ミールスの実践 vol6「夏野菜の別バージョン」

こんなものを作りました。夏野菜その2です。

夏野菜は終わらない

vol.5「夏の終わりの夏野菜ミールス」でつかった材料がまだ余っています。なので、同じような材料で、次は違うミースルを作ることにしました。タミルのもので揃えます。

前回のアーンドラっぽいミールスは全体的に味が濃く、ちょっと食べていて疲れるような味だったので、今度はもうすこし穏やかな味にします。料理教室もやっています。

解説のようなもの

Avarakkai poriyal

平べったいササゲのポリヤルです。flat beansです。このレシピに近いです。

レシピにターメリックを足して、ココナッツは減らしてあります。歯ごたえはあまり残さずに、くたっとするまで火を通して、ごはんに混ぜた時に食べやすくしました。ササゲ自体に甘みがありますし、ココナッツはまったく入れなくても良かったのですが、見た目としては、ぽろぽろとしたココナッツが入っていると良いので、少しだけ入れました。わざわざpodi kariにしなくても十分美味しいです。

Kathirikai podi kari

茄子のポディ・カリです。こちらにじゃがいもバージョンのレシピがあります。

このレシピでは、ポディにクミンとブラックペッパーを使っていますが、今回は、チャナダルとホールチリだけ、という地味な作りにしました。茄子はもともと味の濃い野菜で、スパイシーにするととてもおいしいのですが、それだとミールスの中で浮いてしまうので、ここでは、「ただ茄子を炒めた味」に近くなるよう、スパイスは入れませんでした。バガラベインガンが食べたくなりました。

見た目としては、茄子の白い部分でなく、皮の濃い色のほうが大切だと思います。なので、小さくて皮が厚い、インドにはありそうな茄子をつかうと、見栄えが良くなると思います。とくにバナナの葉に乗せると映えそうです。

Poosanikai kootu

冬瓜のクートゥです。poosanikaiと冬瓜がきれいにイコールで繋がる訳ではなさそうですが、まあ間違いではなさそうです。クートゥはまだあまりレシピがありません。ほうれん草のならあります。

冬瓜と、茹でたチャナダルをココナッツペーストで煮込んだものです。優しい味です。一品こういうものがあると、心が穏やかになる気がします。塩も強くしないで、あくまで優しく、です。ケララの風のカブのクートゥを思い出しました。

今回はココナッツペーストを多めにして、とろっとした仕上がりにしましたが、もっと減らして冬瓜の形がわかるような、和え物のような見た目にしても良いと思います。

Pavakkai chips

ゴーヤチップスです。タミルに固有のものではないと思います。レシピもあります。

サクカリッとして、苦くて、しかも油を吸っているので、ミールスにあると、かなり満足度が上がります。これだけ食べ続けることも可能です。ほかに述べるべきことはありません。

Sambar Rasam

写真にはありませんがサンバルとラッサムも作りました。サンバルのレシピはこちらです。

ミキサーでスパイスと青唐辛子を一緒に粉砕して、サンバルパウダー代わりにしていたのですが、量が少ないとミキサーがうまくまわりません。なので今回は、スパイスはスパイスでミルで粉末にし、青唐辛子は、最後に鍋に放り込みました。ティファン愛好家のtaniguchiさんの真似です。また、レシピよりもタマリンドを増やし、さっぱりさせています。

ラッサムは、このレシピ集のmilagu paruppu rasamに近いです。

トゥールダルと多めのブラックペッパー、クミンとフェネグリークちょっとを乾煎りして粉末にします。その粉末、水、タマリンド、塩、カレーリーフを煮込んで作ります。テンパリングはしません。塩は少なめにして、酸味は強めにします。塩を少なめにするので、とても素っ気ない味になり、おいしいです。最近、ラッサムに最後のテンパリングはいらないのではないかと思うようになっています。マスタードシードの香ばしさやオイルは、たしかにおいしいのですが、それをなくすことで、より動きのない味になり、その静けさこそがラッサムに求められているものではないか、とごちゃごちゃと考えています。

盛りつけるとこのようになります。右端にあるのは梅のウールガイです。熟成が進んで梅干しの味になってきました。ものすごく酸っぱいです。 

効率よく作るために

・今回は切る野菜が多いです。出来るなら、時間のある時に、あらかじめすべての野菜を切ってしまうと良いです。圧力鍋はトゥールダルにしか使わず、ミキサーもクートゥ用のココナッツペーストにしか使わないので、忙しくはありません。

・今回は味の落ちやすいものが少ないので、順番はあまりこだわりません。ゴーヤは、最後に揚げたほうがさくっとしておいしいです。下記の順番で仕上げていくと良いと思います。あくまで目安程度です。

先に作って良いもの

ササゲのポリヤル

茄子のポディ・カリ

冬瓜のクートゥ

出来たてが良いもの

ラッサム

サンバル

ゴーヤチップス

作った感想

・ミールスの喜びは、やはりこういう味にあると思いました。前回のアーンドラっぽいのもおいしいのですが、ミールスにしなくてもよいかな、と思います。ご飯がいくらでもたべられます。

・揚げ物がひとつあると、満足度がちがいます。ワダやパコラなんかでも良いです。おもてなしの時には、なにか一つあると良いと思います。


同シリーズの記事もあります

vol.1「チェンナイにある、すこし現代的できれいな店で出てくるミールスをイメージしたもの」

vol.2「ケララの定番ぽいもの」

vol.3「豆をたくさん食べたい」

vol.4「青バナナが届いた。食べよう」

vol.5「夏の終わりの夏野菜ミールス」