おいしい目玉焼きの焼き方。油と鉄鍋とメイラード反応

ふたつ上の兄は、朝ごはんに、よく納豆と生卵をたべていました。

いつも卵は、ふたつでした。「あ、双子だったの?」「うん、今日も双子だった」。

体が大きいからたくさん食べるのですね。納豆もいつもふたパック食べていましたし、マルちゃんのあの三玉入りの焼きそばは、三玉が最低単位である、というのが、兄弟間での不文律でした。「いくつ食べる?」「2つ!」「ってことは、6パックね。まさか2パックじゃないよね」「……いえ、ひとつでお願いします」ということて、二人で6パック分焼くのです。

僕は生卵が苦手なので、もっぱら目玉焼きです。鉄のフライパンが一番です。普段はステンレスの鍋を使っていて、それはそれで使いやすいのですが、この小さめのフライパンと中華鍋があると生活が幸せになります。

この鉄鍋で焼いた目玉焼きはおいしいです。焼き目がきつね色になることを、メイラード反応というようです。たんぱく質やアミノ酸が熱で変性するんですね。メイラード反応が起こると、とても良い香りがします。

揚げ物のきつね色もそうですし、焼肉の香ばしさも、多分そうですよね。テフロンで肉や卵を焼くと、どうしても、この焼き目がつかなくて、料理に勢いが生まれないような気がします。

ということで、美味しい目玉焼きの焼き方を紹介します。

ある程度、底の厚みのある鉄鍋を用意します。2000円しないで買えます。中華鍋のように薄いと、卵を入れた時に温度が下がってしまいます。

卵は、うんと譲歩してもふたつ、できれば3つ焼きましょう。ひとつだけなんて、味がしません。量も味なのです。卵はできれば室温に戻しておいた方がよいです。

鉄鍋を火にかけて、薄く煙が出るくらいまで熱したら、おおめの油を入れます。油をケチってはいけません。あぶらは、うまいのです。大さじ2くらいは入れましょう。もっと多くても良いです。

油を入れたら、取っ手をもって、鍋の端の方まで油が染みわたるよう、くるくる回します。油が温まったら一度火を止めます。油の温度が高すぎるとくっついてしまいます。

ふたつ深呼吸をしてから、卵を入れます。卵は、一度ボールに入れてから、ひといきに流し込むと、均等に焼けるのでおすすめです。洗い物が増えるのはいやですが。

卵を入れると、ジャーッと油の弾ける音がします。卵を入れたら火をつけ、とろ火に近い弱火にして、ふたをします。水は入れないでください。

そのまま2分くらい焼いたらふたを開け、焼き加減を見ます。まだ黄身にはほとんど火が通らず、白身はだいたい固まっていたら十分です。蓋をして火を止めます。

そのまま、2分ほど待ちます。余熱で火を通します。

ふたを開けると、良い具合になっているはずです。最後に一瞬、強火にして余計な水分を飛ばすと、かりっとして香ばしくなります。お皿の用意はできていますか?

片手にスプーンかへらを持ってください。金属製でないといけません。鍋肌に、ちょっと茶色い部分がこびりついていると思います。それをこそげるようにしてから、卵と鍋肌の間に、するっとスプーンやへらを入れます。油の量と、卵を入れるときの油の温度が適切なら、ほとんどくっつかないで、するりと取れるはずです。

あとは食べるだけです。僕は、フランスのお高い塩を気取ってふりかけます。おいしい気がします。醤油をかけるときも、最初にすこしだけ塩をかけてから、醤油をたらすと、よりおいしく食べられます。ふつうの醤油だと、すこし薄いのです。

しっかり焼き目はついていて、黄身は、半熟よりすこし柔らかいくらいになっているはずです。お好みで、火にかける時間を加減してみてください。撮影のために焼いた目玉焼きも、おいしかったです。3時のおやつです。

 

 


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これも、卵が三つで、油とメイラード反応が大切です。やはり卵は、最低三つからですね。

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使っているのはステンレスの鍋ですが、この料理も、メイラード反応が大切です。

きっちり火を入れるとおいしいです。