南インド屋が本気で作った、チャイのレシピ13パターン

チャイのレシピを13パターン作りました。それぞれに、違ったおいしさがあります。

おいしい麻婆豆腐の味の方向性は、多くても3種類くらいしか無いと思いますが、チャイは、おいしさの種類がたくさんある料理だと思います。最適解がひとつに絞れない、ということでしょうか。いわゆる奥が深い、というやつかもしれません。

単純にレシピの数を増やすだけなら、砂糖を増減すれば無限に増やすことができますし、ミントを載せる、醤油ひとたらし、イチゴを載せるメロンを載せる、などでも増やせますが、そうではなく、出来るだけ同じ材料で、違うおいしさを表現していきます。それと、個人的にアイスチャイが好きではないので、ここには載せていません。適当に濃いめに作って冷やせばよいと思います。

ここには載せていませんが、チャイ教室で頂いたリクエストをもとに、新しいチャイのレシピを別記事で紹介しています。宜しければご覧ください。

チャイのレシピ追加します(随時更新)

それでは、ひとつずつ紹介していきます。

チャイの基本

①チャイは、紅茶用のストレイナーで漉して飲んでください。レシピの中には書いていませんが、すべてのレシピにの末尾に、漉して飲む、と心の中で追加してください。漉さないで放っておくと、どんどん渋くなっていきますので気を付けてください。

②ここで使用している材料は、よつ葉の牛乳、スズラン印の砂糖、TAPALのCTC茶葉、です。これ以外の材料で作る場合は、レシピどおりにつくっても味がきまらないことがあります。そいうときは、ご自分の条件でおいしく作れるよう、微調整をしてください。おいしくできない時の調整法を、本稿の最後に載せておきますので、参考にしてください。

チャイの牛乳

よつ葉の牛乳です

チャイの茶葉

TAPALのCTC茶葉

スズラン印です

それでは、ここからがチャイのレシピです。それぞれのチャイを項目ごとに五つ星で評価し、名称の横に総合評価を記してあります。迷ったら、この星の多いものから作ってみてください。言うまでもありませんが、星のつけ方は適当です。

⓪基本のチャイ★★★★★

のみやすさ ★★★★★いわゆる老若男女

難易度 ★★☆☆☆難しくはありません

インド料理愛好家へのお勧め度 ★★★★★喜ばれる可能性が非常に高い

キャラ立ち★☆☆☆☆あれ?あのチャイってどんな味だっけ?

材料と手順

●水200ml、茶葉大さじ1.5を鍋に入れ火にかける。沸騰したら牛乳300ml、砂糖大さじ4を入れる。吹きこぼれそうになったら火を弱め、弱火で3分間煮出す。

味の特徴・目指すイメージ

茶葉の味、甘み、牛乳のコク、どれもがバランスよく出ているチャイです。若干、茶葉の味が強めかもしれません。インド愛好家にはもしかしたら物足りないかもしれないし、ティーバッグの紅茶しか飲まない人には濃すぎるかもしれません。基本的なチャイのイメージはこれくらいと考えておいて、大外れではないと思います。

どういうときに飲むか、どういう風に提供するか

食後でも、おやつの時間でも、人と話すときでも、全天候に対応します。スパイスと一緒に煮込んだり、カップに注いでからスパイスを振りかけたりしてもおいしいです。いわゆる普通のおいしいチャイになります。

このままカフェメニューとして出せる味ですし、インド料理屋に置いても違和感の無い味です。ただ、このままだとパンチが弱いので、あそこのチャイはおいしいよね!と話題にはなりにくいかもしれません。その場合は、以下のチャイのバリエーションを試してみてください。

