「インド料理の基本講座 ミールス編」の台本のようなもの

基本講座と銘打った教室をやります。大体こういう内容になります、という記事です。

普段の教室は、90分間で6品を作る、非常に詰め込んだ内容です。やっているほうは楽しいのですが、もっとじっくり見たい、という要望もあるだろうと考えて、今度の枠を設けました。

実際の教室がこの通りに進むわけではありません。自分のための覚書、かつ、参加した方の復習用です。おすそわけです。

作るものは、

サンバルsambar 

トマトラッサム tomato rasam

キャベツのポリヤル cabbage poriyal

の三つです。最後に、ちょっとおまけをくっつけて、ミールスにして食べます。

 

ミールスMEALSとは

米と数種類のおかずで構成された食べ方です。料理名、ではありません。定食は、食べ方、スタイルであり料理名ではない、というのと似ていると思います。米が基本ですが、粉ものが入ることもあります。肉不使用のほうが正統かな、とも思いますが、多様性の国インドなので、色々です。とにかく、米に、いくつかおかずとかカレーとかがついていれば、ミールスと呼んで差し支えないと思います。

 

サンバルsambar

まずは、サンバルからです。ざっくり言うと、豆と野菜のカレーです。南インドのみそ汁、なんて言い方をしますが、だれが言い始めたのでょう。タマリンドという食材で酸味付けをし、サンバルパウダーというミックススパイスで風味づけをします。

材料を並べましたので、見ていきましょう。

 

・トゥールダル——1/2cup

・水——800ml

・ターメリック——すこし

・塩——小さじ2弱

タマリンドペースト——大さじ3

・トマト——1/4個(みじんぎり)

・たまねぎ——1/4個(ちいさめの乱切り)

・蕪——2個

サンバルパウダー——小さじ1

・ヒング——ふた振り

・水——300ml

テンパリング用

・サラダ油——大さじ2

・マスタードシード——小さじ1弱

・クミン——小さじ1/4

・ホールチリ——4本

 

 

・トゥールダル——1/2cup

英語表記だと、toor dal です。ダルdalというのは、豆のひきわり、皮をむいて、割ったものを指します。また、ひきわりの豆を煮たものも、ダル、と呼びます。材料名であり、かつ、料理名である、ということです。toordalは、日本語だとキマメ、というようですが、認知度は限りなく低いと思います。このトゥールダルは、いわゆる南インドで食べられるダルの中でも、中心となるものの一つだと思います。札幌では、ダワットカフェというところで売っています。ハラルショップやスパイスショップで売られています。ネットで買うのも良いと思います。僕はアンビカトレーディングから買っています。インド産とタイ産が出回っていると思います。ダル全般に言えることですが、個体差が、けっこうあります。青臭いものや、粉っぽいもの、煮崩れにくいものもあります。

・水——800ml

水は、浄水器を通しています。硬度は地域によっていろいろで、日本は軟水であると言われています。インドはどうかというと、広すぎて何とも言えないのですが、日本よりは硬水よりのところが多いようです。興味のある方は調べてみてください。

・ターメリック——すこし

ターメリック、うこんです。黄色いスパイスです。本によっては、色づけのスパイスとして捉えることがありますが、味もかなり強いです。なめてみてください。苦いです。これは、肉に合わせれば良いのですが、野菜と豆だけで構成されているところに大量に入れると、全部がターメリック味になってしまいます。なので、ミールスの基本としては、ターメリックは控えめ、と言えると思います。

・塩——小さじ2弱

塩は、赤穂の塩をつかっています。完全に塩化ナトリウム!!という塩は、味がとがっていて、料理の難易度が急に上がります。おいしく作れない訳ではないですが、難しいのです。なので、赤穂の塩くらいの値段のものにしておいたほうが無難です。もっと高いものを使いたい方は、お好みでどうぞ。

タマリンドペースト——大さじ3

果実です。莢に入っており、水にふやかして、それを濾してペーストにします。酸っぱいです。タイ産のものはとくに甘みもあります。本当なら、インド産のほうが、よりすっきりした味で好ましいのですが、手に入るものを使ってください。それと、ロットにもよるのかもしれませんが、今回のタマリンドは、甘いです。また、ジュースにして飲むための、より甘い品種もあるようです。タマリンドペーストの作り方は、こちらをご覧ください。南インド料理において、このタマリンドは、かなり重要です。ぜひ、慣れてください。レモンや酢で代用することはできません。違う味です。ペーストが市販されていますが、まず、砂糖や塩が入っているものは避けてください。アンビカトレーディングというサイトでは、インド産の、砂糖の入らないものも扱っています。面倒な方は、それを使っても良いと思います。ちょっと甘みが強い気もしますが、まあ、使えなくはないです。

