spinach kootu keerai kootu
ほうれん草と豆とココナッツを合わせて煮たものです。
「kootu」は、「combined」くらいの意味で、二種類以上の何かが合わさったものを指します。と言うと、もう、カレーは全部クートゥじゃないか!とのご指摘を受けそうです。一般的には、豆と野菜を煮たものに、ココナッツが入ったり入らなかったり、というくらいのものが、kootuなのだと思います。おそらく、豆の入らないクートゥは普通ではないですし、野菜の入らないクートゥも一般的ではないと思います。
余談ですが、spinach kootuというよりも、keerai kootuと言った方が格好いいと思います。keeraiというのは、青菜全体を指します。ドラムスティックの葉drumstick leaf、アマランサスamaranth、フェネグリークリーフ methi leaf、ほうれん草spinach、などです。
これは非常に勝手な想像ですが、keerai、というと、その辺りに勝手に生えていそうな葉っぱイメージして、ほうれん草のように、その葉を食べることを目的に育てられているものは、keerai感が薄い気がします。果実とか種子が欲しいんだけど、葉っぱを煮て食べることもできる、みたいな、ぞんざいな気持ちが、keeraiという言葉に含まれている気がします。圧倒的に個人的な意見です。信用しないでください。
動画もあります。見てください。
材料と手順
(4人分)
●ムングダル——1/4cup(30分以上水に浸しておく)
●水——500ml
●ターメリック——小さじ1/6
●ほうれん草——100gくらい(1cm幅に切る)
●塩——小さじ1/2
●ココナッツペースト用
○ココナッツシュレッド——1/4cup
○水——1/2cup
○クミンシード——小さじ1/4
○青唐辛子——1/2本
●テンパリング用
○サラダ油——小さじ2
○マスタードシード——小さじ1/4
○カレーリーフ——10枚程度
①ムングダルを煮る。鍋に、浸水させたムングダルと、水、ターメリックを入れて、火にかける。吹きこぼれに注意しながら、ムングダルが柔らかくなり、水分が飛んでぽてっとするまで、30分くらい煮る。
②ダルの入った鍋に、切ったほうれん草を入れ、かき混ぜながら10分ほど煮る。焦げ付きやすいので注意する。もし焦げ付きそうであれば、すこしだけ水を足す。ほうれん草がくたっとなって完全に柔らかくなったらココナッツペーストと塩を加え、2分ほど煮立たせる。
③テンパリングをする。別の小鍋にサラダ油を熱し、マスタードシードを入れ、8割がた弾けたら、ホールチリ、カレーリーフを入れて火を止める。ざっとかき混ぜてカレーリーフに火を通したら、カレーの入っている鍋に、じゃっとかける。味を見て、足りなければ塩を足す。
ほうれん草のクートゥのポイント
・基本的には、ほうれん草の味を楽しむものだと思います。なので、ほうれん草は多めにして、あとは、豆とココナッツの甘みでそれを補強する、というイメージです。
・なんだか半端な味になったな、と思ったら、おそらくそれで正解です。塩味も豆味もココナッツ味も、すべてがほどほどについたような味です。まったりとしています。辛みは、あまりありません。
・粘度は、高めにします。ここが作るうえで一番のポイントかもしれません。このレシピだと、皿に置いてもまったく流れないくらいの粘度になります。水分を飛ばしたダルにほうれん草を入れて、ほうれん草自体の水分で煮込み、ココナッツペーストを加えるイメージです。ココナッツペーストを加えるまでは、水は少なめ少なめです。
・色は、黄色のダルにみ緑のもにょもにょが混ざったような色です。なんだか冴えない見た目だな、くらいで良いです。
こういう作り方もあります
・粘度に関しては、色々です。もっと水を足しても良いですが、栗きんとん一歩手前くらいに、もったりさせたほうが、甘みがはっきりとして良いと思います。
・ほうれん草のクートゥは、ココナッツを入れることが多い気もするのですが、入れなくても一応料理としては成り立ちます。また、ココナッツペーストでなく、ココナッツミルクを使っても作れます。
・ダルの量は、もっと多くすることもできるし、少なくしてkeerai masyalっぽくすることもできます。あまりダルを多くすると、ほうれん草入りのダル、との区別がつきにくくなるので、あまり多くしない方が良いとは思います。また、豆の煮崩し方は色々です。ここでは、ほぼ完全に煮崩していますが、かなり形を残した状態でも大丈夫です。
・ほうれん草のクートゥに関しては、ムングダルが多いとは思うのですが、トゥールダルでも作れますし、他のダルではダメなわけではありません。
・玉ねぎ、ニンニク、生姜、トマトを入れることもできます。どうやらインド人は玉ねぎとトマトが好きみたいですね。
・ココナッツペーストに生米を入れることもあるようです。生米ひとつまみを、ココナッツと一緒に挽いてください。ヒングを入れても良いですね。サンバルパウダーを入れてもっとスパイシーにすることもできます。
・ムングダルは、水に浸さなくても煮られますし、そういうレシピのほうが多いのですが、間違いなく、水につけたほうが上手に煮られます。もし水に浸す時間がなければ、煮るときの水を600mlくらい入れればよいと思います。
どうやって食べるか
・ご飯と食べるのが良いと思います。ほかの主食と食べても良いとは思いますが、いまひとつイメージがわきません。
・ミールスの中の一品にあると、喜ぶ人は多いと思います。辛みがすくないので、食べやすいのかもしれません。ココナッツと豆で甘みがありますしね。
・南インド屋のミールスは、では、日替わり一つ、ダル・サンバル・ラッサムの三種類、パチャディorプリセリ、炒め物か和え物っぽいもの、ヨーグルト、ピックル、という構成でした。そうすると、クートゥをどこに入れるかと言うと、パチャディorプリセリのココナッツヨーグルト部門の場所なのですが、クートゥとパチャディでは、どう考えても喜ばれるのはパチャディです。クートゥは地味ですからね。だから、南インド屋では、あまりクートゥの出番がありませんでした。味自体はジャパナイズしなても、組み合わせや提供の仕方は多少ジャパナイズされた店でした。
・原価的には、とても優秀です。どんどん作りましょう。
・最近同じ事ばかり書いている気がしますが、これも、いわゆるスパイスカレーに使えると思います。すでに使っている人もいますよね。