①南インド屋で出していたチャイ★★★★☆

チャイの作り方

のみやすさ ★★★★☆刺激は結構つよいです

難易度 ★★☆☆☆わりと簡単です

インド料理愛好家へのお勧め度 ★★★★★喜ばれる可能性が非常に高い

総合評価を五つ星にしない奥ゆかしさ ★★★★★でも掲載順は一番上

材料と手順

●スパイスペーストを作っておく。ミキサーに、生姜4cm、カルダモン小さじ1、クローブ小さじ1、水100mlを入れて、粗めのペーストにする。

●牛乳500ml、水200ml、茶葉大さじ2、砂糖150mlを全部鍋に入れて強火にかける。沸騰して、吹きこぼれそうになったらスパイスペーストを入れ、かき混ぜてから火を止める

味の特徴・目指すイメージ

とにかく生姜の味と甘みが強く、脳にガツンとくる味です。茶葉の味はそこまで強くないので、色もあまり濃くなりません。コツとしては、とにかく、生姜と砂糖を思い切って多めに入れることです。

どういうときに飲むか、どういう風に提供するか

南インド屋では食後に出すことが多かったです。しっかりと甘くて刺激のつよいチャイを、あっさりしたミールスのあとに飲むと、とてもおいしく感じられます。飲み方としては、あまり時間をかけてちょびちょび飲むのでなく、ぐっと飲むイメージです。おしゃべりをしながら飲みたいときには、甘すぎて刺激が強すぎるので、ちがうタイプのチャイをおすすめします。そのため、カフェへの展開を考えるとすると、長居しておしゃべりするための、札幌の西28丁目にあるリタルカフェのような店には向きません。しっかりフードも食べてもらうようなカフェに向きます。インド料理店やカレー屋には良く合います。

作り方として、スパイス以外の材料をすべて最初に鍋に入れてしまうため、茶葉の色や味が引き出されにくい欠点がありますが、仕込みのことを考えると、この作り方は失敗が少なく、味も安定するので優れています。最初に茶葉と水で沸騰させるタイプのチャイは、ちょっと目を離すと茶葉が煮出されすぎるので、ガス台の前で見張っていないといけないのです。

ガラスのコップに注いで飲みます。

②チャイらしい味のチャイ「THE チャイ」★★★★★

のみやすさ ★★★★★誰でもおいしく飲める

インド料理愛好家へのお勧め度 ★★★★☆本場の味じゃないと言われる可能性

難易度 ★★★★☆ちょっと味のバランスが難しい

スタバの味を思い出す度 ★★★★☆ちょっと既製品の味がするんですね

材料と手順

●水200ml、茶葉大さじ1、生姜うす切り3枚、かるく砕いたシナモン4cm、軽く砕いたブラックペッパー小さじ1/2、ナツメグパウダー小さじ1/2をすべて鍋に入れて火にかける。沸騰したら牛乳300ml、砂糖大さじ2を入れて、吹きこぼれそうになったら火を止める

味の特徴・目指すイメージ

市販のチャイミックスっぽい味です。甘みや渋みはあまり強くせず、喋りながら飲むのによいくらいの穏やかな味にします。とくに、ナツメグを入れるのがポイントです。甘みは、もうすこし強くしても良いです。僕の家にホールのナツメグが無いのでパウダーを使いました。ホールがある方はそちらを使ってください。

どういうときに飲むか、どういう風に提供するか

家に人を招いたときに作るのに適しています。マグカップに注いで飲みましょう。大事な彼につくってあげたい、彼チャイです。ブログ→レシピ本出版、という光の道が僕には見えます。

過激なインド料理愛好家に飲ませたら、物足りない、デリーの道端で飲んだあのチャイはどうのこうのと言われそうな味ですので、彼らがそう言うこれくらいが、一般受けするラインだと思います。大体どんなカフェでも喜ばれる味で、甘みも強くないので、お菓子やフードとも合わせることができますし、飲みながらおしゃべりをする、という場にも良く合います。

