スパイスへの思い入れ。チリパウダー、辛みとうまみ。

チリパウダーとは、赤唐辛子粉のことです。一味です。

チリコンカンに使うチリパウダーというミックススパイスもありますが、あれとは別です。

チリパウダーといえば、辛みのスパイスなのですが、それだけでなく、風味と色も重要です。唐辛子のうまみに関しては、ためしてガッテンでもやっていましたが、まさにそうなのです。

インド料理と言えばチリパウダー

チリパウダーは、大好きです。最重要スパイスのひとつだと思っています。

インド料理には無くてはならない、と言いたいところですが、唐辛子は南アメリカ原産なので、たぶんコロンブスとかが運んで来るまでは、辛くない料理を食べていたんですね。韓国に運んだのもおそらくコロンブスです。いや、マルコポーロだったかもしれません。

南インド屋に来てくださっていた、ある変わったおじさんは、インドの家庭で、バラモン階級の人たちと、玉ねぎニンニクはおろか、チリパウダーも使わない、それはそれは清冽なものを食べてきたらしく、とてもおいしかったんです、と話しながら、うっとりしていました。そんなもんなんですね。

まあ、基本的、伝統的、古典的、という料理を追い求めていくと、最終的には、火事で焼け死んだ動物を食べるとか、それで済めばよいのですが、ミトコンドリアを外部から取り込んで云々とか、そういう話になるので、とりあえず、唐辛子を使う程度は、たとえニューエイジの料理だとしても、許容してもらいましょう。

チリパウダーはうまい

何の話でしたっけ。そう、チリパウダーの話です。

チリパウダーは、辛いだけでなくうまいんですね。あと、殺菌作用もありますが、こちらはターメリックのように、傷口に塗り込んではいけないのでしょうか。だれか試してみてください。報告はコメント欄にお願いします。

チリパウダーのうまみを生かすために、チリパウダーの種類を把握する必要があります。

日本で流通しているのは、何種類くらいなのでしょうか。少なくとも、3種類のチリパウダーは、確認できています。

普通の辛さ、かなり辛い、すごく辛い、の3種類です。

では、インド料理では、どれを使えばよいでしょうか。正解は、普通の辛さ、です。

繰り返しますが、インド料理において、チリパウダーは単なる辛みづけでなく、風味づけの役割も持っているからです。激辛料理を評して、辛いはうまい、と言いますが、違います。辛い唐辛子には、うまみもある、が正確です。辛さそのものを喜ぶ人は、からだにも塗り込んで楽しんでください。あ、傷口に塗ってはいけませんよ。当たり前です。

マトンカレーを作るときには、チリパウダーと塩をきっちり入れると、おいしくなります。調味をしていて、玉ねぎの味が強いときや、肉のうまみが強いときは、チリパウダーと塩を足すと、味がしまります。

そしてもし、もっと唐辛子の風味が欲しいけど、これ以上辛いと食べられない、というときは、どうすればよいでしょうか。

パプリカパウダーを使うことです。

もしくは、もっと辛くないチリパウダーを探すことです。もしカシミールチリをお持ちの方は、使わないで、ぜひ僕に送ってください。カシミールチリは、辛くない真っ赤なチリで、日本ではほとんど手に入りません。もしかしたらアジアハンターで扱っているかもしれません。問い合わせてみてください。

だから、2種類の辛さのチリパウダーが売っていたら、迷わず辛くない方を買いましょう。辛い唐辛子を使うよりは、辛くない唐辛子を多めに使った方が良いのです。その点を、北海道大学近くのカレー屋さんに教えてあげてください。

彼は、敬虔なムスリムで、良い人なのですが、料理に関しては、いまひとつなのです。家庭的な味でおいしいので、たまに食べに行っていたのですが、ある日、突然カレーが辛くなって、驚きました。これはきっと、チリパウダーを替えたなと思ったら案の定、食べ終わった僕に、嬉しそうにチリパウダーの大袋を見せてくれました。

「これ、なかなか手に入らない、とっても辛いチリパウダー。業者さんに仕入れてもらいました。ちょっと高いけどね。あ、辛かったですか?同じ量入れたら辛すぎるんですかね。うふふ」

逆だよ逆、とは言えませんでした。田舎風カレーなのだから、なおさらチリの風味が大切です。Extra hotでなく、辛くないチリパウダーを探してもらって、それを使うべきだったのです。あの大袋が無くなったころに、もう一度行ってみようと思います。

チリパウダーは赤くてきれい

チリパウダーには、色付けの役割があります。

食べ物は、赤ければ、だいたいおいしく感じます。イチゴしかり、火鍋しかり、マグロしかり。

だからいっそ、赤色2号を使ってしまえばよいのですが、そんな勇気もないので、まずはチリパウダーです。もっと濃くしたいときには、パプリカパウダーを入れると、赤黒くすることもできます。カシミールチリなら、なおよいですね。

料理は見た目と器が9割、というのが知り合いのおじさんの持論です。その通りだと思います。だから、チリパウダーをたっぷり使って、パプリカパウダーも駆使して、赤っぽいカレーを作れば、だいたいはおいしくなります。

ということで、チリパウダーが大袋で買って、どんどん使いましょう。入れれば入れるほどおいしくなります。僕は辛いのが苦手なので少なめに使いますが。


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実際、現地ではフードカラーも使っているでしょう。

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実は味と香りも大切です。

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おいしい料理を作るには、という総論なのですが、

そのなかで器の重要性にも触れています。

プロっぽい料理を作りたい方は必読です。