ゴーヤのトーレンのレシピ

bittergourd thoran

ゴーヤのココナッツ炒め蒸しです。ケララの言葉malayalamでいうと、pavakka thoranです。ポリヤルとどう違うのかと言うと、トーレンは基本的にココナッツを含み、強く炒めると言うよりは、蒸すようにして静かに炒める印象です。もちろん、トーレンのような優しいポリヤルも存在するのですが、大体は、そんなイメージです。また、どちらかと言うと、thoranの方が、崩すように細かく切るイメージです。別稿でゴーヤのポリヤルもありますので、それと対比させるようにして、こちらは、気合を入れて細かく切ります。フードプロセッサーがあれば楽です。

動画を作りましたのでご覧ください

材料と手順

(4人分)

●ゴーヤ——大きめの1本/可食部200gくらい/2cup

(種を取って細かいみじん切りにする)

●サラダ油——大さじ1

●マスタードシード——小さじ1/2

●ホールチリ——2本

●玉ねぎ——大さじ山盛り1(細かいみじん切り)

●青唐辛子——1/2本(細かいみじん切り)

●塩——小さじ1

●ココナッツシュレッド——3/4cup(ミキサーなどで細かめに挽く)

1.鍋にサラダ油を熱し、マスタードシードを入れる。8割くらい弾けたら火を消し、玉ねぎ、青唐辛子、カレーリーフ、塩、を入れて、ざっとかき混ぜたらゴーヤを入れる。大さじ1程度の水(分量外)を入れて蓋をする。ゴーヤの質や鍋にもよるが、しんなりしつつも歯ごたえが残るまで、最小の弱火で10分くらい蒸し焼きにする。

2.蓋を開けたら、挽いたココナッツと、水大さじ1程度(分量外)を入れたら火を止めて、味がなじむまで良くかきまぜる。もし、水分が足りず、ココナッツがカサカサするようだったら、水を足す。

縦に薄切りにして

横向きにして細かく切って

さらに斜めにも包丁を入れてみじん切り

ココナッツシュレッドを挽いてつかう

ちょっと多いかな、くらいの量のココナッツ

ゴーヤのトーレンのポイント

・ゴーヤの苦みと、ちょっと多すぎるかな、というくらいのココナッツの甘みで、ぎりぎりバランスを取ります。やっぱりけっこう苦いです。

・強火で炒めてしまうと、かなり味が違ってきます。必ず弱火で調理してください。ゴーヤは、サクサクとせず、しんなりしつつも歯ごたえが残るくらいにします。完全にぶにゃぶにゃまでいくと火を通しすぎです。

・使うココナッツシュレッドの質やによって、水分が足りず、ぱさぱさになってしまうこともあります。口に入れるときに、べちゃっとはしないまでも、しっとりしていた方が口当たりが柔らかくなっておいしいので、味見をしながら、足す水の量を調節してください。削りたてのココナッツを使えば、良い具合に水分が残っている筈なので、ココナッツを削って使う方は、最後に足す水は必要ありません。

・ゴーヤは、おもいきり細かくします。すべてのトーレンが、親の仇のように細かく切られているわけではありませんが、なんとなくその方が雰囲気が出ます。口に入った時のかんじも違ってきます。なので、ココナッツも、ここではシュレッドのまま使わず、挽いてからつかいます。ココナッツファインでも良いのですが、味が抜けている気がするので、できればシュレッドを挽いてつかってください。

・塩は、濃い程にはしませんが、ゴーヤとココナッツの味がつよめなので、それに負けない程度にはつけます。

・ゴーヤの質や使う鍋にもよるのですが、水を入れて蒸すと、出来上がりが水っぽくなることがあります。出来上がりは、しっとりしつつ、ぱらりとなるようにします。

・青唐辛子は入りますが、あまり辛くはしない方が良いです。

こういう作り方もあります

・切り方は、色々です。うす切りにしても良いですし、角切りにしても良いです。

・ターメリックを小さじ1/4程度入れて、黄色くしても良いです。お好みでどうぞ。

・玉ねぎはと青唐辛子は、必須ではありませんが、入れた方が味がまとまりやすいです。このレシピは玉ねぎ少な目でして、もっと沢山いれても良いのですが、果たして日本の甘い玉ねぎを沢山いれておいしいのか、というと、ちょっとわかりません。個人的には好きではありません。

・チリパウダー、生姜のみじん切り、などを入れても良いです。ホールチリは見た目のために入れているので、抜いても良いです。

・苦いのが苦手な方は、切ったゴーヤを水にさらしてから使ってください。

・カレーリーフは、ゴーヤの青臭い香りと重なるので、あえて使っていません。お好みで入れてください。

・ココナッツオイルがある方は、炒める際に使ってください。

・材料をすべて混ぜてしまい、それから蒸し焼きにする方法もあります。こちらのほうが伝統的と思われます。

どうやって食べるか・どのように提供するか

・ミールスの一品として食べます。これにダルがあれば、とても簡素ですが、ミールスになります。出来ればバナナリーフに乗せて、手で食べたいトーレンです。逆に言うと、日本人的感覚でいえば、ゴーヤの味を楽しむには、切り方が細かすぎます。もう少し大きく切ったほうが、日本での受けは良いと思います。

・夏らしいメニューです。ゴーヤの出盛り期に作ると良いと思います。

・トーレンは、ケララ州の料理です。優しい味のミールスに合います。日本的な感覚ではありますが、きりっと酸っぱ辛いクランブのあるミールスに、こういうココナッツ味のものを合わせて、味のバランスを取る、という手もあります。

・食べやすい味かと訊かれると、ちょっと困ります。ゴーヤがたくさん使われていて苦いので、苦手な人は苦手です。なので、お店で出すには、原価の高さも相まって、厳しいかもしれません。ケララの風でも見たことはありません。ただ、インド料理好きの集まりなら、とても喜ばれると思います。


トーレンは、ケララ州の食べ物です。ケララのものは、ココナッツを使うものが多いです。

ケララっぽいものをいくつか紹介します。

オーランのレシピ

カボチャと赤いんげんのココナッツミルク煮です。

この組み合わせはあまり一般的でなく、皮付きの黒目豆(red lobia)を使うのが一般的です。皮なしでも良いです。

オクラのティーヤルのレシピ

焦がしココナッツとタマリンドのカレーです。

とてもおいしいのですが、人に勧めるのは、ちょっとためらうような変わった味です。

冬瓜のプリセリのレシピ

冬瓜の無脂肪ヨーグルト煮です。本来はバターミルクを使います。

味がない、と言っても差し支えない、さっぱりとした食べ物です。日本で普及させるのは難しそうな味です。

パイナップルのプリセリ

パイナップルをつかったプリセリです。

こちらのほうがまだデザート感覚でいけそうですが、残念ながらこれもご飯にかけて食べます。

クートゥカリのレシピ

クートゥカリ

じゃがいもと皮付きひよこ豆の、焦がしココナッツカレーです。

意外とはじめての方でも喜んでもらえる料理です。まあ、南インド屋に来るお客様だから、という可能性が高いですが。

生姜とヨーグルトのチャトニ

インジタイル、という、みじん切りの生姜とヨーグルトを合わせて、塩味をつけたものです。

これを、味のアクセントにするようにして、ご飯に混ぜて食べます。さわやかな味です。