もっと茶葉と砂糖を多くして、刺激的なチャイにしてもおいしいです。そうなってくると、インド料理店でも喜ばれるかもしれません。

③どっしりとした茶葉の味「本格派右腕チャイ」★★★★☆

のみやすさ ★★☆☆☆渋くて濃い

インド料理愛好家へのお勧め度 ★★★★★インドの空気感  行ったこと無いけど

難易度 ★★★★☆ちょっと味のバランスが難しい

ビスケットが欲しくなる度★★★★★無限に食べられそうです

材料と手順

●水150ml、茶葉大さじ2.5、を鍋に入れて火にかける。沸騰したら、牛乳300ml、砂糖大さじ3、を加える。再沸騰したら弱火にし、5分間煮出す。

味の特徴・目指すイメージ

茶葉の味が主役のチャイです。しっかりと茶葉の味が感じられて、飲んだ後に舌に渋みが残るようにします。牛乳のコクも強めにします。見た目で相手を威圧できるよう、色はしっかりと濃く出します。甘みは、そこまで強くしない方が茶葉の味が楽しめます。

どういうときに飲むか、どういう風に提供するか

食後というよりは、おやつの時間に、ビスケットなんかと食べるのに適していると思います。日本のカフェの味でなく、たぶんインドの味です。ビスケットとかスコーンとかをむしゃむしゃ食べながら雑に飲むと本領を発揮するチャイなので、カロリーを気にする方には向かないかもしれないです。一見カフェに向いていそうで、良く考えるとインドっぽい店にしないとつり合いがとれない、扱いの難しいチャイです。

チャイ作ってあげるーと言って、これが出てきたら、僕は喜びますが、世の男性がどう思うかは、ちょっとわかりません。少なくとも、彼チャイではありません。出版はできません。

④さらっと飲むチャイ「Poor chai」★☆☆☆☆

のみやすさ ★★★★★飲みやすいことは飲みやすい

インド料理愛好家へのお勧め度 ★★★★☆上級者はとくに喜ぶかもしれない

難易度 ★☆☆☆☆簡単です

吉本ばなな度★★★★☆こんなシーンあったような…

材料と手順

●牛乳200ml、水400ml、茶葉大さじ1、砂糖大さじ1.5、すべてを鍋に入れ火にかけて、沸騰したら弱火にし、10分間煮出す。

味の特徴・目指すイメージ

インド人の友人に作ってもらったチャイをイメージしています。ちょっと貧乏くさい味のするチャイです。水が多いです。茶葉の味も、甘みも、牛乳のコクも、すべて弱めにします。色もあまり濃くならず、半端な色になります。なんだか半端な味になったなあと思ったら、だいたいそれで成功です。投げやりな気持ちで作るのがコツです。

どういうときに飲むか、どういう風に提供するか

わあ!おいしい!という味ではないので、夏の日に、クーラーもなく扇風機だけのある部屋で、汗をかきながらすすったらおいしいようなチャイです。食後に飲むのなら、これくらいでもよいかもしれません。チャイでも飲むかな、と思い立った休日の昼下がりです。ガラスのコップでも良いですが、適当なスヌーピーのマグカップに入れて飲むとしっくりきます。

飲食店向けには、あまりおすすめできない味ですが、ポットに入れておいてご自由にお飲みください形式なら、良いと思います。あ、タダの割にはうまいな、となると思います。

茶葉の量を小さじ1/2くらいにして、アシュラム風チャイにすることも出来ます。ほぼ牛乳のお湯割りです。

⑤憧れの泡立て式「ストリートチャイ」★★☆☆☆

のみやすさ ★★★★★飲みやすいことは飲みやすい

インド料理愛好家へのお勧め度 ★★★★★上級者は喜ぶかもしれない

難易度 ★★★☆☆慎重に作れば大丈夫

自分で作りたくない度★★★★★ひとに作ってもらいたいです

材料と手順

●牛乳300mlを沸かしておく。沸いたらとろ火にして保温する。

●水300ml、茶葉大さじ3、カルダモン4粒、クローブ4粒、生姜二切れを鍋に入れ強火にかけ、沸騰したら蓋をして火を消し、10分ほど蒸らす。凄く濃い紅茶を作りたい。蒸らし終えたら漉しておく。