・トマト——1/4個(みじんぎり)

トマトは、ふつうの、スーパーで売っているトマトでよいと思います。皮をむいてから使う人もいますが、剥かなくても大丈夫です。みじん切り、と言っても、大きさは色々ですが、今回は、煮崩すものなので、切り方はこだわりません。適当にみじん切りにしてください。トマトを、トマト缶で代用できるか、ですが、料理によります。今回のサンバルでは、トマト缶は使わないほうが無難です。トマトジュースのほうが、生の風味に近いです。トマト缶は、いかにもトマト缶、という味がするので、それを覆い隠す濃い味にするとき以外は、使わないほうが良いです。ただ、飲食店となるとまた話は別です。その場合は、できるだけ使おう、という話になりこともあります。

・たまねぎ——1/4個(ちいさめの乱切り)

玉ねぎは、普通の、スーパーで売っている玉ねぎでよいと思います。雰囲気を出したい方は、赤玉ねぎが、小玉ねぎ、シャロット、を使っても良いです。これは、南インド屋の料理全般に言えることですが、玉ねぎとトマトは、控えめにします。この二つは、ものすごくおいしい野菜で、手に入りやすく、しかも安い、と言うことなしなのですが、その良さに頼りすぎると、行きつくところは、東南アジアの、maggiと味の素料理だと思います。いえ、それらが悪いと言っているわけではないのですが。トマトと玉ねぎは、使おうと思えば、大体どんな料理にも入れることができるので、すべてがその味に染まってしまう危険性があるのです。どれを食べても玉ねぎとトマトの味しかしない、というのでは、面白くありません。そういう意味で、南インド屋では、できるだけ控えめ控えめにしています。

・蕪——2個

ドラムスティック、という野菜があります。東京では時々売っているようです。モリンガの実の方です。味としては、ほぼ、カブだと思います。だから、カブを使います。皮は、剥かないでください。その繊維質が、またドラムスティックらしいのです。カブは、できれば葉月のものを買います。葉がピンとしているのが鮮度が良いです。くたっとしていたり、皮がしなしなになっていると、おそらくそれは古いです。

サンバルは、豆と野菜の煮込みで、野菜は、大体何を使っても良いと思います。使ってはいけない野菜、という決まりはありません。ただ、じゃが芋は、あまり合わないと思います。白菜や水菜なんかの和食材も、やめたほうが良いですね。ナス、オクラ、ピーマン、ほうれん草、パプリカ、ズッキーニ、冬瓜、などが合います。いくつかを合わせて使うこともできますが、葉物とナス、という組み合わせはあまりせず、葉物なら葉物だけで作ることが多いと思います。

サンバルパウダー——小さじ1

サンバルにつかう、ミックススパイスの総称です。これ!と決まった配合があるわけではありませんが、大体の傾向はあります。あとでやります。市販のサンバルパウダーは、やけにいろいろと混ざったものも多く、自分で作るのが一番だと思います。そして、自分で作ったサンバルパウダーでサンバルを作ると、「なんだかお店で食べるサンバルと決定的にちがうな」と感じることがあると思います。おそらく、おそらくですが、そのお店では、市販のミックススパイスを使っているのだと思います。手元に、MDHというメーカーのサンバルパウダーがあるのですが、驚きの配合です。そして確かに、これを使うと、お店っぽい味になるのです。今、店員Aがミックススパイスを売り出すためにがんばっていますので、近いうちに、南インド屋謹製のものが出来上がるはずです。まあ、自分で作るのが一番、という姿勢は崩しませんし、次善の策として買ってくれたら踊りだすくらい喜びますが、やっぱりできれば自分で作りましょう。

・ヒング——ふた振り

これを買ったらマニア界に足を踏み入れてしまう、と直感が告げる匂いです。あやしい門の横で焚かれている、硫黄系の匂いです。おいでませ。何かの樹液を固めて粉末にしたもののようでです。粉末でなく、小さい粒や、キューブ状のものもあります。私は、自宅では固形のものを砕いて使っています。みなさまは、粉末を買うのが良いかと思います。硫黄系のにおいで、こんなもの料理に入れるのかよ、と思うのですが、あら不思議、これがおいしいのです。玉ねぎにも似た、うまみに近い働きをするので、ベジタリアン料理ではとても役に立ちます。

