とても良いと思います。ココナッツの甘味を、ピーナッツとチャナダル、さらに砂糖で増強し、なんだかわからないけど油分と甘みが強くておいしい!ココナッツ大好き!となる味です。
さらっとして辛い!インドの風が吹くココナッツチャトニ!
(4人分)
ココナッツシュレッド——1cup
青唐辛子——2本
生姜うすぎり——1枚
ピーマン——1/2個
クミン——小さじ1
タマリンドペースト——小さじ1
ヒング——ほんの少し
塩——小さじ1/2
水——350ml
①材料をすべてミキサーに入れ、ちょっと粗めのペーストにする。鍋に移して人に立ちさせる。
ポイントは、ピーマンと、煮立たせることです。粘度は低めです。さらっとして、辛くて、青い味です。煮立たせることで、ココナッツの香りが控えめになり、食感としても印象としても、さらっとします。
こういうのもありなんだ!スパイシーココナッツチャトニ!
ココナッツシュレッド——1/2cup
ヨーグルト——大さじ2
サラダ油——大さじ2
ウラドダル——小さじ1
クミン——小さじ1
コリアンダーシード——小さじ1/2
ホールチリ——3本
にんにく——2かけ
生姜——ニンニクと同量
青唐辛子——1本
塩——小さじ1/4
水——100ml
①鍋にサラダ油を熱して、ウラドダル、クミンシード、コリアンダーシードを加える。色づいてきたらホールチリをちぎって入れる。ニンニク、生姜、青唐辛子、を加えて、さっと炒める。火を消して、水を加える。粗熱が取れたらヨーグルトを加え、ミキサーで粗さの残るペーストにする。
あえて言うなら、kobari pachadiです。アーンドラのチャトニです。辛くて、スパイシーで、肉料理にも合いそうな味です。写真では粘度が高くありませんが、もう少しぽったりした実際はもうすこし、ぽったりした仕上がりになります。
ざくざくして楽しい!そのままで食べられるココナッツチャトニ!
ココナッツシュレッド——1/2cup
青唐辛子——1/2本
クミンシード——小さじ1/2
塩——小さじ1/4
水——1/2cup弱
①材料をすべてミキサーに入れて、粗いペーストにする。
雑なチャトニ、というかんじです。ココナッツが好きな方なら、そのまま食べられます。ミールスに合わせるなら、これくらいのざっくりしたかんじのも良いと思います。