ゆで太郎の存在に気がついてから実際に行くまで、2年くらいかかったと思う。ゆで太郎というあまりにも惹かれない名前、学食のような店の作り、ゆで太郎くんという平成を飛び越え昭和すら感じさせるキャラクター、駅から少し歩く立地、全てが僕の足を遠ざけていた。今では、自分の不明を恥じている。おいしいじゃんゆで太郎。ゆで太郎を知ってから、多分平均週一で行っていると思う。もしかすると、一番利用頻度の高い飲食店かもしれない。最近は、おろしなめこそばのあまりの旨さに幻惑され、間違えて二日連続で食べに行ってしまった。そばになめことおろしをかけたものを食べて、栄養的に何になるのかはわからないが、とにかくうまかった。後悔はしていない。
みんな知っていることかもしれないけど、ゆで太郎について僕が思うことを羅列していこう。

ここがいいねゆで太郎!その一 「北海道にある」
まずはこれだよ。チェーン店が津軽海峡を越えることは非常に難しい。ブラキストン線がある(知らない人は調べてみてね)。ガスト、吉野屋、サイゼリヤ、スシローのような巨人は海を渡れるが、ジョナサン程度の中型だと渡れない。ロイヤルホストは店舗を減らすばかりで、てんやはついに新千歳空港の一店を残すのみ。札幌の人間にはエアポート天丼しか与えられない。ラーメンの天下一品は最近札幌にできたけど一瞬で閉店した。餃子の王将はあれど、ニンニクゼロ餃子は売ってくれない。成城石井も明治屋もない。成城石井がなくてどうやって暮らすんですか?と煽られて、涙を飲んだことがある(怒っているわけじゃないよ、言った人、気にしないでね)。
だからゆで太郎があってくれて嬉しいねという単純な話ではない。いかにシズラーが優れていようと、都内でしか咲けないような花は、やはり影響力は限定的であり、僕が考える「商売の尊さポイント」としては、あまり高くならない。ゆで太郎は、公式から引用すれば「美味しいお蕎麦をできるだけ安く、気持ち良く召し上がっていただきたいと思い『ゆで太郎』を開店いたしました。」の理念通り、スケールメリットを出すためにちゃんと北海道にまで裾野を広げ、おいしい蕎麦を安くばら撒いてくれている。これは尊い。ありがたい。信頼できる。
ここがいいねゆで太郎!その二 「理念通りの味がする」
ゆで太郎は安くておいしい。え?おいしいよね?気のせい?これを否定できる人は、普段どれだけ優れたそばを食べているのだろうか。長野のそばはレベルが高いと聞いたことがあるし、昔からある個人経営の蕎麦屋がそこかしこにある東京なら、ゆで太郎の価値が相対的に下がるのだろうか。同じくチェーン店で、デパートに入っているような麻布の更科そばの店は、確かにそば単体を取り上げればゆで太郎よりもおいしいような気がする。シャキッとしていて、そばらしいとは思う。でも、そばって本当にシャキッとしているのが良いのだろうかと僕は問いたい。シャキッとしたそばは、消化に悪いような気がするし、つゆや汁との馴染みという点で言えば、あまりシャキッとしているとよろしくはないと思う。そう、ゆで太郎のそばは、食べやすい。味だけの問題ではなく、通し営業(24時間営業はやりすぎな気がするけど)で、チェーン店ゆえの気楽さがあり、安く、量が多めで、全てを総合して、体験として「食べやすい」のだ。これは完全に理念通りであり、しがない法人を経営する僕としては、あまりの眩しさに目が開けられない。いや、それはあまりに個人的な感覚だとしても、理念通りのものが体現されているというのは、気持ちが良い。気持ちが良い店には、人が来る。
ここがいいねゆで太郎!その三 「若い女性ウケを本当に気にしていない」