 

【テンパリングとは】

英語で書くと、temperingです。スパイスを油で熱することを指します。炒める、とも違いますし、パチパチシュワシュワさせる工程です。また、調理工程の一番最後に、そういうスパイスと油を、ジャッとかけて風味付けをすることを、テンパリング、と呼ぶこともあります。日本語の文章で、テンパリングと書かれていたら、大抵は、料理の最後に加えることだと捉えてよいと思います。このテンパリング、という工程は、慣れれば難しくありませんが、焦がす可能性をはらんでいるので、ちょっとした慣れが必要です。なので、これに関しては、実際に後でやってみましょう。

 

 

・サラダ油——大さじ2

油は、普通のサラダ油で良いと思います。太白ごま油の方がおいしいですが、予算と相談してください。サラダ油の中でも、私は、日清キャノーラ油をおすすめします。すべてのメーカーを試したわけではありませんが、比較的、嫌な香りがしないです。とくに、加熱したときの風味が軽くて良いです。

・マスタードシード——小さじ1弱

ソーセージにつけるあのマスタードです。南インド料理といえばマスタードシードとカレーリーフ、と言えるくらい、しょっちゅう使います。とくに、テンパリングで最後に加えることが多く、独特の香ばしさがあります。日本で手に入るものは、大体サイズが同じだと思いますが、インドでは、大小色々なサイズがあるようで、厳密には、使い分けが存在するようです。マスタードは、かじってみると、苦みがあります。辛味もあります。マスタードオイル、という、マスタードを絞った油があって、それをなめてみるとわかりやすいです。そう、そういう味です。

・クミン——小さじ1/4

カレーっぽさを構成するスパイスの一つです。基本スパイスの一つです。とても重要です。南インド屋のレシピでは、あまりたくさん使わないのですが、肉を使う料理であれば、かなりの高頻度で使います。そのまま食べてもおいしいです。クミンとチリパウダー、それに玉ねぎとトマトで、大抵の料理がおいしくなってしまいます。そういう意味で、トマトや玉ねぎと同じく、おいしいけど、使い方には気をつけたいスパイスです。

・ホールチリ——4本

赤唐辛子です。テンパリングすると、良い香りがします。辛味と言うより、香りを加えるためにつかいます。テンパリングの際、焦がしてしまうと、それはそれでよい香りなのですが、邪魔になってしまうこともあります。あとでテンパリングの練習をしますが、すこし注意の必要なスパイスです。安いホールチリは、砕けているものが多く、値段が上がると、きれいに揃っている傾向があります。買う前にチェックしましょう。時々高いものを買うと、きれいでうっとりします。

 

それでは、作っていきます。こういう流れです。

 

①トゥールダルを煮る

②塩、タマリンド、野菜を加えて煮る

③スパイスで風味付け

④テンパリング

 

①トゥールダルを煮る

圧力鍋を使います。鍋については、こちらの記事をご覧ください。

ダルを煮るときの注意点は以下のようになります。

・初めに必ずかき混ぜる。なべ底にくっついてしまう

・吹きこぼれる。すごく吹きこぼれる

だから一度灰汁をとります。そしてサラダ油をちょっと入れて吹きこぼれを防ぎます。

本来、インド料理では、灰汁をとらないようです。でも、背に腹は代えられないので、とります。とった灰汁を捨てずに置いておいて、煮た後に戻すと、味が戻るので良いと思います。また、灰汁をとる場合、先にターメリックを入れてしまうと、灰汁とくっついたターメリックを捨ててしまうことになります。なので、灰汁を捨ててから、ターメリックを入れます。

・圧力鍋を使わないと、とても面倒

3000円台で買えます。インド料理を作りたいのであれば、持っていたほうが楽です。豆を煮るのと、肉を煮るのに使います。圧力鍋を使わないと長時間煮ることになり、時間と燃料代がかかるのと、蒸発する水分量がおおきくブレるので、レシピ通りに作ってもうまくいかな、ということになり得ます。

・浸水方法は統一する

割っていないひよこ豆などの、大きい豆は、必ず浸水させてから煮ます。ダルはひきわりの豆なので、浸水させなくても、圧力鍋を使えば煮えます。浸水させないダルと、一晩つけたダルを、同じ量の水で煮たとき、出来上がりは全く違うものになります。浸水させていない分、水を多く吸うのです。30分と一晩でも、差が出ます。なので、慣れないうちは特に、浸水させるなら一晩しっかり、もしくは全く浸水させない、という風に、統一したほうが良いと思います。

