南インド料理に、フレッシュカレーリーフは必須です。
というのは、インドに住んでいる人の場合で、日本に住んでいるなら、必須ではない、というのが、今のところの結論です。フレッシュカレーリーフは、必須ではないです。
なぜなら、フレッシュカレーリーフは、
理由①強い香りではないから
理由②入手性が悪いから
ただし、例外もあります。①商売として南インド料理を作る場合、②カレーリーフを自家栽培できる場合、③有無を言わさぬ本格派の場合、この三つの場合は、その限りでありません。
理由①強い香りではないから
カレーリーフは、その芳香でもって南インド料理の顔となっています。葉をちぎると、ごまのような柑橘のような、そんな香りがします。熱した油に入れても、良い香りがします。ペーストにすると、カレーリーフのにおいが部屋に充満します。
おそらく、大体の南インド料理に投入しても、文句は言われないはずです。絶対に入れちゃダメ!という料理はないと思います。あったらごめんなさい。
そう、つまり、主張の弱い香りなのです。だから、何入れても良くて、逆に言うと、入れなくても良いのです。
ミントならちぎらなくても香りがするし、バジルだって触った手に匂いがうつります。ブーケガルニをやたらに放り込んだら、フランス人に怒られます(たぶん)。
カレーリーフはそういうハーブとは違います。味の濃いものに入れると、ほとんどわからないくらいの淡い香りです。
でも、良い香りがします
個人的には、カレーリーフは大好きです。
とくに、イストゥー(じゃが芋のココナッツミルク煮)やコサンバリなど、淡い味のものを作るときは、カレーリーフが無いと物足りなく感じます。南インド屋のレシピは、大体があっさりした味なので、カレーリーフが活躍します。ケララの風のミールスも、カレーリーフがはっきり感じられます。
なので、もし南インド屋のレシピを使ってくださるなら、カレーリーフの入手を検討してみてください。南インド屋のブログからも購入できるようにするつもりです。
理由②入手性が悪いから
東京の一部では、フレッシュカレーリーフを店頭で売っているみたいですが、普通は手に入れるのが難しいです。高知の丸福農園と、あとは沖縄でも栽培しているみたいです。南インド屋では、沖縄から取り寄せていました。価格としても、安くはありません。
生産量が多くはないようで、入手ルートが限られています。そういう入手性の悪さから、南インド料理を日本で作るうえで、必須であると強く言うことはできません。
保存性も悪い
すぐに腐るようなものではありませんが、ハーブなので、香りが落ちます。冷凍することもできますが、色も香りも落ちてしまいます。
カレーリーフは、出来れば一週間以内に使い切るべきです。飲食店ではない一般家庭で、一週間に一度購入してください、とは言いにくいです。なので、必須とは言えません。
以上の理由から、フレッシュカレーリーフはいらない、とここでは結論づけます。
ここから先は、それでもカレーリーフが欲しい、という方の背中を押すための文章です。
フレッシュカレーリーフを使うべき、例外について述べていきます。
例外①商売として料理をする人
これからミールス屋さんをはじめようという方は、ぜひカレーリーフを使ってください。カレーリーフを使うべき理由を三つ挙げます。
1.南インドの味になるから
2.一般家庭では使えないので有難味があるから
3.見た目が良くなるから
これらを順番に見ていきます。
1.南インドの味になるから
当たり前なのですが、カレーリーフを使った方が、南インドの味になります。だから、使うべきです。コストや入手性の悪さも、プロであればそこまでの障害ではありません。毎週買って、常に新鮮なものを使うことができるので、鮮度の問題も解決できます。
2.一般家庭では使えないので有難味があるから
まだ日本では、スパイスを有難がる空気があります。あんなに安いもの、いくら入れたって大したコストではないのですが、折角なのでそこは利用しましょう。カレーリーフなんて、なおさら素敵な響きです。うちはこだわってますよ、とアピールできます。
実際は、レストラン風の、塩も玉ねぎもトマトもたくさん入ったような味の濃いサンバルには、カレーリーフが入っても、ほとんどわかりません。たとえ抜いても、問題はないはずです。
それでも、カレーリーフを使っているというだけで本格扱いしてくれる可能性があるので、商売としてやるなら、ぜひ使いたいところです。
3.見た目が良くなる
トマトのパチャディをカレーリーフある無しで比較してみます。レシピはこちら。
さて、どっちが好みですか。
フォトジェニックなのは、右のカレーリーフ入りだと思います。カレーリーフの緑が入ると、締まります。急にそれらしくなります。
同じような手法として、パクチーを浮かべるという手もあります。これは効きます。急にプロの見た目です。
もう少し例を挙げます。ビーツのパチャディです。
これにカレーリーフを入れるとこうなります。
次はサンバルです。レシピもあります。
これにカレーリーフを入れます。
カレーリーフを入れると、急にそれらしくなりますね。
写真はないのですが、カレーに、揚げたカレーリーフをのせるのも、効果があります。
個人的な好みを言うと、これらは、無くても良いと思っています。特に、パチャディのような白っぽいものに入れることや、チキンカレーにパクチーを浮かべるのは、田舎くさいと思っています。
緑を入れると映える、というのは、パセリがお洒落、ミニトマトを置くと素敵、ショートケーキのイチゴが憧れ、という感覚の延長です。昭和の産物です。サンバルの場合は、同系色なので、その限りではありません。
ただ、まだこの演出方法は生きてます。まだもう少し続くとは思うので、インスタ映えを良くするためにも、カレーリーフやパクチーは使いたいところです。
このように、プロであるなら、カレーリーフを使わない手はありません。ある意味、当たり前の例外です。次にあげるのは、プロじゃなくても使った方が良い例です。
例外②カレーリーフを自家栽培できる人
暖かいところに住んでいる方なら、自家栽培ができるようです。
これはもう、最高です。いつでももぎたてのカレーリーフを使えるなら、入手性の悪さも問題になりません。うらやましい限りです。
苗は通販で買えるので、ぜひご検討ください。
例外③問答無用の本格派の人
きっとすでに使っていますね。偉そうなことを言ってすみません。
以上、カレーリーフを使うべき例外を述べてきました。
まとめると、
カレーリーフの淡い香りと入手性の悪さから、無理して使う程のものではありません。ただ、商売としてやる人、自家栽培ができる人、本格派の人は、ぜひフレッシュカレーリーフを入手して使ってください。
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南インド屋の料理には、カレーリーフがあった方が良いです。なぜなら、味が濃くないからです。
そのあたりのことを書いてあります。