5月13日(日)の『出来立てのパオバジを食べ、さらにオムレツブレッドを焼いて食べ、最後にマサラチャイで締める会』の概要です。料理教室全般についてはこちらです。
パオバジ、というのはムンバイ発祥とも言われる、パンとカレーのセットのことです。pav bhajiです。pavがパンで、bhajiが野菜カレーを示します。作り方については、奇特な方が、画像付きで丁寧に解説していますのでそちらをご覧ください。
この料理教室は、メインはそのパオバジですが、折角なので、同じく鉄板を使って作る、Bread omelette も作ります。どちらもストリートフードっぽいもので、それにふさわしく、最後はチャイで締めます。良いですね。健康的です。
パオバジを作っていきます。パオバジは、野菜をマッシュしたカレーです。なので、圧力鍋に野菜を放り込んでクタクタにします。芋はメークインでも男爵でも北あかりでもなんでも良いです。どうせ煮崩すので、今回は男爵を使います。この時期だと新じゃがが出ているのですが、新しい芋より古い芋の方がおいしいですね。それと、玉ねぎも、新玉ねぎは水が多いので、インド料理にはあまり向きません。
○じゃが芋——2個
○人参——1/2本
○グリーンピース——1cup
○カリフラワー——1cup
○水——500ml
圧力鍋に入れて強火にかけます。圧力がかかったら弱火にして、10分ほど煮ます。
それでは、野菜を煮ている間に、調理を進めていきましょう。鉄板を火にかけます。鉄板は、アジアハンターのこの鉄板です。4900円です。とても良いです。ドーサを焼くのにも使えます。ドーサですよドーサ!
下準備をしていきます。ニンニクと生姜をペーストにします。いわゆるジンジャーガーリックペーストを作ります。
○にんにく——8かけ
○生姜——にんにくと同量くらい
○サラダ油——大さじ1くらい
ミキサーに入れてペーストにします。水分が少ないので回りにくいです。それでオイルを入れます。小さいミキサーがない場合は、すりおろしても良いです。市販のものもあります。石臼でつぶしても良いです。
このジンジャーガーリックペースト、レシピでは時々、GGと表記されることがあります。Ginger Garlicですね。これをもっと大量につくって保存すれば、いつでも使えて便利なのですが、なんというか、嫌気性の細菌とかがうにゃうにゃしないか心配な気もします。それと、基本的には、出来立ての方がおいしいです。ただ、さらに言うと、その古くなった味が、いわゆるお店の味を生むこともあって、何とも言えないところです。
次に、パオバジマサラを作ります。パオバジマサラとは、パオバジに使うミックススパイスのことです。
○クミン——小さじ2
○コリアンダー小さじ2
○ブラックペッパー——小さじ1
○フェンネル——小さじ1/2
○クローブ——すこし
○シナモン——ちょっと
○ドライ カスリメティ——小さじ1
○ヒング——ちょっと
○アムチュールパウダー——小さじ2
○ホールチリ——4本
配合は色々です。アムチュールパウダーというのは、青マンゴーの粉末で、酸っぱいです。大切です。それと、個人的には、カスリメティの香りが大切だと思っていて、手に入るのはドライなので、一緒に粉末にしてしまいます。この分量で二回分くらいのパオバジマサラが出来上がります。せっかくなので多めに作って持って帰ってもらおうと思います。ミルで挽く前に、鉄板に火をつけて温めておきます。
野菜が煮えたのでふたを開けます。クタクタになっています。マッシャ―や泡だて器などでつぶします。鉄板の上でつぶすより、鍋の中でつぶす方が楽です。
熱した鉄板に、サラダ油を大さじ2ほど入れて馴染ませます。そこに、バターをがばっと入れます。焦げて茶色っぽくなっても気にしません。ストリートです。
そこに、作っておいたジンジャーガーリックを入れます。刻んだ青唐辛子3本分も入れます。ざっと炒めて香りが出たら、玉ねぎのみじん切りを加えます。
○青唐辛子——3本(みじん切り)
○玉ねぎ——1/2本(みじん切り)
茶色になるまで炒める必要はありません。火が通って透き通ってきたらそれでオッケーです。
トマトの水煮缶を、手でつぶしながら加えます。ぐっと握ると、トマト果汁が飛び散ることがあるので気をつけてください。ひと缶の半分で良いと思います。僕はホールが好きなので使っていますが、カットでも良いです。
○トマト缶——1/2缶
つぶしながら炒めて、こなれてきたらスパイスを加えます。鉄板で作ると楽なのは、水分を飛ばしやすいところです。玉ねぎやトマトを炒めると、どうしても水っぽくなりがちで、それをしっかり煮詰めないと、パオバジや、チキンカレーなんかも、おいしくなりません。自宅で作る場合は、この半量くらいでつくるのが良いと思います。
