ハノイで食べて、おいしかったもの

さあハノイに着いた、何を食べよう。

フォーもあるし、もうちょっと太いブンもあります。油条という揚げパンをちぎって入れるおかゆのチャオもあります。パクチーの入ったフランスパンのサンドイッチ、バインミーもおいしいです。

僕が研修でハノイに行ったとき、同じグループだった同期の三人と引率の40がらみの班長とで、ハノイの街中に到着したとき、はじめに何を食べたでしょうか。何だと思いますか?

正解は、ケンタッキー・フライド・チキン、KFC、です。

いやあ、おれ、ベトナム料理とか嫌いなんだよね、の班長のひとことに、目を丸くする僕と、頷く同期の彼ら。行く先は、屋台になるわけもありません。まあ、衛生面もあるのですが、探せば綺麗な店だってあります。

そんな調子なので、僕の行きたい店にはいけません。個人行動は控えるようにと言われているので、休みの日に街に繰り出しても、行く先は、ケンタッキーとかマクドナルドとか、よくてピザ屋です。こりゃたまらん、と、ひとり離脱して、街を歩きました。

おいしかったのは、フォーガー、鶏肉の入ったフォーです。

鶏肉以外も選べるのですが、お店の人に聞いたら、まずは鶏肉くっとけ、というようなことを言われました。

スープがとてもあっさりしていて、たぶんうま味調味料にも頼っていない味です。テーブルに置いてある、ちょっとしなびたライムをかけて食べてもおいしいです。

ここの店は、どうやら人気店のようで、ひっきりなしに客がいていました。商店街の中にあって、たしか三叉路に面していた気がします。

あっさりとしてお替りしようかと思いましたが、ぐっとこらえて、またふらふらと歩きました。単独行動をしたことで、その晩には、班長から注意される可能性もありました。動きにくくなる前に、たくさん食べないといけません。

これも街中にあった、揚げ餃子や春巻きっぽいものの店です。お風呂の椅子みたいな、ちいさいプラスチックの椅子に、みんなしゃがみ込むようにして座り、もくもくと食べています。

えびの入った揚げ餃子と、肉まんを揚げたようなものです。右のお椀に入っているのが、やけに甘いスープで、どうやらこれに浸して食べるようです。パイナップルみたいな果物が浮かんでいます。奥にあるのは、Rau thomという、そのへんに生えていそうな草です。パクチーではなく、しそやドクダミ、あとはよくわからない香草でした。観光客はあまり来ない店らしく、うさん臭げに僕を見るおばさんは、はじめこの草を持ってきてくれませんでした。草大好きな僕が、ザウトムザウトム、とめちゃくちゃな発音で連呼すると、「え?おまえも食うの?」というリアクションをされました。おいしくて、草をお替りしました。

カニ入りの春巻きも追加し、近くで食べていた兄ちゃん真似して、辛いのをスープに入れてみました。持ち帰りもしているらしく、パイクで乗り付けたひとたちが、どんどん買っていきます。

たしかこの店は、ちょっと高めだった気がします。確かに、カニもえびもたっぷり入っていて、ハノイの人たちの、ちょっとした贅沢なのかもしれません。

ちょっと暗くなってから食べた、フォーボー、という牛肉入りの麺も、まあまあでした。上の二軒に比べると、だいぶ落ちます。

ここの店は、こういう環境で洗い物をしているのですが、それは考えないことにしました。大丈夫、大丈夫。どうやら、衛生面が心配される屋台でも、地元の人でにぎわうような店は、意外とちゃんと綺麗にしていて、やる気のない兄ちゃんがやっていて、客の少ない店は、衛生的にも危なそうでした。日本の飲食店でも、同じようなことが言えるかもしれませんね。

 

こうやって、休みの日に食べたものの話を、写真を見せながら、工場のベトナム人と適当な英語とか日本語とかで話しました。

それじゃあ、明日、なんか食いに行こうぜという話になり、彼らのバイクの後ろに乗せてもらい、夜の街に行きました。

鴨を焼いたのがうまいんだ、と言って、怪しい店に連れていかれました。工業地帯の、外れの方にある店です。バイクがたくさん停まっているので、たぶん人気店なのでしょう。

控えめに言っても小汚い店内で、頼んだコーラのグラスには、ハエの死体が入っていましたが、同行したイケメンの男が、さっと僕のグラスを替えてくれました。そして、出てきたのがこれです。

見た目は最高においしそうなのですが、食べると、あれっ?となりました熟成がされていなからなのか、噛みごたえはあるものの、いまひとつ旨みが足りません。これにも、例の草が山盛りでついてくるのですが、彼らはなぜか食べようとせず、僕が食べようとすると制止します。ここのはやばい、と目で訴えてきます。なるほど、現地の人も食べないくらいの衛生環境なのですね。肉は、よく火が通っていたので大丈夫でした。焼いているところも撮りました。ほんとに鴨なのかは怪しいです。

そしてこのあと、バインセオを食べたい、という僕のリクエストで、これまた汚い店に連れて行ってくれました。味は、おいしくはなかったです。

彼らは決して僕に財布を開かせよとしませんでした。そういう文化なんだ!とつよく言われたので、引き下がるしかありません。

旅情のある食べ物はこれくらいでした。

あとは、日本人オーナーが経営する、ひとり1000円する変な定食屋や、いかにも日本人が接待に使いそうな、真ん中にプールのあるムーディーな店でおいしくもないシーフードを食べて、ひとり6000円くらい払ったり、いかにも観光客向けの、「ベトナム料理」とでかでかと書いていそうな店で、おいしくもないベトナム料理を食べてひとり5000円くらい払ったりしました。写真もありますが、載せてもつまらないので載せません。これらは全部、会社の人たちとの食事です。

これだけで帰ったら、「ベトナムの料理はまずい!」という印象で帰ったことと思いますが、僕はなんとか合間を縫って、現地らしいものを食べることができたので、幸運だったと思います。

ハノイは、ホーチミンと違い、歓楽街ではないので、地味な町です。観光に行くには、いまひとつかもしれません。あっさりとしたフォーは、とくにハノイのものがおいしいらしいので、ハノイに行かれた際は、ぜひ食べてみてください。あと、バインミーは、大体どこで食べてもおいしかったです。おすすめです。