Paruppu rasam
ラッサムとは、タマリンドやブラックペッパーが入ることの多い、スープ状のカレーです。タマリンドもブラックペッパーも入らないものもありますが、入るものが一般的です。
トマトが多ければトマトラッサム、ニンニクが強ければガーリックラッサム、ブラックペッパーが効いていればペッパーラッサムとも呼ぶのですが、定義はあいまいです。トマトとニンニクとブラックペッパーが入ったものがなんと呼称すれば良いでしょうか。また、ダルが」入ったものや、その煮汁をつかったものを、dal rasam またはparuppu rasamと呼びます。このレシピのラッサムは、ブラックペッパーとダル、どちらが強いかと訊かれると悩むのですが、ぎりぎりダルだろうということで、paruppu rasam とつけました。
また、このレシピは「ケララの風Ⅱ」のレシピを参考にしております。
動画を作りましたので、イメージを掴むのにつかってください。
材料と手順
注.このレシピはもう一つの代表的なカレー「サンバル」を同時に作ることを想定しています。二つそろうと幸せな気分になりますので、ぜひ一緒に作ってみてください。
(5人分)
●トゥールダルの煮汁——–1000ml
●タマリンドペースト——大さじ1.5
●塩——–小さじ2.5
●ラッサムパウダー(ミキサーで粗く砕いておく)
クミン——–小さじ1
ブラックペッパー——–小さじ1
水——–50ml
●テンパリング用スパイス
サラダ油——–小さじ2
マスタードシード——–小さじ1/4
ホールチリ——–3本
カレーリーフ——–10枚
1.深めの鍋に、テンパリング用スパイス以外の材料をすべて入れて、中火で20分煮込む。
2火を止めて5分ほどで沈殿するので、鍋をゆっくり傾けてボールに移し、上澄みをとる。このとき、ボールにザルを置いておくと良い。鍋を傾けると、沈殿している成分が舞い上がるが、神経質にならず、その成分もボールに移してしまう。鍋の底には、ざらざらしたスパイスと、もったりとした豆の成分が残るので、これは捨てる。次は、ボールから鍋に戻す。5分くらい待って沈殿したら、ゆっくり傾けて、一番底にある重たい沈殿物を入れないように、上澄みをとる。動画や画像参考のこと。
3とった上澄みを火にかけて温める。味を見て、足りないようであれば、塩とタマリンドペーストを足す。そのときは必ず、塩→タマリンド、の順番で加える。
4テンパリングをする。小鍋に油を入れて熱し、マスタードシードを入れる。8割がた弾けたらホールチリを入れ、一呼吸おいてからカレーリーフを入れて火を止める。ざっとかき回してカレーリーフに火を通してから、鍋に、ジャッと加える。
ラッサムのポイント
・粘度は薄く、スープ状です。色は、澄んでいつつも、ブラックペッパーとタマリンドによって、黒ずんだ出来になります。
・やや強めの塩味に、タマリンドの酸味が、しっかりとします。どちらかというと、酸味より塩味のほうが強いです。ブラックペッパーとクミンがきりっと効いていて、辛みもあります。辛みは、ホールチリとブラックペッパーによるものですう。
・スパイスの挽き方で味は変わってきますが、きっちり色が出て、しょっぱくて酸っぱい出来になればそれでOKです。
・トゥールダルの煮汁を作るときに、しっかり煮込まれていないと、味の薄いラッサムになります。サンバルのレシピをご覧ください。
・酸味が足りないと思ったときには、まず塩を足してください。タマリンドの酸味は、塩を入れないと、いくら入れても酸っぱく感じません。なので、必ず、塩味を決める→酸味を決める、という順番にしてください。
・トマトもニンニクも入らないので、味を決めるのが難しいかもしれません。レシピ通りに作ってみてください。
こういう作り方もあります
・・この欄では書ききれないくらいに、サンバルには色々なタイプがあります。なので、あくまでこのレシピの応用を書いていきます。
・トマト、ニンニク、生姜、を一緒に煮込んでも良いです。そのほうが一般的ではあります。
・ヒング、フェネグリークなどを入れても良いです。コリアンダー、フェンネル、なども使えます。
・ラッサムを単体で作るときには、圧力鍋でトゥール豆20gを煮崩して、それを水で溶いて煮汁の代わりにしてください。もちろん、同じ味にはなりません。
・味を左右するのは、手順2の部分です。どれぐらい沈殿物を入れるかで味が変わります。やってみるとわかるかと思いますが、たくさん入れると、味が濁りスパイシーになって、入れすぎると苦くて不味くなります。完全に澄んだラッサムにすると、これが、すっきりしておいしいのですね。ただ、パンチにかけるのと、収穫高が減ってしまうので、勿体ない気持ちになります。鍋を傾けた時に、ふわっと舞い上がるものは入れて、底に残るもったりした部分はいれないくらいが、丁度よいと思います。
・スパイスの挽き方ですが、細かくすればするだけ、スパイスの味が強くなります。それはすなわち苦くなることです。粗めに砕くぐらいがおすすめですが、好みに合わせて挽いてみてください。まったく挽かずにホールのままでも、おいしいです。その時は、煮込み時間を1時間くらいとると良いです。
・思い切りタマリンドを強くするのも良いですし、逆に、塩もタマリンドも減らした、気の抜けたようなラッサムにするのも、インドの適当な食堂風でよいかもしれません。行ったことはないので想像ですが。
・あれば、最後に刻んだパクチーを入れるとおいしいです。
どうやって食べるか・どのように提供するか
・ミールスの主役のひとつです。アペリティフとしても良いですし、ご飯にかけて食べても良いです。締めに飲むのも良いです。
・ミールスには必ずラッサムがつく訳ではないようですが、日本においては、ラッサムがあったほうが受けは良いと思います。今のところ日本では、トマトとニンニクが効いたトマトラッサムが人気のようです。このレシピで出来上がるのは、誰もが喜ぶようなラッサムではありませんが、ミールス好きには喜んでもらえるような味です。そのあたりはご承知おきください。
・インド料理店以外にも応用のきくスープだと思います。その場合は、マイソールラッサムのほうが良いかもしれません。
個人的には、ミールスにはラッサムは必須です。ほかに、サンバルかダル、それにポリヤルなんかがちょっとあれば、
それで立派にミールスになります。基本的なものを紹介します。
南インド屋のレシピを十全に楽しむためには、タイ米やソナマスリライスなどの、香りの薄いインディカ米が必要です。
お勧めなのはタイ米です。その茹で方を紹介しています。
玉ねぎ、トマト、ニンニク、生姜、どれも入らない、硬派なサンバルです。
ムングダルで作った豆のカレーです。サンバルの代わりに主役を張れます。サンバルより簡単なのでおすすめです。
キャベツのココナッツ炒めです。汁気のあるものばかりでなく、こういう炒め物っぽいものがあると、
がぜんミールスらしくなってきます。とくにこのキャベツのポリヤルは、作りやすくて安くておいしいので、おすすめです。
野菜ばかりで物足りないときは、オムレツを焼いて添えましょう。
トマトと青唐辛子があれば、それでおいしく作れます。できればパクチーも欲しいですが、なくても良いです。
南インド屋では、ベジミールスにバスマティライスを合わせることに強く反対しています。
バスマティライスはおいしい食べ物ですが、使い方を考えたほうが良いです。
狭義のミールスには、日本ではタイ米がベスト、という話をしています。