冒頭に述べた僕がゆで太郎になかなか行かなかった理由は、そのまま、若い女性に受けない要素であることはみなさますぐにお気づきかと思う。ゆで太郎の店内は、一応清潔に保たれているものの、本当に若い女性ウケを気にしていないことがありありとわかる。店内BGMも酷く、なぜX-JAPANがかかっているんだ。なぜ硝子の少年だ。なぜ平成のPOPソングを貫き通すんだ。おそらく狙ってやっていることで、あえておしゃれにしないことで、おしゃれじゃないおじさんが来やすい空間を保っているのだろうと思う。女性といえば、おそらく夫の好みに付き合っていると思われる夫婦づれか、家族連れの中に含まれる女児くらいで、14歳から42歳くらいの女性が本当にいない。いや、僕の行っている店舗がそうなだけで、おそらく店によってはもっと女性も来ているのだろうとは思うけど。こういう、おしゃれじゃないおじさんを受け入れる店には、ある種の清々しさがある。
ここがいいねゆで太郎!その四 「とろろがおいしい」
多分なのだけど、ゆで太郎は、全てではなく、ところどころで、まともな食材を使うようにしているのだと思う。そもそもツユが、まともな味がする。どこかの記事に、結構高いものを使っていると書いてあって、嘘じゃないと思う。廃盤になったと思うけど、とろろがおいしくてびっくりした。青森のネバリスターを使っていたのだった気がする。全く期待しないで食べたらおいしくて驚いた。今は大和芋になっていたと思う。これも、むっちりとしてよかった。そばとの相性という点では以前のネバリスターの方が良かった気もするが、外食でこのレベルのとろろが出てくるのは驚いた。もしかすると僕が知らないだけで世の中のとろろのレベルが上がっているのかもしれない、そうだとしたら誰かこっそり教えて欲しい。かき揚げの野菜もかなりまともな味がする。多分普通に店内で仕込んでいるのかな。普通に、まともにやってくれることのありがたさが沁みる。僕は本当にファミレスのランチが嫌いで、あれを食べるくらいならカロリーメイトと水の方が良い。そういう、ファミレスのダメな部分がゆで太郎は少ないのだと思う。それが、とろろに現れている。あと、ゆで太郎白石店では、油が疲れた感じの味がしたことがない。これは全店舗そうかはわからない。どういう仕組みかはわからない。
ここがいいねゆで太郎!その五 「蕎麦湯が飲める」
これはどの店でも飲めるだろうと思うかもしれないけど、さにあらず。ポットに詰められて適当に置いてあるから、それを好きに持ってきて飲めるこの気楽さは、得難いものがある。特別おいしい蕎麦湯であるわけではないけど、そもそも特別おいしい蕎麦湯なんて求めてはおらず、札幌のある蕎麦屋では、変なこだわりで、トロッと濃い蕎麦湯を出されて辟易したことがある。あれは多分ゆるいそばがきだ。蕎麦湯ではない。ちなみに、僕は、蕎麦湯はそのまま飲む。ツユを蕎麦湯で割って飲むのが子供の頃から嫌いで、ゆで太郎でも、コップにそのまま注いで飲んでいる。札幌は寒いからこれがありがたい。冷たいそば、なめこおろしそばなんかを食べる時に、冷たい水ではなく蕎麦湯を飲みながらだとお腹が冷えずに快適に食べ進められる。
挙げようと思えばもっとある気もするけど、これくらいにしておこう。まあ、単純にゆで太郎はおいしいから、試しに行ってみたら良いと思う。それでは、ゆで太郎のよくないところも挙げよう。

ここが良くないねゆで太郎!その一 「空気が悪い」
時によるのだけど、学食っぽい匂いがする。若干排水の匂いがするのかもしれない。それこそ店舗によるのだと思うけど、なんというか、もう一歩清浄な空気にしてくれたら、僕は非常に嬉しい。
ここが良くないねゆで太郎!その二 「やはりブレがある」
これはもう外食の宿命で仕方ないのだけど、白石店なら、僕がマイスターと呼んでいるおじさんがいる時は、うまい。いないと、なんだかおいしくないことがある。茹で加減、ツユの鮮度、かき揚げの具合、どれも、微妙においしくないことがある。そばの茹で方がいちばん大きいかもしれない。確かにかき揚げは、外国人の若者が揚げていると、かき揚げのイデアを掴んでいない感じになることもあるのだけど、それはそれでバリバリのフライドオニオンみたいでおいしいから問題ではない。茹でる鍋の温度の問題なのか、引き上げるのがちょっと早いのか、もしかすると麺の管理の問題なのか、期待してゆで太郎に行っても、キマらないこともある。まあ、ゆで太郎が特別ブレているわけではなく、サイゼリヤでもかなりブレるし、飲食店は難しいよねというは話になる。
