ミールスの実践 vol.9 「反動のbrahminミールス」

こういうものを作りました。

前回までマドゥライのSree sabareesという店のミールスを真似してきました。とてもおいしいミールスですし、人気店になるのもわかるなあと思います。一応断っておきますが、私はマドゥライはおろかインドに行ったこともありません。インド渡航回数がある種のステイタスになる業界の方々には怒られそうな気もします。「わたくしはパリに10回も行ったのよ」「あそこのご夫婦、毎年バカンスはパリですって。いいわねえ」という話です。バカンスでパリに行ったら、店が開いてなくてつまらなさそうですね。

Sree sabareesのミールスの特徴は、このコラムに書いてありますのでご覧ください。あっさりしたミールスというよりは、外食としての楽しみがあるような、ひとつひとつの味をある程度はっきりさせたミールスなのだと思います。玉ねぎトマトにんにくも、けっこう入りますしね。

そう、つまり、おいしいのですが、飽きる味なのです。毎日は食べられません。その反動で今回は、玉ねぎトマトニンニク抜きでミールスを作りました。brahminとはバラモンのことです。司祭階級、と訳されるみたいです。すべてのbrahminがこういうものばかり食べているわけではありませんのでご注意ください。

解説のようなもの

Kathirikai puli kootu

茄子の甘酸っぱいクートゥです。茄子をkathirikaと書くと、ちょっと格好いいですね。

ココナッツとダルを合わせたクートゥが一般的ですが、どうやらクートゥというのは、そう単純ではなく、色々なものがあるみたいです。これはココナッツが入りませんが、立派なクートゥです。なんだかひよこ豆が入っているようにも見えますが、実際は入っていません。

マスタードシードとウラドダル、チャナダル、カレーリーフをテンパリングして、小さめに切った茄子をさっと炒めます。多めのタマリンドと塩、キビ糖(ジャグリー)、ターメリック、チリパウダーを入れて、茄子に火が通るまで煮込みます。煮崩したトゥールダルを加えてひと煮立ちさせたら出来上がりです。レシピは作成中です。

Sree sabareesなら、この位置に茄子とトマトとニンニクのカレーを置くと思うので、それを玉ねぎニンニクトマト抜きで代替してみました。こっちのほうが、僕の好みのミールスには合います。

Cabbage kootu

キャベツとチャナダルのクートゥです。以前つくったものと同じです。

チャナダルを圧力鍋で3分ほど煮ておきます。煮汁を切って、細かく切ったキャベツ、ターメリック、塩を入れてキャベツがくたくたになるまで煮込みます。

ココナッツシュレッド、クミンシード、水を合わせてミキサーでペーストにしたものを加えてひと煮立ちさせたら、マスタードシードとカレーリーフをテンパリングします。ココナッツは、かなり少なめです。ミキサーにかけるより、ミルで挽いた方が良いかもしれません。

前回よりもチャナダルが少なくて、ターメリックも少ないです。あっさりとしています。

Carrot poriyal

人参のポリヤルです。まだレシピにしていないことに気がついたので、そのうち書きます。

人参を小さめに、ちょっと小さすぎるかな、くらいの角切りにします。これくらい小さくすると、手で食べるのに具合が良いのです。マスタードシード、ウラドダル、カレーリーフをテンパリングして、ターメリックをちょっぴり入れます。切った人参を投入して、塩も入れます。火が通るように蓋をして、人参がぶにゃぶにゃにならない程度に柔らかくなるまで火を通したら、ふたを開けて火を強め、水分を飛ばします。最後に、ココナッツシュレッドを挽いたものを、ほんのすこし加えます。少なめにするのがコツです。

Sambar

写真にはありませんが、サンバルもあります。冬瓜と茄子にしました。レシピはこちらにあります。

トゥールダルを圧力なべで煮崩したら、水を足して、切った茄子と冬瓜を加えます。もう一度圧力をかけて、すぐに火を止めます。レシピより多めのタマリンドペーストと塩を入れて味を決めたら、そのままの青唐辛子とカレーリーフを放り込んで香りを出します。コリアンダー、クミン、ブラックペッパー、フェネグリークを挽いたものを加えて、ヒングも振り入れます。マスタードシードとホールチリをテンパリングしたら出来上がりです。やっぱり作り方を変えると、味は変わります。当たり前ですね。野菜の味が残って、粘度が薄く、塩と酸味はすこし強め、というサンバルです。スパイシーではありませんが、ヒングと青唐辛子、カレーリーフの香りがします。最近、私の中で流行っている作り方です。

 

盛りつけました。人参の切り方が小さいのがわかると思います。

効率よく作るために

・クートゥのチャナダルと、サンバルのトゥールダルに圧力鍋を使います。サンバルは、最後まで圧力鍋で仕上げるので、先にチャナダルをさっと煮てしまうと良いと思います。まあ、圧力鍋が二つある方は二つ使えばよいのですが。私も二つ持っているのですが、ひとつは業務用一歩手前の大きいものなので、さすがに使いにくいのです。

・今回は品数も少なく、調理工程も多くありません。豆を煮ている間に野菜を人参、キャベツ、茄子を切ってしまうと楽です。ココナッツシュレッドを挽くのでなく、ココナッツファインを使えば、さらに手間が省けます。

・だいたいこんな順番で仕上げると良いと思います。

先に作って良いもの

茄子のプリクートゥ

人参のポリヤル

キャベツのクートゥ

出来立てが良いもの

サンバル

作った感想

・玉ねぎニンニクトマト抜きなので、うまみが少なくておいしいです。今回は品数も多すぎず、よい昼ごはんになりました。先日、弟の要望で、かなり多品種のミールスを作ったのですが、多すぎても駄目だということがわかりました。

・ポリヤルくらいには玉ねぎを入れても良いかなあ、とも思います。家で食べるには十分でも、外で食べると味気なく感じそうです。それと、食べ終わったとに、泡立てコーヒーが飲みたくなり、ベトナムのフィルターを使って濃く淹れて作りました。そういう、がっちりと甘いものを食後に飲むと、とても腑に落ちるようなミールスです。こっちのコラムでもそんなことを書いた気がします。泡立てコーヒーはとてもおいしいし、脳髄に響くような味なのですが、店員Aが、「私たちは喜んでいるけど、もしかしてこれは缶コーヒーを飲む人にとっては飲みなれた味なのではないだろうか」というようなことを言いました。生涯で缶コーヒーを3本くらいしか飲んでこなかった割には的確なことを言います。どうなのでしょう。僕は7本くらいは飲んだことがありますが、たしかに缶コーヒーのおいしさに通ずるところがある気がします。缶コーヒーって、もうあれは、缶コーヒーという飲み物だと思っています。

・寒くなっていたからか、人参もキャベツも、甘くなってきていて、すこし邪魔です。キャベツは良いとして、人参は下茹でして味を抜くくらいの方が、こういうミールスには合うかもしれません。おいしい野菜(日本においては、甘い野菜とほぼ同義)を使う必要は、あまりない気がします。

vol.1「チェンナイにある、すこし現代的できれいな店で出てくるミールスをイメージしたもの」

vol.2「ケララの定番ぽいもの」

vol.3「豆をたくさん食べたい」

vol.4「青バナナが届いた。食べよう」

vol.5「夏の終わりの夏野菜ミールス」

vol.6「夏野菜の別バージョン」

vol.7「マドゥライのSree sabareesに行きたい」

vol.8「Sree sabarees その2」

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