エビ炒めと魚のスパイス焼きがついたノンベジミールスのレシピ

魚介類にもスパイスは合うのです。レシピ集です。

はじめに

8月5日の『ケララ州カンヌールにある食堂をイメージした フィッシュライとエビカレーのついたミールス』と銘打った料理教室で使うレシピです。

カンヌールにある、Hotel Odhensという店です。Trip adviserによると人気のようです。この店では、ベジのミールスに、別料金で、魚介類を焼いたり炒めたりしたものを注文して食べるスタイルのようで、それをイメージしています。ただ、今回作るものが、この店と味が似ているかというと、微妙なところです。気取って言うと、あえて、味はずらします。南インド屋のブログ担当店員Bは、繰り返し申し上げていますが、これまでインドに行ったことは無く、当然カンヌールにもHotel Odhensにも行ったことはありませんので、すべて想像ですが、ここの味をそのまま再現しても、あまり喜ばれないだろうな、という確信があります。興味のある方は、Trip adviser やInstagramで検索してみてください。実際に現地で食べたらおいしいけど、料理教室で再現してもあまり盛り上がらないかな、という味です。あっさりに過ぎるのだと思います。

ということで、今回のレシピは、フィッシュフライと海老炒めをつけたベジミールスをおいしく作る教室、くらいに考えてください。

ちなみに、ベジは、Vegで、肉や魚を含まないものを指します。卵に関しては微妙なところです。

ノンベジは、Non veg で、チキンカレーとかキーマカレーとかはノンベジです。

 

それでは、今回の品書きです。そもそも作るものからしてHotel odhensとは違います。

・シュリンプロースト / chemeen ularthiyathu / shrimp roast

エビの炒めものです。カレーと言えばカレーです。色々な作り方がありますが、ココナッツとタマリンドが入るタイプです。

・鮭のスパイス焼き meen varuthathu

鮭のスパイス焼きです。そのままです。スパイスやレモンでペーストを作り、それを魚の切り身につけて焼いたものです。

今回は鮭をつかいますが、魚は割と何でもよい、とは思います。

 

具だくさんサンバル sambar 

サンバルというのは、豆と野菜のカレーで、ミールスの定番です。豆はトゥールダルを使い、タマリンドという果実で酸味をつけます。今回は、すこしココナッツを加えます。

 

・あまり酸っぱくないラッサム rasam

タマリンドと胡椒のスープです。今回は、酸味は控えめにします。

 

・インゲンのトーレン green beans thoran

インゲンのココナッツ炒め蒸しです。

今回はモロッコインゲンをつかいます。北海道では、モロッコインゲンのことを、ささぎと呼ぶみたいです。夏になると、安く売っています。

 

・トマトのカーラン tomato kalan

ちょっとスパイシーな、トマトのココナッツヨーグルト煮です。青バナナやヤム芋で作るのが一番ふつうかと思うのですが、まあ、ほかの野菜でも作れます。

以上6品でミールスにします。

ノンベジの二品に重点を置いた記事にします。

 

シュリンプロースト / chemeen ularthiyathu / shrimp roast

今回作るのは、chemeen ularthiyathuです。似た料理に、chemeen varuthathuがあります。明確な線引きは難しいのですが、後者はおそらくFryで、より多めの油で炒める料理なのだと思います。今回作るのは、煎りつけるようなイメージです。また、kerala shrimp fryは、タマリンドやコクム、ココナッツをつかうことはあまりないと思いますが、今回のularthiyathuであれば、わりと使うと思います。

手順は、このようになります。

エビをスパイスと一緒に煎る

別鍋で玉ねぎを炒める

ふたつを合わせて絡ませる

 

では順に見ていきます。

エビをスパイスと一緒に煎る

鍋にエビを入れて、その他の材料も入れて、水分がなくなるまでかき混ぜながら炒めます。これが、煎る、という工程です。

・海老——500g

タマリンドペースト——大さじ5

・塩——小さじ1

・ニンニク——4かけ(石臼でつぶす)