○ターメリック——小さじ1/2弱
○チリパウダー——小さじ1
○パプリカパウダー——小さじ2
○パオバジマサラ——大さじ山盛り1
○塩——小さじ1.5
パプリカは、風味づけと色付けです。食紅でも可です。赤くなります。スパイスを入れると、粉っぽくなって焦げ付きやすくなります。サラダ油を足します。
そこに先ほどのマッシュした野菜を加えます。じゃばっと入れます。
水分を飛ばすように、かき混ぜながら炒めていきます。照りが足りなければバターを足します。これでBhajiが出来上がりです。足りなければ塩を足します。横の鍋に移します。
ざっと鉄板を拭いたらバターを溶かして、パンを焼きます。パンは、秘密の仕入れ先から手に入れた、おいしいパンです。こればっかりは書けません。ふわっとしてすこし甘みのあるパンが合います。決して上等なパンをつかってはいけません。いえ、駄目ではないのですが、チープな方がpav bhajiらしいかと。bhajiにバターをひとかけらのせます。パクチーと、刻んだ赤玉ねぎも添えて写真写りも万全です。さあ食べましょう。
さて、これで終わっても良いところですがそうはいきません。次は、Bread omeletteです。オムレツパンです。
まず、卵を雑に割ります。大きめのみじん切りにした玉ねぎ、トマト、青唐辛子、パクチー、を投げやりな気持ちで卵に投入します。塩を卵一個当たりひとつまみほど入れて、カッカッカッ、とよく混ぜます。
○卵——4個
○青唐辛子——3本
○大きめみじんぎりトマト——大さじ2
○パクチー——適当
○塩——4つまみくらい
熱した鉄板にバターを溶かして、そこに卵を流しいれます。ちょっと広げて、まだ卵液が残っているうちに、サンドイッチ用の薄切り食パンを二枚載せます。本当は、小さい食パンを4枚なのですが、小さい食パンなんて売ってないので調整です。フレンチトーストの要領で卵液を染み込ませたら、パンだけをつまんでひっくり返します。ぎゅっと押し付けます。
そうして、フライ返しで、ひと息にひっくりかえします。ぎゅっと押し付けて焼き色をつけたらまたひっくり返し、先ほどのパオバジマサラを振りかけます。ちょっとチーズも入れます。ふたつに折りたたんだら、もう一度両面を焼いたら出来上がりです。食べやすいように切り分けて、盛りつけます。
細くておしゃれなシュレッドチーズ、赤玉ねぎ、パクチー、パオバジマサラ、をぱさぱさ載せます。出来上がりです。
コツとしては、油をケチらないこと、はやめにパンをのせて、卵液をよく染み込ませること、それと、青唐辛子をたくさん入れることです。
ちょっと喉が詰まるような出来になったら、それは油が足りないのかもしれません。サラダ油やバターをもっと使いましょう。焼きすぎてもぱさぱさになります。だからと言って、柔らかく仕上げては、インド感が薄れる気もしますが、よく考えたらインドに行ったことはないのでわかりません。Bread Omeletteにもいろいろな作り方があるようです。今回の物は、派手で激しい味のものです。夜の屋台で食べたい味です。
さて、こうしてお腹がいっぱいになったので、次はチャイです。これまで南インド屋で紹介してきたレシピでは、あまり煮詰めないレシピが多いです。煮詰めるときの蒸発具合がレシピ化しにくいのと、時間とガス代がかかるからです。今回はストリート風なので、しっかり煮詰めたマサラチャイを作っていきます。石臼でごりごりとスパイスを挽きながら放り込んでいくスタイルです。
(二杯分)
○水——100ml
○CTC茶葉——小さじ1.5
○牛乳——200ml
○砂糖——大さじ2ちょっと
○ドライジンジャー・ブラックペッパー・シナモン・クローブ・カルダモン——ちょっとずつ
小鍋に水と茶葉を入れて火にかけます。沸騰したら鍋をゆすって、牛乳と砂糖を加えます。強火です。ぶわーーっと吹きこぼれそうになったら鍋を持ち上げます。なんどかそうやって水分を飛ばしたら火を弱めます。
その横で、石臼でスパイスを挽いていきます。書いた順番に挽いて放り込んでいきます。カルダモンは粗くつぶして、火を止めてから入れます。そのまま飲むと熱いので、ステンレスのビーカーのようなものとコップの間を行き来させ、温度を下げます。これが大事です。
こんなにスパイスをいろいろ入れなくても良いのですが、これまで食べたもので舌が鈍くなっているはずなので、これくらい雑多な味がおいしく感じます。
というわけで、パオバジ、Bread Omelette、マサラチャイ、と続けました。チャイを飲んだので、これでお開きです。有難うございます。