●コップを二つ、もしくはコップと計量ビーカーを用意する。コップに砂糖大さじ2を入れて、その上から温めなおした紅茶75mlを入れる。さらに、沸かした牛乳150mlを注ぎ入れ、二つの容器の間を三往復させる。この時、ひゅーーっと高いところから落とすようにして行き来させることで、泡が立って、それらしい見た目になる。

味の特徴・目指すイメージ

製法上、色はそこまで濃くなりませんが、ちゃんと茶葉の味がするように、限界まで濃い紅茶を最初に作るのがポイントです。あとは、思い切って砂糖をたくさん入れること。火を通さない砂糖の、お菓子のような軽い甘みが、もしかしたらこれは砂糖がそんなに入っていないのではないだろうか、という錯覚を生み、立て続けに3杯くらい飲める味になります。ひゅーっと細長くコップ同士を行き来させるのは、見た目は派手ですが、やってみると難しくはありません。ただ、口の厚いコップだと、まずうまくいきません。注ぎ口と持ち手のついた、ステンレスの計量カップがあると、とてもやりやすいです。下のリンクから買うと南インド屋に紹介料が入ってしまうので、気になる方は別ウィンドウからお開きください。

このチャイは、濃い牛乳で作るとおいしいので、ちょっと高めの牛乳を買って作ってみてください。ちょっと乳臭くなりがちなチャイですが、スパイス抜きでも十分おいしいです。

どういうときに飲むか、どういう風に提供するか

この作り方は、鍋が二つ必要になるので、すこし面倒です。家でチャイを飲むなら、ひと鍋で作ってしまった方が楽ですよね。また、飲食店において提供するチャイをこのやり方にするのも、手間を考えるとお勧めできません。なので、このチャイの活用の仕方は、「おれこんなチャイ作れるんだぜ」という自慢用、もしくは、チャイスタンド用、ということになります。その場合は、煮出した紅茶の入ったサーバを用意し、あとは、大鍋に牛乳を沸かし、注文を受けてから混ぜ合わせます。牛乳もサーバに入れてしまえば楽かもしれませんが、清掃はしっかりやらないと恐ろしいことになりそうです。インド料理店で見かける、あわあわになっているチャイは、普通に煮だしたチャイを、提供直前に泡立てているだけのことが多いと推測します。煮出し式のチャイと泡立て式のチャイに地域差がもしあるのだとしたら面白いのですが、どうなのでしょうか。詳しい方がいらっしゃいましたら教えてください。

⑥ものすごく濃厚「エスプレッソチャイ」★★★☆☆

のみやすさ ★★☆☆☆ちょっと飲みにくいです

インド料理愛好家へのお勧め度 ★★★★★普通のチャイに飽いた人へ

難易度 ★★★☆☆慎重に作れば大丈夫

夜に飲んだら眼が冴える度★★★★★仕事が終わらないあなたに

 

材料と手順

●水200mlと茶葉大さじ2を鍋に入れて強火にかけ、沸騰したら牛乳400mlを加える。吹きこぼれないように注意しながら、出来るだけ強い火力で水分を飛ばすように、10分間ほど煮詰める。

●砂糖大さじ4を加えて、さらに3分間煮詰める。出来上がりは300mlくらいになる。

味の特徴・目指すイメージ

とにかく強烈に味の濃いチャイが作りたい!という願いによってつくられたレシピです。がっちり茶葉の味がして、牛乳の味がはっきりして、そしてがっちり甘くなります。半量くらいになるまで煮詰めるため、出来上がりはとろみがあります。色は、とても濃いです。大袈裟に言うとチョコレートドリンクのようなイメージの飲み物です。エスプレッソチャイ、という名称ですがコーヒーは使いません。砂糖を大さじ5から6にすると、更なる刺激が得られます。

どういうときに飲むか、どういう風に提供するか

エスプレッソ的な飲み方が良いかと思います。また、疲れた時に飲むと良いような気がします。カフェインもたっぷり入っているので、しゃっきりします。甘みの薄いビスケットなどと合わせても良いと思います。エスプレッソ用のカップか、小さめのガラスのコップに注いで飲むのが自然だと思います。