・ダルは煮れば煮るほど、まろっとする

煮崩し方は好みの問題でもあります。しっかり煮崩せば、トロっとして、豆味が強く出ます。逆に、形がのこるようにすると、さらっとして、味もさらっとします。煮崩し方により、必要な塩分も変わってくるのですが、まあ、そこまで難しくは考えず、自分の好みの煮崩し下限を見つけてください。サンバルに関しては、少し形が残っていたほうがおいしい気もします。

 

②塩、タマリンド、野菜を加えて煮る

豆が煮えました。それを調味して、野菜も加えて煮ます。調味は、塩とタマリンドです。スパイスは、加熱すると香りが飛ぶので、後で加えます。

サンバルをおいしく仕上げるコツとしては、ダル、塩、タマリンド、だけでおいしく作ることだと思います。そこに、スパイスと野菜の味を重ねて複雑にするイメージです。具なしでもおいしいみそ汁を目指すのと近いかもしれません。同じように、注意すべき点を挙げます。

・水は入れすぎない、もしくは徐々に足す

覆水盆に返らず、ということで、慣れないうちは、水は少しずつ加えたほうがよいです。

・塩も同じく少しずつ

・玉ねぎとトマトはひかえめに

玉ねぎとトマトは、とてもおいしい食材ですが、調子に乗って使いすぎると、ぜんぶが同じ味になってしまいます。東南アジアにおける味の素問題と同じです。特に肉を使わない料理は、少なめ少なめにしたほうが、品良く仕上がります。玉ねぎトマトに頼りすぎると、料理の上達が阻害されると思います。おいしくするのが簡単だからです。

・塩味を決めてから酸味を決める

これは不思議なのですが、塩分のない状態で酸味を加えても、あまり酸っぱく感じません。そして塩を入れると、急に酸っぱくなって、「酸っぱくなりすぎた!!」となりがちです。なので、塩→タマリンドの順番で入れます。

・野菜の火の通りやすさに気をつける

大根や芋を煮るのには時間がかかりますが、青菜はすぐに煮えます。野菜によって必要な時間が違います。今回は蕪を使います。火が通りやすい食材です。なので、先にトマトと玉ねぎを少し煮てから、カブを加えます。

・野菜の切り方を工夫する

野菜の切り方は、それだけで一つの教室になるくらいの内容です。自分の目指すおいしさに合った切り方をします。

野菜は、切り方で食べたときの印象が大きく変わります。基本的には、野菜の味を強く出したければ、大きく切るべきです。ただ、野菜の味を活かす、という考え方は、インド料理においてはあまり重視されていないように思えます。火の通し方も、日本人は味や歯触りを残すようにしますが、印度では、とにかくしっかり煮込む印象です。

また、見た目の問題もあります。真四角に切った蕪は、いかにも日本人らしいです、なので、ちょっとずらしてわざと乱切り風味を加えることで、なんとなくインドっぽく仕上げることができます。

 

ということで、ダルに塩とタマリンドを加えて味見をします。このあと、野菜とスパイスが入るので、狙う塩味よりも、ちょっと濃い目にしたほうが良いです。

 

③スパイスで風味付け

サンバルの手順を再掲します。②まで来たので、次は、スパイスです。

①トゥールダルを煮る

②塩、タマリンド、野菜を加えて煮る

③スパイスで風味付け

④テンパリング

 

サンバルパウダーを作ります。詳しいレシピはこちらにあります。こういう配合で作ります。

コリアンダーシード——大さじ2

クミン——小さじ1

ブラックペッパー——小さじ1

チリパウダー——小さじ1

トゥールダル——小さじ1

フェネグリーク——小さじ1/2

マスタードシード——小さじ1/2

チャナダル——小さじ1/2

ウラドダル——小さじ1/2

ヒング——すこし

これらのスパイスを、かるく煎ってから、粉末にします。

スパイスをあまりお持ちでない方は、コリアンダーシードを粉末にすれば、とりあえずそれでよい気もします。チリパウダーも少し入れます。このサンバルパウダーも、色々と遊べるのですが、そこまでやると時間が足りないので、興味のある方は、先ほどのコラムを読んでください。

