筋トレは辛くない。食事が辛い。

大学を休学して暇だったときに、体を鍛えてみようと思い立ちました。大学のジムが無料で使えますし、時間ならいくらでもあります。

ただ、結局、半年ほどで辞めてしまいました。

北海道大学のジムは、校舎のあるところから、しばらく歩いたところにあります。

曲がりくねった道が原生林の中を通っています。カラスに見張られながら歩き、視界が開けたかと思うと、牛舎と、廃墟一歩手前のサークル棟が目に入ります。高校の校舎のような、6階建てくらいの建物です。吹奏楽部が、ぷーぷーと音を出しています。

その奥に、ジムがあります。悪名高い学生寮もその近くにあります。入り口を入ると、右側には、まったく機能していない守衛室があります。左側に行くと、ジムがあります。小さめの体育館くらいの広さです。

ジムの中では、序列のようなものがうっすらと存在します。

妙に体の厚い、アメフト部がやはり一番幅を利かせています。あとは、陸上部も、暇だからみんな来ているのでしょう、数を頼んで楽しそうです。体操部が柔軟をしています。野球部が素振りをしています。ボート部も一大派閥です。延々と船をこき続けるようなマシーンにずらっと座り、掛け声とともに、がっしゃんがっしゃんやっています。みなさんものすごい広背筋をしています。

そんな彼らの片隅で、ほそっこい僕が、しこしこと筋トレをしていました。トレーニー(トレーニングをする人、の意)は、自分のことにしか興味がないし、基本的に紳士なので良いのですが、やはり運動部、とくに野球部やサッカー部は、物珍しそうにこちらを見ます。彼らは、大胸筋と上腕二頭筋のトレーニングに余念がありません。偏った体になればいい。

一時間ほどトレーニングをしたら、プロテインを飲んで、着替えます。水飲み場には、「プロテインが壁に飛び散ります。きをつけて。」と貼り紙があります。蓋をちゃんとしないと、シェイカーから飛び散るんですね。

帰り道、陽が落ちて暗くなると、カラスがけたたましく鳴きはじめます。講義が終わってサークル等に向かう学生が、自転車で雪道を走っています。

そう、ここまでは楽しいのです。

筋トレは高揚感がありますし、自分の体が変化していくのは楽しいです。

ただ、食事が辛いのです。

一日3000kcalを摂り続けるのは、けっこうな苦行です。三食、しっかりお腹いっぱいになるくらい食べて、間食もすれば3000kcalくらいです。

僕は半年ほどトレーニングをして、体つきが変わり始めたな、というところで、もう食べたくなくなりました。原因はわかっています。脂質を抜きすぎたことです。

卵は、ゆで卵かポーチドエッグにして、目玉焼きにはしませんでした。肉は、もちろん鶏の胸肉か、ささみです。安い木綿豆腐を一日一丁食べていたので、脂質はそれで十分だろうと思っていました。

こういう淡泊なものって、本来は好きなのですが、続けて摂ると駄目ですね。とくに、卵の白身は、匂いが鼻につくので、食べたくなくなります。実は、そもそも卵の白身が苦手で、卵かけご飯も、白身が嫌いで食べないのです。

今になって思えば、油でもなんでもいいから、カロリーをもっと摂るべきだったと思います。鶏肉のささみで白いご飯がすすむぜ!という方はなかなかいないと思いますが、生姜焼きなら、たくさん食べられます。油はうまいのです。

そもそも、なぜトレーニングをしていたかと言うと、漠然としたマッチョへの憧れで、よくよく考えてみると、マッチョへの憧れなんて最初からなかった、というのも、トレーニングが続かなかった理由だと思います。

いまは、フットサルをうまくなるために、トレーニングをはじめました。

今度は、油を摂りながら適当にたくさん食べ、かつ目的をもってトレーニングをしようと思っています。画像は空海の豚丼です。カロリー高くておいしいです。