・生姜——同量くらい(石臼でつぶす)

・チリパウダー——1/2弱

・パプリカ——小さじ2

・ターメリック——小さじ1/2

鍋を予熱する必要はありません。それだと、「炒める」になってしまいます。

火加減は中火くらいです。火をつけると、あっという間にエビが鍋肌にくっつきますので、タマリンドペーストの水分を回しながら、エビが崩れない程度によくかき混ぜます。コクムという珍しい食材をお持ちの方は、タマリンドの代わりにつかってください。そちらの方が本式です。

パプリカパウダーを使うのは、チリパウダーだけで赤みを出そうとすると、辛くなりすぎるので、パプリカパウダーでかさ増しをするイメージです。カシミールチリをお持ちの方はそれをつかってください。

火の通し具合ですが、そこまで厳密ではありません。この料理は、エビにしっかり火を入れて、身を固めたほうがおいしいと思います。あんまりふにゃふにゃでは良くないのですが、水分が飛ぶまで煎れば、普通は、ふにゃふにゃになることはないと思います。なので、あまり深く考えずに作っても大丈夫です。

水分の飛ばし具合の方が大切です。乾燥するほどに飛ばさずに、ねっちり、くらいで止めておきます。もし飛ばしすぎた時は、水を足せば良いだけです。

では、次の工程です。

別鍋で玉ねぎを炒める

なんてことはありません。マスタードを弾けさせて、玉ねぎを炒めるだけです。別の鍋か、エビを取り出して洗った鍋を使います。サラダ油を熱して、マスタードシードを加えます。8割ほど弾けたら、玉ねぎを入れます。うっすらと茶色くなるまで炒めたら、ココナッツシュレッドを粗くひたものを加えます。写真はありません。もしあれば、ココナッツオイルを使っても良いです。そのほうが本式です。

・玉ねぎ——1/2個(繊維に沿ってうす切り)

・ココナッツシュレッド——大さじ2

・サラダ油——大さじ2

・マスタードシード——小さじ1

 

ふたつを合わせて絡ませる

玉ねぎを炒めたら、そこに、先ほどのエビを加えます。ペースト部分も、全部入れます。水をちょっと入れてしっかりこそげても良いです。

どちらも火が通っているので、もしエビがうまくコーティングされれば、さっと混ぜれば完成です。もし、エビとそれ以外が分離してしまっている場合は、すこしだけ水を入れて、かき混ぜながら炒めます。こうすると、うまくコーティングされます。

これで、シュリンプローストは完成です。見どころとしては、水分の飛ばし方と、絡め具合だと思います。

ところで、なぜこのように面倒な作りかたをするかというと、正直に申し上げますと、雰囲気、かと思います。鍋で玉ねぎを炒めて、そこにエビとスパイス類を加え、煎るように炒めれば、それでほぼ同じものが出来上がります。先日の海老ビリヤニのように、極力水分を飛ばすように作るためでもありません。敢えて言うなら、先に玉ねぎを炒めてそこに生のエビを加えると、玉ねぎの風味と見た目は、少し変わります。まあ、エビを煎る工程は楽しいし、なんとなく本場っぽいので、やはり雰囲気だな、と思います。

鮭のスパイス焼き meen varuthathu

鮭と言いながら、写真はブリです。

こちらは、正しくvaruthathuで、つまりFryです。ポイントとしては、先にペーストを作ってそれをまぶすことです。魚に直接スパイスを振ると、うまくいきません。

ペーストを作る

一度ペーストにすることで、スパイスが魚にしっかりつきます。スパイスを魚に直接振って焼くと、スパイスが油に持っていかれてばらばらになってしまいます。仕上がりとして、魚にしっかりとスパイスペーストがついていると、プロっぽくなります。その点、写真はいまひとつですね。切り身6枚分くらいの分量です。材料を全てボールに入れ、よく練ります。ちょっと油を入れても良いです。