サンバルを作るうえでの気をつけるポイントは、このようなかんじです。

・スパイスを使いすぎない

スパイスは、多ければよいものではありません。濃い肉のカレーだったらそういう面もあるのですが、ことサンバルに関しては、少なめにしたほうがおいしいです。今回は玉ねぎとトマトが入っているので、ある程度は増やせますが、すこしずつ、様子を見て、足してください。好みでチリパウダーを追加して辛くすることはできますが、サンバルは、あまり辛いものではないと思います。

・サンバルパウダーを加えたら、あまり煮込まない

スパイスは、加熱によって香りが飛びます。だから、あまり煮込まないほうが良いです。あえて煮込むことで味をなじませる場合もありますが、今回のサンバルでは、その必要はありません。

・市販のものには気をつける

すでに述べましたが、サンバルパウダーは、市販もされています。できるだけ、使われているスパイスのつくないものを選ぶと良いと思います。

 

④テンパリング

動画の1:13くらいからの工程です。音が出るので気をつけてください。

サンバルにおいて気をつける点を挙げます。

つかうスパイスは、マスタードシード、クミンシード、ホールチリ、です。

・焦がさない

最も気をつけるべきはそこです。スパイスは、簡単に焦げます。ただ、マスタードシードは生だと苦いので、ちゃんと火を通したいです。マスタードシードは最初に入れて、必ず弾け始めてから、次の材料を入れます。

そして、油の温度が高くなったら、火から外します、火を弱めても良いですが、弱めている間にも温度は上がるので、火から外したほうが速いです。

・スパイスを使いすぎない

先ほどと同じです。マスタードシードの粒粒が、いかにも南インドっぽいので、つい使いすぎてしまいます。だめです。控えめ、控えめ、です。

 

これでサンバルが出来上がります。ダルを煮て、塩、タマリンド、野菜を加えて煮て、最後にスパイス、テンパリング、です。

 

トマトラッサム

次は、ラッサムです。

ラッサムrasamは、酸味のあるスープのようなものです。胡椒で辛味をつけることが多いです。酸味は、タマリンドでつけるのが基本で、トマトやレモンでつけることもあります。サンバルよりも簡単です。

今回のラッサムはこのようにして作ります。

①ニンニクやスパイスをつぶしてペーストを作る

②ペーストを炒める

③水、タマリンド、トマトなどを入れて煮込む

 

それぞれを詳しく見ていきます。

①ニンニクやスパイスをつぶしてペーストを作る

「ニンニク4かけ、青唐辛子1本、クミンシード小さじ1/2、ブラックペッパー小さじ1/2を、石臼か何かですりつぶす。無い場合は、包丁でニンニクをつぶしてから刻み、青唐辛子は包丁で刻む。クミンシードとブラックペッパーは、粗めに挽いておく。」

・粗さが残るくらいのほうが、ラッサムらしいと思います。

・もっとスパイシーにしたい場合はブラックペッパーを足しても良いです。

・にんにくは、このレシピだとあまり多くしすぎないほうが良いです

 

②ペーストを炒める

「鍋にサラダ油大さじ1を熱する。マスタードシード小さじ1/2を入れ、半分くらい弾けたら、ホールチリ3本、カレーリーフ10枚程度を加え、ざっと混ぜる。作っておいたペーストを加えて香りが立つまで炒めたら、さらに、ターメリック小さじ1/6、チリパウダー小さじ1/4、ヒング小さじ1/6を加えて、ざっと混ぜる。」

・先ほどのテンパリングと同じ要領です。焦げないように、スパイスが良い具合になったら、すぐにペーストを加えて鍋の温度を下げます

・炒める際は、火はあまり強くしないほうが良いです。この料理は、焦げ風味がつかないほうがおいしいです。

・ペーストにはニンニクが含まれているので、いきなり水で煮込むと、生のニンニクの匂いがのこります。なので、最初に油で炒めます。

・ニンニクの生っぽい香りが抜けるまで炒めます

 

③水、タマリンド、トマトなどを入れて煮込む

「水500ml、タマリンドペースト大さじ2、塩小さじ1を加え、生のトマトを手でつぶして入れる。沸騰したら蓋をして弱火で3分間ほど煮込む。最後に刻んだパクチーを入れる。」

・トマトは、ぜひ生をつかってください

・トマトは、包丁で切っても良いです。手でつぶすと、なんとなく本場感が出る気がします

・サンバルと同じく、塩→タマリンドの順で調味すると失敗が少ないです。

・酸味と塩の加減は、好みによってかなり差があると思います

 