ここが良くないねゆで太郎!その三 「トンカツがおいしいけどおいしくない」
これは、ここがいいね!に入れてもいいくらいで、ゆで太郎のカツは、懐かしい味がする。衣だらけというわけではなく、肉が、何か下処理がされて、ふわっとしたような、魂が抜けたような味になっている。これはわざとというか、あまりコストをかけずにそれなりのものを出せばいいやという割り切りであり、むしろ好ましいとすら思うし、このランクのカツをおいしくないというのは現代人が飽食に過ぎるとも言えるし、となんとかゆで太郎の肩を持ちたくなる。まあ、もうちょっと命のある肉を出してくれたら僕は嬉しいね。無理はしないでね(猫撫で声)。
ここが良くないねゆで太郎!その四 「本当におしゃれさがない」
ゆで太郎おいしいよと誰にでも勧めたいのだけど、誰にでも勧められないくらいには学食感がある。ちょっと、まずあのキャラクターをやめよう。お、そ、ばは〜生きもの〜粋な〜まちなみ〜、というあのソングもやめよう。しんぱち食堂に倣って鈴虫の音源でもかけておくのが良いのではないでしょうか。全体的に、もう一歩だけ蕎麦屋っぽくしても、客層が乱れることはないと思う。
基本的には存在してくれているだけでありがたいから文句をつけたくはないのだけど、一応良くないところも挙げさせていただきました。最後に、僕がよく食べるもの、セットを発表して締めにします。さあ、気になる順位は…!!!!

1位 温そば大盛り ミニさば焼きたらこご飯 クーポンかき揚げ
これが基本のセットですね。基本的には冷たい蕎麦より温かいものが好きで、気分が乗った時だけ冷たいものを食べる。丼は、脂肪分の少なさからもサバ焼きたらこご飯の頻度が高い。ただ、少し前の改変で、多分鯖がちょっと変わったんだよね。たらこの品質も決して良くはないから、一味を多めに振って食べる。そう、一味も少し前に辛くなったと思う。前はもっと辛くないものが置かれていた。丼ものは、カツ丼か、カツカレーにすることもある。カツカレーは、懐かしい味がする。カツもカレーも懐かしい。そして、いつもカレーがちょっとぬるいのはなぜなのだろう。もうちょっと熱くしてくれても良いと思うのだけど。カレーは、札幌市役所の食堂よりは脂肪分が少なくて食べやすく、おいしい。カツカレーを選ぶと、かき揚げを足すと過剰になるため、クーポンで足したいものがなくなってしまう。時々クーポンで大根おろしがあり、これは嬉しい。大根おろしはそのまま食べる。アミラーゼ。
2位 温そば大盛り 季節のかき揚げ
季節のかき揚げがかなりおいしい。貝柱と夏野菜のやつがいちばんおいしいのだけど、揚げ方が難しいのか、ベストに当たることが少ないのが玉に瑕。ヤングコーンは冷凍物のはずなのだけど、今は冷凍技術が上がったからか、ちゃんとおいしいんだよね。小エビは普通の保水剤が入った冷凍エビであまり好きではない。まあ、悪くはないのだけどね。この組み合わせにしてミニ丼を足すと、ちょっと過剰になり、でもちょっと食べ足りない気もするから悩ましい。
3位 冷やしなめこおろしそば1.5倍盛り 何かミニ丼
最近急上昇したため、ランクイン。これはほんとうにうまい。魅惑的。1.5倍にすると、ちょっと大根おろしが足りないから、追加料金で足した方が良いと思うのだけど、けち心が発揮されて、足せた試しがない。
4位 ゴロゴロ鴨南蛮そば
結構たくさん肉が入っていて嬉しい。たんぱく質が取れる。汁が甘くなるのが難点(?)だけど、かなり満足度が高い。札幌は寒いからね。これを頼むときも、あればクーポンでかき揚げをつけるかな。なければコロッケとか。揚げ物はおいしいからね。
みんな行ってみてくれよな!!!!