使うスパイスですが、ターメリック、チリパウダー(とパプリカパウダー)、ブラックペッパー、はつかった方が良いですが、他は好みによって加減してください。シナモン、クローブ、カルダモン、などの華やかなスパイスを足していくと、ちょっと違う州の料理になってしまう気もしますが、おいしいことはおいしいです。

・ターメリック——小さじ1/2

・チリパウダー——小さじ2

・パプリカパウダー——大さじ2

・ブラックペッパー——小さじ1

・フェンネルシード——小さじ1/2

・レモン汁——大さじ3

・サラダ油——大さじ1

・塩——小さじ2弱

で、魚につけます。10分ほどおいてから焼きます。

今回はすこし脂ののった生鮭をつかいます。おそらくインドでは、もう少しぱさっとしたプリっぽい魚か、ティラピアとかそのへんを使うのだと思います。青魚でもおいしいと思います。

焼く

テフロンのフライパンがあると楽です。多めの油を敷きます。ポイントは、多めの油です。一度魚を鍋に置いたら、あまり動かさない方が良いです。動かしすぎると、ペーストがバラバラになってしまいます。

片面を焼いたらひっくり返してもう片面を焼きます。火は通しすぎない方がおいしいのですが、衛生的な懸念もあるので、私はしっかりめに焼きます。焼いたらレモンやライムを絞って食べます。

 

レシピまとめ

以上が今回のメインのふたつです。あとは、レシピを置いておきますのでご覧ください。

twitterで書いたのですが、ベジミールスにオプションとしてノンベジをつける際の味のバランス云々とか、そのあたりのことは、間に合いませんでした。すみません。

 

シュリンプロースト

●エビ炒め工程

・海老——500g

・タマリンドペースト——大さじ5

・塩——小さじ1

・ニンニク——4かけ

・生姜——同量くらい

・チリパウダー1/2弱

・パプリカ小さじ2

・ターメリック1/2

●玉ねぎ炒め工程

・玉ねぎ——1/2個(繊維に沿ってうす切り)

・ココナッツシュレッド——大さじ2

・サラダ油——大さじ2

・マスタードシード——小さじ1

①鍋に、エビ炒め工程の材料をすべて入れ、中火で熱する。焦げ付きそうであれば水を足す。エビに火が通り、水分がなくなるまで炒め続ける。ねちょっとしたものがエビを覆うような見た目になる筈。

②別の鍋にサラダ油を熱して、マスタードシードを入れる。弾けたら、玉ねぎを炒める。うっすらと茶色になるくらいまで炒めたら、ココナッツシュレッドを粗めに挽いたものを加えて、さらに先ほどのエビも加える。そのまま全体が馴染むまで炒める。エビがうまくコーティングされないようであれば、水をすこし足して、その水分が飛ぶまでかき混ぜながら炒めると、うまくエビに絡む。

鮭のスパイス焼き

・生鮭の切り身——6切れ

●マリネペースト

・ターメリック——小さじ1/2

・チリパウダー——小さじ2

・パプリカパウダー——大さじ2

・ブラックペッパー——小さじ1

・フェンネルシード——小さじ1/2

・レモン汁——大さじ2

・塩——小さじ2弱

①ペーストを練って魚につけて10分ほど置き、油を多めに敷いた鍋で焼く。両面焼く。

 

サンバル

・トゥールダル——3/4cup(ひと晩水に浸しておく)

・水——500ml

・ターメリック——小さじ1/4弱

・茄子——2本(角切り)

・ズッキーニ——1本(大きめの角切り)

・オクラ——10本(半分に切る)

・玉ねぎ——1/6個(ざっくり切る)

・青唐辛子——1本(みじん切り)

・水——400ml

・塩——大さじ1

・タマリンドペースト——大さじ1.5

・カレーリーフ——10枚くらい

・ヒング——ふた振りくらい

●サンバルパウダー(ミルで粉末にする)