ここまで濃いチャイは、果たしてチャイと呼べるのかわからないので、チャイ原理主義の人に出すときは注意してください。飲食店で出すのも、面白いと思います。ただ、あまり時間をかけて飲むものではないので、カフェメニューへの展開は、ちょっと工夫が必要かもしれません。どちらかと言うと、創作フレンチとか、創作イタリアンとか、経堂にあるKalpasi(行ってみたい)とか、そういうところで出すのにしっくりくる気がします。

⑦本邦初公開 コーヒーと混ぜる「ダーティーチャイ」★★★★☆

のみやすさ ★★★★☆多分好きな人が多い味です

インド料理愛好家へのお勧め度 ★☆☆☆☆怒られるの覚悟で

難易度 ★★★★☆ちょっと難しい

目新しくて嬉しい度 ★★★★★ニューヨーカーになりたい

材料と手順

●出来るだけ濃いコーヒーを200ml淹れる。

●水200ml、茶葉大さじ1を鍋に入れて火にかけて、沸騰したら牛乳250ml、砂糖大さじ4を入れて、沸騰して吹きこぼれそうになったら火を止める。

●コーヒー100mlとチャイ200mlを合わせて、上からチャイマサラをかける。チャイマサラは、クローブ、シナモン、スターアニスを挽いたもの。シナモンパウダーだけでも良い。

味の特徴・目指すイメージ

チャイとコーヒーを混ぜたような味になります。そのままですね。苦みの幅が広くて焦げっぽい香りのするチャイになるはずです。レシピ通りに作ると、なんとなく甘みも苦みも半端なものが出来上がると思いますが、そんな味を狙ったレシピです。もんやりとして、チョコチップの入った三角のスコーンを齧りたくなるような味です。なんというか、あまり深く考えて飲むような味ではなく、多分アメリカ人が考えたんだろうな、というかんじです。もっと濃く作っても良いのですが、あまりコーヒーを強くしすぎるとチャイの味がしなくなるのでご注意ください。

どういう時に飲むか、どういう風に提供するか

カフェメニューにするのが良いと思います。2017年5月現在、日本で飲める店はなさそうです。自分で砂糖を入れてください方式でも良いです。スターバックスの裏メニューでもあるらしいです。深く考えるとコーヒーかチャイ、どちらかを抜いたほうがおいしい、という結論になるはずなので、あまり頭を働かせないで飲むような場で提供するのが良いと思います。もしくは、日本では珍しいので、話の種に人を招いたときに作るのも良いかもしれません。話しながら飲むのにも丁度よい、邪魔にならない味です。

⑧イギリス人も納得「ロイヤルミルクティ風チャイ」★★★★★

のみやすさ ★★★★★誰でもおいしく飲めるはず

インド料理愛好家へのお勧め度 ★★★★☆彼らも気に入るはず

難易度 ★★★★☆ちょっと難しい

お洒落度 ★★★★★きっと吹き抜けの店

材料と手順

●水200mlを沸かし、茶葉大さじ1.5を入れ蓋をして、3分間蒸らす。

●牛乳400mlを注ぎ入れ、火にかける。沸騰させないよう気をつけて、70℃くらいになったら火を止め、砂糖大さじ2を入れて良くかき混ぜる

味の特徴・目指すイメージ

牛乳の風味を楽しむチャイなので、ぜったいに牛乳を入れてから沸騰させないよう気を付けてください。茶葉の味も控えめで、甘みも控えめにします。飲んで渋みが舌に残るようだと、すこし茶葉が多いです。色は、他のチャイに比べると、白っぽくなるはずです。

どのように飲むか、どのように提供するか

ティータイムに最適です。ぜひ紅茶用の、口の広いカップに注いでください。甘みのあるお菓子全般と良く合います。カフェインがほかのチャイに比べると少ないので、夜に飲むのにも良いです。ただ、牛乳の風味を楽しむチャイなので、インド料理愛好家に飲ませると、物足りないと叱られる可能性はあります。

