東京でもスープカレーが食べられるようで、ちょっと検索すると色々出てくる。「本場」のスープカレーと書かれるところを見ると、東京人は札幌のことを、四川とか北京とかハワイとか、それくらいの距離と見ているのだと思う。本場の味って、そういうことだよね。ほぼ外国。讃岐うどんの本場、なんて言い回しもあるけど、四国は実際、ほぼ外国だよね。オリーブ育つんでしょ? こっちは常緑樹すら少ないよ?
「スープカレー」と打ち込んでも、候補にレシピや作り方が出てこないところを見ると、スープカレーは、作るものでなく外で食べるものなのだと思う。焼き肉、と検索しても、「焼き肉 作り方」とは出てこない。「ラーメン 作り方」は底が見えないから見たくない。実際、札幌でも、スープカレーは作るものでなく食べに行くものだと思う。 地下鉄のどの駅でおりても大体スープカレー屋はある。それなら、食べたほうが早いよね。そう思う。でも作りたい。作れる。レシピはいくらでも出てくる。 結局は、出汁、スープが必要になる。面倒。玉ねぎとトマトを炒めるのも面倒くさい。というか、玉ねぎとトマトを炒めるなら、わざわざスープで薄めないで、ふつうのチキンカレーにしたくなるのがインド料理愛好家の性。そして、家の中がスパイスと玉ねぎの匂いで満ちているのがインド料理愛好家の常。ほんとに、玉ねぎ炒めとかフライドオニオンとかニンニク炒めは、敷金に影響するくらい匂いがつく。服にもつく。髪にも枕にもつく。ガス代もかかる。
それで、僕も、スープカレーを自分で作ったことは無かった。でも、ある日作ってみる気になった。理由はとくにない。でも、ためねぎとニンニクを炒めたくはない。要は火が通ればよいのだろうと、鍋に刻んだ玉ねぎとトマトを入れて、手羽元と一緒に煮てみた。あれ、いけそう、とスパイスを適当に突っ込んだら、スープカレーになった。ミキサーを使ったらさらに楽だと気が付く。これはいける、と次の日も作る。ミキサーに、玉ねぎとトマト、生姜、青唐辛子、を放り込んでドロドロにする。チキンと一緒に圧力鍋に放り込む。思いついて、昆布と鰹節も入れる。スープカレーだった。蓋をあけたら、そこはスープカレーだった。
試行錯誤をした。青唐辛子は、なくてもいける。生姜も、なくても大丈夫。ニンニクは、いくら煮ても生っぽさが消えないから入れてはいけない。トマトは缶で問題ない。鶏ガラでスープをとってもよいけど、始末が面倒。意外と、手羽元よりモモ肉のほうが味が出る。煮干しもよいけど、魚臭くなりやすい。スパイスは、地味系でそろえたほうが僕は好き。砂糖は強力。などなど。
いま商品として売っている「魔法の粉」の前身が出来上がって、兄と友達のボブさんに送ってみた。評判良し。これはいける、売るか!!の機運になったのだけど、なんとなく、やめた。いや、なんとなくではなく、スープカレー屋さんに申し訳ない気持ちになった。少なくとも、レシピの無料公開はやめようと思った。この簡単さは、やばいと思った。簡単すぎる。料理に慣れている人なら作業時間は5分で済む。だから、僕が、商売を本気でやる気になるまでは、片手間でぴゃらぴゃらとやって良いことではないと思った。お蔵入り。さようなら。
でも、いま、売っている。無料でレシピを公開している。良いの。商売をやると覚悟したのだから、良いの。お金欲しい。純粋に、お金が欲しい。社会貢献もしたくない。名誉も称賛もいらない。ついでに友達もいらない。
そんなスープカレーの作り方。ミキサーに玉ねぎとトマトを入れる。水も入れる。ぶーんとする。圧力鍋に、鶏もも肉を切らないでそのまま入れて、ドロドロもいれて、魔法の粉も入れる。塩もちょっと入れる。煮る。おしまい。出来上がり。超簡単。そしておいしい。あっさり系のスープカレー。
リバースエンジニアリングをするまでもなく、原材料を見ればわかるとおり、そしてこの文章を読めば尚更わかるように、商品を買わなくても、再現はできる。できる人はやってみても楽しいと思う。適当にスパイスを配合しても、それはそれでおいしい。やってみて、どうなったか教えてください。
商品のページはこちら。
一応レシピも
(4人分くらい)
鶏もも肉——2枚
玉ねぎ——1個
ホールトマト——大さじ6くらい
水——800mlから1000ml
塩——小さじ2
魔法の粉——大さじ2+小さじ2
①ミキサーに玉ねぎとトマトと水をいれてブーンとする。水を全部入れたらあふれると思うので、多い分は鍋に入れる。
②鍋に、ミキサーのどろどろと、チキン、塩、魔法の粉、を入れて煮る。圧力鍋なら、加圧は6分くらい。チキンが柔らかくなるまで煮る。
③煮えたら、魔法の粉小さじ2を加えて、ひとに立ちさせる。味を見て水とか塩とかを足す。
・ミキサーを使ったほうが、プロっぽい出来にはなる。 玉ねぎはみじん切りでもよいし、圧力鍋でなく普通の鍋でも良い。あればつかってください。