イオンのバナナ売り場には、6種類くらいのバナナが並んでいて、一番目立つ位置にあるのは、「フィリピン産バナナ128円」でした。新札幌のイオンです。
ところで、ずっとイオンじゃなく「イーオン」だと思っていて、今でも心の中では、イーオンと呼んでいます。AEONって、どちらかというとイーオンのような気がするのですが、英語に詳しい方がいたら教えてください。あ、A.O.Nという、死ぬほどつまらないプロレス漫画もありましたね。何でもないローキックによろめく選手を見てアナウンサーが驚くのですが、みなさんご存知の通り、膝の裏に巻き付けるようにしてローが入ると、そこまで強い力でなくても、足にくるのですよね。「おい、だれかあの大学出のアナウンサーに教えてやれよ！！」と目の肥えた観客のおじさんが叫ぶ漫画です。うろ覚えです。
そう、バナナの話です。一番目立つ場所、一番日の当たる大きな棚には、一番安い、青々としたバナナが積まれていて、おばさんたち(もちろんおばさん以外も)が群がって、夕方に行くと、棚にはぱらっとしか残っていません。青くて硬そうで、皮をむこうとヘタをひねっても、切れずにぐにゅと戻ってしまう、そんなバナナです。
安いバナナって、なんであんなに不味いんでしょうか。まだ子供のころ、よくわからずに一番安いバナナを買って食べてみたら、思わず吐き出して、いま俺は薬を齧ったのか？それともバナナを齧ったのか？と混乱するくらいに不味かったのです。あれは人の食べるものではありません。まあ、いまの安いバナナがどういう味かは確認していないのですが、あれから10年は経っていますし、みんながあんなに買っているところを見ると、おいしくなっているのでしょう。
そんな安いバナナの棚の下、かがまなければ取れないような位置に、高価格帯のバナナが置いてあります。高価格帯と言っても、ひと房300円のDoleとかスミフルとかのもので、その中に、イオンの400円のバナナもあります。Doleでもその価格帯のものを出しているみたいですが、イオンは、それは置かないで自社ブランドだけなのですね。
ひと房400円というと、薬品バナナ、おっと失礼、安価なバナナの3倍近い価格です。高いですね。でもおいしいのです。
たしかに高いのですが、一本一本も大きいので、可食部の重さで見たら、おそらく2倍の開きもないのではないかと思います。安いバナナって、いやあ、よくこんなの集めたね、というような細っこいバナナも多いですよね。なんで買わないのにそんなこと知っているかというと、野菜売り場を見るのが大好きだからです。マネキンが重たそうなコートを着ているのを見るより、ずっと好きです。
400円バナナの味ですが、最初に店員Aが買ってきたのを食べた時は、おいしくてびっくりしました。華やかでもっちりとしていて、うまいうまいと食べ終えてみると、巻き付くローキックのように、気がついたらお腹が満足している、というような味です。
正直に言って、イオンのPBには良いイメージを持っていなかったのですが、ここ数年は、変わってきています。野菜のグリーンアイシリーズは、ほかの物より価格も品質も良いものが多いです。ズッキーニやじゃが芋も、おいしかったです。この間、干し椎茸を買おうと思ったら、一番高価格のものは、PBでした。中国産のぺらっぺらのやつだけでなく、高級品も作っているのですね。きっとイオンの人たちも、安かろう悪かろうからの転換を図っているのだと思います。
全国にチェーン展開している吉野家やマクドナルドや大戸屋のような飲食店や、流通も金融もやっているような巨大企業のイオンに対する、「でも、味としては個人経営や、こだわりの農園の方がうまいぜ」という気持ちは、いまでもやはりあります。
けれど、それは、胡坐をかいていて良いようなものではないのだろうと思います。
彼らは、資金も、労働力も持っています。「考えること」に特化した部門や人員だっているはずです。そういう大人たちが、低価格だけでなく、高品質も目指すようになったら、ほとんどの小規模な店は、太刀打ちできないだろうと思います。いや、イナダシュンスケさんのtweetを見て吉野家に行きましたが、ほんとうに豚汁がおいしかったです。牛丼はツユ抜きが好きです。
バナナうめえなあ、と喜んで食べていますが、そのおいしさは、ちょっと凄みのようなものを感じるおいしさでした。イオンがここまでやるなら、僕たちの出番はないかなあ、と思ってしまうおいしさです。
そして、その400円バナナですが、いつも棚には3袋くらいしかないのです。そして、こんなにおいしいのだからもっと仕入れればいいのに、とは、思いません。それは、新札幌が、そういう場所だからです。
ということで、話はバナナから、新札幌の話に移るのですが、長くなってきたので、明日に持ち越そうと思います。おいでませ新さっぽろ！！