カフェで提供するのにも好適です。ただ、原価が高いので、ある程度の値段のとれる店で出したいです。シナモンパウダーをかけると、おしゃれカフェらしくなります。アフタヌーンティールームのチャイに近いです。インド料理屋には、あまり合いませんね。

⑨ミルク砂糖なし「ブラックチャイ」★★☆☆☆

飲みやすさ★★☆☆☆紅茶が飲める人なら飲める

インド料理愛好家へのお勧め度 ★☆☆☆☆怒られるの覚悟で

難易度 ★☆☆☆☆カンタン

心が穏やかになる度 ★★★★★おちつくー

材料と手順

●水500ml、クローブ小さじ1/2、スターアニス2個、シナモン6cm、生姜うす切り4枚を鍋に入れて火にかけ、沸騰したら火を止め、蓋をして10分間蒸らす。

●再び火にかけて、沸騰したら茶葉大さじ1弱を入れて火を消し、蓋をして1分間蒸らす。 

味の特徴・目指すイメージ

ほとんど紅茶です。いわゆるチャイとは呼べなさそうです。渋みつよめの紅茶に、甘めのスパイスが香ります。このレシピ通りに作ると、渋めの出来になりますので、好みで茶葉の量を加減してください。CTCの茶葉でなくても作れます。砂糖やミルクを入れても良いのですが、そうすると、ほかのレシピでつくった方がおいしいので、このチャイは、なにも入れずに飲んでください。

どのように飲むか、どのように提供するか

インド風味はかなり薄いので、ちゃんと綺麗な室内か、屋外なら手入れのされたテラスで飲みましょう。おそらくは、これだけで飲むのでなく、なにかお菓子が添えられるはです。スパイスは入っていますが、インド的な使い方でなく、イギリスっぽいスパイスの使い方なので、どんなお菓子でも良いと思います。スコーンも良いですね。食後にも良いです。何か飲む?コーヒーと紅茶があるけど、と言って相手が紅茶を選んだ時に、これを出してもなんの問題もないと思います

インド料理店で出すには物足りないので、ちょっと古臭い喫茶店か、スコーンの置いてあるようなカフェで出すのは楽しいと思います。スターバックスに置いたら売れる気もします。原価としては、スパイスはたかが知れているので、牛乳が入らない分、安く済みます。

⑩ミルクあり砂糖抜き「ダイエットチャイ」★★★★☆

のみやすさ ★★★★☆だれでも飲めるはず

インド料理愛好家へのお勧め度 ★★★☆☆ベジ系につながれば意外とうけるかも

難易度 ★★★★★けっこう難しい

砂糖をとりたくない人に喜ばれる度 ★★★★★シュガーーーフリィィィーーーー

材料と手順

●水200ml、シナモン6cmをかるく砕いたもの、ブラックペッパー小さじ1/2、生姜うす切り3枚を鍋に入れ火にかける。沸騰したら火を止め蓋をして、10分間蒸らす。

●再び火にかけて、沸騰したら茶葉大さじ1を入れ、ざっとかき混ぜてから牛乳300mlを注ぎ入れる。沸騰したら弱火にして、3分間煮立たせる。

味の特徴・目指すイメージ

牛乳の甘い味と、シナモンの甘い香りでバランスを取るようなチャイです。

本来、チャイは砂糖を入れたほうがおいしいです。それでも砂糖を入れないで飲みたい人はいるかと思いますので、そのためのチャイです。砂糖抜きで牛乳を入れると乳臭くなりやすいので、スパイスをすこし効かせます。それから、茶葉を濃くすると、砂糖がない分渋みが目立ってしまうので薄めにします。色も薄めになります。チャイの中では、おいしく作るのが難しい方だと思います。

どのように飲むか、どのように提供するか

砂糖抜きをリクエストされたときです。そうでなければ、普通の砂糖入りチャイを出しましょう。糖質制限をしている人に作ると喜ばれると思いますし、お腹の出た紳士に、そっと勧めてあげるのも優しさかもしれません。自分がダイエット中の場合で、でもチャイが飲みたい!という場合にはこれですね。