○コリアンダー——小さじ1/4

○クミン——小さじ1/4

○フェネグリーク——小さじ1/8

○ブラックペッパー——小さじ1/8

○ココナッツシュレッド——小さじ2

●テンパリング用

○サラダ油——大さじ2

○マスタードシード——小さじ1/2

○ホールチリ——3本

①トゥールダルと水500mlを圧力鍋に入れ火にかけ、一度灰汁をとったらターメリックを入れ、蓋をする。圧力がかかったら6分ほど煮る。

②ふたを開けて、野菜と青唐辛子を入れ、もう一度圧力をかける。圧力がかかったら1分ほど煮る。

③水、塩、タマリンド、ヒング、カレーリーフ、を加えて煮立たせて、塩が馴染んだらサンバルパウダーを入れて、1分ほど煮込む。

④テンパリングをする。別の小鍋にサラダ油を熱し、マスタードシードを入れて弾けさせる。8割ほど弾けたらホールチリを入れて火から離す。ホールチリがかるく色づいたら、サンバルにじゃっとかける。

 

あまり酸っぱくないラッサム rasam

・トゥールダル——大さじ3

・クミン——小さじ1

・ブラックペッパー——小さじ1

・フェネグリーク——小さじ1/4

・コリアンダシード——小さじ1/2

・フェンネル—–小さじ1/4

・塩——小さじ2.5

・タマリンドペースト——大さじ1

・水——1200ml

・カレーリーフ——10枚くらい

①スパイスとダルをミルで粗めに挽く。挽いたものと、残りの材料全てを鍋に入れ、強火にかける。沸騰した弱火にして10分ほど煮出す。

②煮出したら、ザルなどで一度濾す。濾したものをボールに入れ、しばらく置いて沈殿させる。沈殿した上澄みを、ボールをゆっくり傾けて別の鍋に移す。この時に、底に沈殿したもやもや部分は、あまり入れないようにする。これを入れるほど、出来上がりがスパイシーになる。これで完成。

インゲンのトーレン

・インゲン——300g(細かく切る)

・青唐辛子——1/2本(みじん切り)

・生姜——うすぎりひと切れ(みじん切り)

・塩——小さじ1/2強

・玉ねぎ——1/4個(細かいみじん切り)

・ターメリック——小さじ1/4

・チリパウダー——小さじ1/4

——ここまでを全部混ぜる——

・サラダ油——大さじ1

・マスタード——小さじ1/2

・ココナッツシュレッド——1/2 cup

①ボールに、インゲン、玉ねぎ、青唐辛子、生姜、塩、スパイス、を全て入れて、よく混ぜる。すこし置いて、しなっとさせる。

②鍋にサラダ油を熱し、マスタードシードを入れて弾けさせる。ボールの中身を全て加え、火をとろ火に近い弱火にする。良くかき混ぜてから蓋をして、全体がしんなりするまで蒸し焼きにする。

③しんなりしたら、粗めに挽いたココナッツシュレッドを加えて良くかき混ぜる。

トマトのカーラン

・トマト——300g(角切り)

・ターメリック——小さじ1/4

・チリパウダー——小さじ1/6

・塩——小さじ1弱

・カレーリーフ——10枚くらい

●ココナッツペースト用

・ヨーグルト——1.5cup

・ココナッツシュレッド——1cup

・クミン——小さじ1/4弱

・フェネグリーク——小さじ1/6

・ブラックペッパー——小さじ1/4

●テンパリング用

○サラダ油——小さじ2

○マスタードシード——小さじ1/4

①ココナッツペーストを作る。すべての材料をミキサーに入れ、滑らかなペーストにする。ミキサーの性能に自信がない場合は、スパイスは別にミルで粉末にする。

②ペーストを鍋に入れ、塩とスパイスを加え、中火で水分を飛ばすように熱する。ぽてっとしたら切ったトマトを入れて、さっと煮て火を止める。

③テンパリングをする。別の小鍋にサラダ油を熱し、マスタードシ―ドを入れる。8割ほど弾けたら、カーランにじゃっとかける。