 

 

キャベツのポリヤル

キャベツを炒めてココナッツで和えた料理です。

まずは材料を見ていきます。

キャベツのポリヤル

●キャベツ——250g(6㎜の角切り)

●玉ねぎ——1/8個(みじん切り)

●青唐辛子——1/2本(みじん切り)

●カレーリーフ——5枚

●スターター用スパイス

○サラダ油——大さじ1

○マスタードシード——小さじ1/2

○ウラドダル——小さじ1

○ホールチリ——3本

●ヒング——小さじ1/8

●コリアンダーパウダー——小さじ1/2

●塩——小さじ1

●ココナッツシュレッド——1/3cup

 

いくつか材料を取り上げてコメントをつけます。

●キャベツ——250g(6㎜の角切り)

キャベツは、この時期(2月14日現在)であれば、甘みが強くある程度歯ごたえのあるキャベツが出回っています。失敗は少ないです。もう少しすると、春キャベツしか手に入らない時期が来ます。歯が柔らかいと、水が出やすく、うまく作るのが難しくなります。

切り方に関しては、もっと細かく切っても良いし、大きくしても良いです。細めの短冊にする場合もあります。

●玉ねぎ——1/8個(みじん切り)

玉ねぎは、少なめにします。すでに述べたように、少なめのほうが良いです。

●青唐辛子——1/2本(みじん切り)

ぜひ青唐辛子はつかってください。使わないでももちろん作れますが、今回のポリヤルは、ある程度はっきりした味にするので、青唐辛子の風味があったほうがおいしいです。

●ココナッツシュレッド——1/3cup

少し多めのココナッツをつかいます。好みによって減らしても良いです。

 

それでは、手順を見ていきます。単純です。

 

①油でスパイスと玉ねぎをかるく炒める

②キャベツを加えて火を通す

③最後にココナッツを加える

 

①油でスパイスと玉ねぎをかるく炒める

「フライパンにサラダ油を熱し、マスターシードを入れる。ぱちぱちと弾けたらウラドダルを加え、軽く色づくまで炒める。焦げやすいので、うっすらと色がついたところで玉ねぎと青唐辛子、カレーリーフを加え、さっと炒める。ヒング、コリアンダーパウダー、塩を加えたら、またさっとかき混ぜる。

・同じく、スパイスは焦がさないように気をつけます

・たまねぎは、さっと炒めるだけです。色づくまで炒めてはいけません。玉ねぎは色づくまで炒めるとおいしいのですが、そのおいしさは、この料理には余計です。

・この段階で塩を入れたほうが、味のムラがすくなくなるのでおすすめです

・慣れないうちは塩の調整が難しいので、薄めにしておいて、足りなければ最後に塩を足して頑張って混ぜて馴染ませる、という手もあります

 

②キャベツを加えて火を通す

「キャベツを加えたら弱火で火が通るまで炒める」

・キャベツの質によっては、蓋をして蒸し焼きにしても良いです。

・春キャベツなど、柔らかいキャベツの場合は、蓋をしてはいけません

・強火で炒めると焦げやすく、水が出やすいので、弱火で炒めます

・火の通し方は、好みもありますが、今回にポリヤルは、ちょっと歯触りが残るくらいします

 

③最後にココナッツシュレッドを加える

・火を止めてからココナッツを入れてもよいくらいです。ココナッツは、火を通すと風味が減じます。逆に言うと、ココナッツの風味が苦手なら、しっかり火を通してください

・水分の調整の問題があります。ココナッツシュレッドは乾いているので、水を吸います。なので、もし、この段階で、あまりぱさぱさになるようであれば、すこしだけ水を垂らしたほうが、おいしく食べられます。様子を見て、ですね。

・ココナッツファイン、という細かいものでも良いです。あまり細かすぎるのは舌触りがよくないのでおすすめしません。

・炒めるのでなく、和える、というイメージです。

・ココナッツの量は好みで加減してください。多いほうが、日本では喜ばれると思います。

 

ということで、サンバル、ラッサム、キャベツのポリヤル、が出来上がりました。

教室では、いくつかおまけをつけてミールスにして食べます。

このコラムを読んで、ぴんと来なかった方は、実際に参加されることをおすすめします。火の通し方や粘度、色の具合、などを、逐次チェックしながら進んでいきます。こまかく観察するのが好きな方には楽しい教室です。