ミールスの実践 vol2

こんなものをつくりました。

今回のテーマは「ケララの定番っぽいもの」

ケララのOnamというお祭りで食べられるらしいSadyaは、これぞフルミールスという豪華さです。ケララには、Sadyaに限らず、ごちそうっぽい時の定番メニューがあるようで、その中からいくつかを抽出してみました。インドに行くならケララのリゾート地かな、という、インド好きに軽蔑されそうなことを考えています。料理教室もやっています。

解説のようなもの

Rasam

すこしケララの風Ⅱを意識したラッサムです。トゥールダルと、ブラックペッパーやクミンなどのスパイスを軽く煎って粉末にし、それを、タマリンド、塩、水、カレーリーフと一緒に少し煮込んでから漉しました。sadyaで必ずラッサムが出てくるわけではなさそうですが、あった方が嬉しいので毎度作ります。全体的にココナッツを効かせた優しい味にするので、あまりタマリンドを効かせすぎないようにしました。

Varutharacha sambar

焦がしココナッツ入りのサンバルです。ケララだからと言って必ずこういうココナッツ入りという訳ではないようですが、せっかくなのでココナッツ風味にします。野菜は、数種類を組み合わせるのが定番のようです。今回は、茄子とオクラだけにしました。ドラムスティック、冬瓜、人参、などなど、何を入れても駄目ではないようです。

わかる方にはわかるかと思いますが、varutharacha sambarにしては、色が薄いです。豆ひとカップに対して、ココナッツを1/2ucpほどにして、ローストの仕方も控えめにしたからです。

若干塩は強めにして、タマリンドは控えめにしました。他がご飯に合わなさそうなものばかりなので、ここはせめてきっちり味をつけたかったのです。

Parippu

緑豆のカレーです。いつも通りダルと呼んでも良いです。パリップの方が、雰囲気が出る気がします。かるく乾煎りしたムングダルを圧力鍋で煮たあと、泡だて器でがしゃがしゃやって、徹底的にポタージュ状にしました。そこにココナッツとクミンのペーストを入れ、カレーリーフも入れて煮込みます。最後にマスタードシードをテンパリングします。辛味はゼロにしました。

ダルは、いつものダルが一番好きですが、こちらのほうがさらにまろっとして優しい味です。これをご飯にかけて、ギーを垂らしたりするようです。すでにココナッツの油分が加わっていて、十分にまろっとしているので、ギーは垂らさないで食べました。

Kiwi kalan

キウイのカーランです。ぽってりとした、スパイシーなココナッツヨーグルト煮込みみたいなものです。青バナナやヤム芋で作るのがもっとも一般的だとは思いますが、マンゴーをつかった甘いものもあるので、それを意識してゴールデンキウイで作りました。切り方が大きいのは、そのためです。

ブラックペッパー、軽く煎ったフェネグリーク、クミンシードを、きっちりと粉末にしておきます。ココナッツシュレッドと無脂肪ヨーグルト(普通のヨーグルトでも多分OK)、青唐辛子を、ミキサーの限界に挑むような滑らかペーストにします。水は加えません。スパイスミックスとココナッツペースト、塩、チリパウダー、ターメリック、キビ糖、を鍋に入れて火にかけ、かき混ぜながら水を飛ばすように全体に火を通して、大きく切ったキウイとカレーリーフを入れます。酸味が出る程度に火を通したら火を止め、マスタードシードとホールチリをテンパリングします。

ねっとりとして、甘くてスパイシーに出来上がります。今回は気合を入れて辛くしすぎました。あまりチリパウダーは沢山いれない方が良いです。

Olan

冬瓜と小豆のオーランです。南インド屋のレシピでは赤インゲンと南瓜で作っていましたが、それはすこし邪道です。こちらのほうが一般的だと思います。小豆はあんこにしなければ意外と淡い味で、ココナッツミルクと塩だけの味付けが、やんわりと幸福感を演出します。まあ、ちょっと気持ち悪い味でもあります。これはぜひ、フレッシュカレーリーフが欲しい味です。それと、amazonで安く売っているオーガニックのココナッツミルクではなく、すこし値段の高い、ちゃんとココナッツ味のする方をつかうのがポイントだと思います。

Cabbage thoran

キャベツのトーレンです。ポリヤル、と呼んでも間違いではありません。これは、こまかーく切ったキャベツと、塩、青唐辛子、ターメリックをあらかじめ混ぜておき、それからマスタードシードをテンパリングして炒めます。炒める、というよりは炒め蒸しです。蓋をして、ごく弱火で仕上げます。最後にココナッツシュレッドを細かめに挽いたものを和えて出来上がりです。

効率よく作るために

・圧力鍋が複数ある家庭は珍しいかと思います。今回は、オーラン、サンバル、パリップに使うので、ここがボトルネックになりやすいです。調理を開始したらすぐに小豆を煮はじめます。

・ダルを煮ている間に、キャベツ、冬瓜、茄子、キウイを切ります。手が追いつくなら、サンバル用の野菜を下茹でしたり、オーラン用の冬瓜を茹でながら野菜を切っていきます。

・味の落ちやすいものと落ちにくいものを二群に分けて考えて、仕上げる順番を考えると良いと思います。ごはんは、保温器があるなら先に茹でてしまっても良いです、ただ、米を茹でる作業はかなり注意力がいるので、同時進行でやるには、慣れが必要です。オーランを仕上げつつ、鍋に湯を沸かして、オーランが出来上がったタイミングで米を投入するくらいの方が、ミスが少ないと思います。

先に作って良いもの

トーレン

パリップ

出来たてが良いもの

カーラン(キウイでなければ最初に作っても大丈夫)

ラッサム

サンバル

オーラン(一番最後に仕上げる)

※ごはん

 

作った感想

・ケララっぽいミールスはおいしいです。ココナッツ好きにはたまりません。ラッサム以外すべてにココナッツが入っています。ちなみに、僕はココナッツがすこし苦手です。スイッチをオフにしておいしく食べています。

・このミールスは、カレーリーフ無しでは味気ないかもしれません。なにか適当なことを言った気もしますが、手に入るなら使ってください。

・生姜味が入ると良かったかもしれません。タマリンドと生姜のチャトニpuli injiや、生姜とヨーグルトのチャトニinji thairがあっても良かったと思います。ジンジャーラッサムにしたり、トーレンに入れたり、ということもできます。

・キウイのカーランでなく、プリセリpulisseryにしても良かったかな、という気がします。

・サンバルのココナッツ風味を抑えてつくりました。これで良かったとは思いますが、気温が上がって空が青くて、人々がゆっくり歩いていれば、もっとココナッツを投入しても良かったと思います。札幌はもう秋の風です。

・カレーリーフはテンパリングするよりも煮込む方が香りが立つ気がして、ここのところ鍋に直接放り込んでいます。なんとなく、そのほうが香りが立つ気がします。

・米は、日本米ではちょっと気持ち悪くなりそうです。インディカ米にしましょう。ケララの赤米、食べてみたいです。ぷりぷりしているそうですね。


同シリーズの記事はこちらです

vol.1「チェンナイにある、すこし現代的で綺麗な店で出てくるミールスをイメージしたもの」