雑記2022/08/15『最近読んだもの色々』

〇最近読んだもの色々

メールマガジンに最近読んだものを書いていたけど、メールマガジンはあとで読み返せない、流れて消えていくようなものだから、やっぱりブログに書いた方が良いだろうなと思った。ということで、最近読んだもの色々。

 

ルイス・ダートネル『この世界が消えた後の科学文明のつくりかた』河出文庫

お勧め度★★☆☆☆  

何もなくなった世界で、ただ一冊この本が残っていれば世界を再構築できる、そういう思考実験かと思ったけど全然違った。われわれの生活を構築する文明の概略を延々と解説している。概略さえわかればあとは適当に頑張って補完するでしょう、みたいな考え方。そもそも想定しているリセットボタンがかなり甘くて、スーパーマーケットの中のものが使えて、インフラも残っている、ひとつの集団に1万人くらいの人間がいる、という想定。それならきっと図書館が残っているよね。専門書は素人には役に立たない、みたいなことが述べられているけど、素人がさっと読んで理解できる程度の情報は、そもそも役に立たない。素人が専門書にかじりついてなんとかするしかないでしょう。というより、一万人いたら、結構な分野をカバーできそう。この本の存在意義と執筆意欲がどこから来たのかがわからない。裏表紙に、世界15か国で刊行の大ベストセラー、と書いてあった。これはきっとあれですね。おじさんが飲み会トークのネタ本に買ったか、普段本を読まない人がちらっと読んで「子供に読ませたい」などと思うことで売れた類の本ではないか。

 

池上俊一『パスタでたどるイタリア史』岩波ジュニア新書

お勧め度★★★☆☆ 

読みやすくて良かった。あまりイタリア史は辿れないけど、パスタの歴史をさらっと辿れる。貴重品の砂糖とサフランを使っていた貴族のトルテッリを、『甘くて黄色い』かぼちゃで作ることで庶民に広まった、というのが面白い。ベニバナとかはなかったのかな?とは思ったけど。

 

 

長崎暢子『インド大反乱一八五七年』ちくま学芸文庫

お勧め度★★★★★

最初から不穏で面白い。蜂起するまでも面白いし、デリーに集結してあっという間に揉め始めるのも面白い。そもそもヒンドゥーとムスリムだし、カーストの問題もある。王子は隊長に担ぎ上げられるも敵前逃亡するし反乱軍の給料をポケットに入れる。内通者ももちろんいる。もうずっと揉めている。

 

 

フィン・ベル『死んだレモン』創元推理文庫

お勧め度★☆☆☆☆

最後まで読めなかった。1ページ目で絶体絶命になっていて、すぐに回想に入るのはやめて欲しい。1ページ目を盛り上げたいがために時系列をいじるのは好きではない。構成に作為をつよく感じるから、下手をすると叙述トリックもありうる。主人公の暗さとあいまって、読んでいてストレスが大きかった。スティーブンキングは偉大だなと思った。

 

 

 

お勧め度★★★☆☆

小説書くのうまいね!たぶん結構適当に書いてるんだけど、実力があるからちゃんと面白く読める。なんとなく、一発書きの匂いがする。適当に本を読みたいときにおすすめ。