飲食店では、砂糖抜きを所望するお客様に対応するため、砂糖抜きで作って砂糖を別添えにするパターンも結構あります。それはそれで解決策の一つなのですが、砂糖入りを想定して作ったものを、砂糖抜きで飲んでもあまりおいしくないことが多いです。そして、砂糖を入れるにしても、ティースプーンでかき混ぜた程度ではしっかり溶け切らないこともありますし、どうやったって、煮込んで作るチャイの味は出せません。なので、お客様の口に入るものは全部おいしいものであってほしいと願う熱心な方は、砂糖抜きをリクエストされたときには、このレシピのように、砂糖抜きでもおいしうなるよう設計されたチャイを出した方が、精神衛生上良いと思います。人はそれを、過剰サービスというかもしれません。1000円くらい頂戴しましょう。まあ、いいから黙って砂糖入りのを飲め、と言って砂糖入りのおいしいチャイを出すのが一番の気もしますが、そこはケースバイケースでお願いします。

健康志向のお洒落カフェであれば、砂糖抜きの需要は結構あると思いますので、オーガニックのサラダとかとセットにすると良いですね。

⑪定義はわからないけど本場風「ホールスパイスチャイ」★★☆☆☆

のみやすさ ★★★★☆飲みやすい部類だと思います

インド料理愛好家へのお勧め度 ★★★★★喜ばれる可能性が非常に高い

難易度 ★☆☆☆☆失敗のしようがない

ホールスパイスを使いこなしてうっとり度 ★★★★★うっとり

材料と手順

●水200ml、カルダモン小さじ1/2、クローブ小さじ1/2、ブラックペッパー小さじ1/2、かるく砕いたシナモン3cm、ベイリーフ1枚、生姜うす切り4枚を全て鍋に入れ火にかける。沸騰したら火を止めて、蓋をして15分間以上蒸らす。

●茶葉大さじ1を入れて火にかけ、沸騰したら牛乳300mlと砂糖大さじ5を入れる。吹きぼれそうになったら弱火にして2分間煮出す。

味の特徴・目指すイメージ

甘くてスパイスの香りがすれば、それで成功です。そのために、しっかりと蒸らしてください。

ホールスパイスを使っているので、そこまでスパイシーにはならず、穏やかな風味になります。スパイスを引き立てるために、砂糖もしっかり入れます。カレーをスパイシーにするためには塩を多めに入れるのと同じ原理です。多少渋くなっても甘すぎても、ちゃんとおいしく飲めるチャイなので、失敗はないと思います。

ホールスパイスを好む人々の中には、飲みにくいくらいにスパイスが効いているのが良い、という考えの方もいると思います。食べにくいものこそ本場のカレー、という理解ですね。そういう方のためには、砂糖を大さじ2程度にすると、スパイスの香りが浮いて飲みにくくなるのでおすすめです。もしくは、精製されたものを嫌う方のために、黒砂糖を使ってみると、まずくなりますが、喜ばれるかもしれません。

どのように飲むか、どのように提供するか

スパイシーなものを食べた後に飲むと、舌のヒリヒリと相まっておいしく飲めます。スパイス好きではない人を家に招いたときに出すには、ちょっとスパイスが多いです。ビスケットか何かを合わせるには甘みが強すぎるので、チャイ単体で飲むのをお勧めします。

カフェで出すのにはあまり向きませんが、インド料理屋やカレー屋には良いと思います。味のバランスとして砂糖を多めにしているので、お店で出すときには、もうすこし甘みを抑えても良いかもしれません。砂糖が少ないことによって、スパイスの味が浮いてしまうのですが、先述のとおり、それがまた刺激になってスパイス好きには喜ばれるかもしれません。

⑫スパイシーを求めるなら「マサラチャイ」★★★★★

お勧め度 ★★★★★迷ったらこれ

インド料理愛好家へのお勧め度 ★★★★★喜ばれる可能性が非常に高い

難易度 ★☆☆☆☆失敗のしようがない

料理の上達に役立つ度 ★☆☆☆☆こればっかり作っていると下手になりそう

材料と手順

●ミックススパイスを作る。カルダモン小さじ1/2、クローブ小さじ1/2、ベイリーフ1/2枚、ブラックペッパー小さじ1/2、シナモンちょっぴり、をミキサーなどで粉砕する。

●水150ml、茶葉大さじ1、生姜うす切り3枚を鍋に入れ火にかける。沸いたら牛乳300mlと砂糖大さじ5を入れる。沸騰したら火を弱めて、3分間煮出す。火を止めてからミックススパイスを入れ、ざっとかき混ぜる。

味の特徴・目指すイメージ

甘み、茶葉の味、スパイス、牛乳のコク、全部を強めにしてバランスを取ります。簡単です。スパイスは挽いてあるので、しっかりとスパイシーになります。いわゆるマサラチャイの味です。レシピ通りに作らなくても、大体はおいしくなるはずです。

どのように飲むか、どのように提供するか

しっかり甘くてスパイシーなので、スコーンやビスケットと食べると、幸せな気分になります。スパイシーではありますが、一般受けするタイプのスパイシーさなので、インド料理愛好家以外にも喜ばれると思います。スパイス耐性の低い人には、クローブとブラックペッパーを減らしてシナモンを増やせば、さらに飲みやすくなります。

カフェでの提供にも向いていると思うのですが、既存の日本のカフェのどこにこのチャイを置けばよいかと言うと、ちょっと困ってしまいます。インド料理店やカレー屋に置いた方がしっくりきます。提供の仕方としては、スパイスの香りが飛びやすいので、普通に作ったチャイを保存しておき、提供直前に小鍋で仕上げるか、もしくは、しっかり粉末にしたチャイマサラを作っておけば、カップに注いでから振りかけても大丈夫です。お客様に自分でかけてもらっても良いです。


(付録)味の調整方法

以上、13個のレシピを解説してきました。

最初に述べた通り、このレシピどおりに作っても、つかう材料や鍋、コンロの火力などによって、味がきまらない場合があります。そういう時は、ご自分の条件で味がきまるよう、このような考え方で調整をすると良いと思います。参考までにどうぞ。

読んでいただければわかりますが、牛乳を増やす、というひとつの行為で、コクが強くなる、甘みが減る、色が薄くなる、スパイシーさが減る、と各要素に影響があります。これが、チャイの難しさの原因だと思っています。

味がもの足りない場合

牛乳を増やす、水を減らす、濃い牛乳を使う、砂糖を増やす、またはこれらの併用

物足りなく感じるときは、大抵は牛乳が足りない時です。また、夏になると同じメーカーの牛乳でも脂肪分が少なくなるので、味が物足りなくなることがあります。

甘過ぎる場合

砂糖を減らす、水を増やす、牛乳を増やす、スパイスを増やす、またはこれらの併用

砂糖を入れすぎた時だけでなく、牛乳が足りなかったり薄かったりしても、甘みを強く感じることがあります。また、スパイスを強めにつかうことで、甘みが気にならなくなります。

色が薄い場合 茶葉の味が足りない場合

茶葉を増やす、煮込み時間を長くする、牛乳を減らす、水を増やす、またはこれらの併用

茶葉を増やすのが一番単純ですが、牛乳を減らすことで色が薄まらなくなり、また、水を増やすことで、より茶葉から成分が抽出されやすくなるので、水を増やすことで色が濃くなることがあります。

スパイシーさが足りない場合

スパイスを増やす、砂糖を増やす、牛乳を減らす、水を増やす、スパイスを細かく挽く、スパイスの蒸らし時間を長くする、またはこれらの併用

砂糖を増やすことで、スパイスの香りが立つことがあります。逆に、思いっきり砂糖を減らすと、スパイスの香りが浮いて、間違ったスパイシーになることがあります。牛乳を減らして水を増やすことで、スパイスの刺激に対する脂肪分が減って、スパイスを感じやすくなります。