六花亭の商品をひとつひとつ食べて紹介「ひとつ鍋」

ひとつ鍋、六花亭屈指の田舎くさい名前。

六花亭の商品をひとつひとつ紹介する企画です。母のブログでも同じ企画をやっています。こちらです。

ひとつ鍋は、こういうお菓子です。

ジャンル:和菓子

価格:125円/個

手土産にしたら喜ばれる度★★★☆☆あんこ好きなら

北海道土産としてのわかりやすさ★★☆☆☆おいしいけど北海道らしくはない

六花亭らしさ★★★★★まさに六花亭

求肥がもっと欲しくなる度★★★★★求肥を山ほど食べたい

 

公式サイトもご覧ください。

大きさは、これも手のひらに収まるくらいで、大きくはありません。六花亭のお菓子は、基本的に大きくないのです。見てわかる通り、最中です。中にあんこがはいっています。小さい求肥がふたつはいっています。小倉、こしあん、白あん、の三種類があります。

僕は基本的にあまりあんこが好きでなく、それは主に甘みの強さによるところが大きい気がします。ところで、彩果の宝石というお菓子をご存知でしょうか。あの、果物をかたどった、砂糖がジャリジャリして、喉が渇くくらいに甘い、固いゼリーのようなお菓子です。おばあちゃんの家にあるやつです。あれを食べるくらいなら、果物を皿に盛り合わせておいて、それを見ながら、砂糖をそのまま舐めれば良いような気もします。どうせ果物味なんてしないのです。それで、その彩果の宝石を、知り合いのフランス人に見せてみたところ、「ある。フランスにもこんなのある。おばあちゃんとかが食べる、おいしくないやつだ」と言っていました。おばあちゃんという集合意識体は、国境を越えて存在するようです。

けれど、このひとつ鍋はおいしいです。最中が厚めで、あんこがそこまで甘くないので、僕でも楽しめます。たい焼きは中身より皮の方が好き派のみなさまにもお勧めです。そういう意味では、最中が主役のような気がして、とすると、粒あんのほうは、皮の風味が強くて邪魔な気もします。また、食感の点からも、サクッとした最中に、あんがねりっとして、求肥でもにゅっとしてアクセントになる、という構成が、こしあんでもっともすっきりと表現されているような気がして、だから僕はこしあんが好きです。ちなみに、あんこは、水が多いのかなんなのか、粘度は低めだと思います。適当なことを言っていたらすみません。

三種類の断面を載せておきます。これがこしあん。

次に小倉。

断面が崩れて汚いですね。こしあんを切った後の、粘性の高いあんこが付着した包丁でそのまま切ったところ、最中が崩れてしまったのです。次から気をつけます。最中は続けて切ってはいけない。

最後に白あんです。

白あんだけ画像のかんじが違うのは、撮った時間が違うからです。三種類を買っておいて、食べたくなって撮る前に食べてしまう、というのを、私が一回、母が一回やったことで、一枚目から5日ほど経った夕方に、やっと撮ることができたのです。

本当は、断面に求肥がふたつ見えるように切ることが出来ればよいのですが、全然だめでした。白あんに至っては一個も写っていません。求肥が好きなので、食べるたびに、ああもっと求肥が入っていれば、と思います。むしろ求肥が本体でも良いです。

名前についてですが、鍋のかたちの最中だから、ひとつ鍋です。由来は、なんだか十勝開拓云々らしいので、興味のある方は「開墾のはじめは豚とひとつ鍋」で調べてみてください。雑多な具材の入った、ごった煮のことらしいです。その点を考えると、こしあんより小倉の方が、ごった煮感が出ていて、よりひとつ鍋らしとも言えます。白あんは、白みそですね。北海道は白みそが多かった気がするので、それもありですね。求肥と色が近いのはマイナスですが。

さてこのひとつ鍋、もちろん食べておいしいのですが、僕はこれに、おままごとの喜びに近い何かを見ます。

おままごと、もしくは、ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家の夢、英字ビスケット、アルファベットパスタ、さらに言うと、食べっこどうぶつ、ディズニーランドで売ってるミッキー型のクッキー(耳の部分はチョコ)、こち亀で出てきた、トンボ型のクッキーや、歯磨き粉のようにチョコをにゅるっと載せて食べる歯ブラシ型のクッキー、などです。

こういう、味にも食感にも全く寄与しないけど、心の中のおままごとの喜びと近いところにある何か、です。ちびまる子ちゃんのまる子の世代に強いかと思うのですが、良く考えると、なにかをかたどったお菓子というのは、もう腐るほど存在するので、きっと人類に植え付けられた何かなのだと思います。

そしてひとつ鍋です。良く見てください。鍋のかたちをしています。取っ手のような部分もあります。蓋はきっと木製で、表面に溝が走っています。蓋の持ち手もついています。しかも、蓋がちゃんと独立しています。独立しているということは、蓋を開けることが出来るということです。うひょー。実際にやってみると、あんこがべったりとついて、蓋だけ取り外すのは至難です。く、くやしい。でもきっと、製造工程では、鍋型の最中にあんこを充填して、そこに蓋をしているはずです。もしかしたら六花亭の工場では、ひとつ鍋にふたをする仕事、というのがあるかもしれません。

もしかして、こういう鍋の形にするために、ある程度の最中の厚みが必要で、それが鯛焼きの皮好きの心をとらえることに偶然つながったのかもしれません。すべてが調和しているのですね。

僕は水を飲みながらぱくぱく食べますが、お茶を淹れて食べたら良いと思います。こしあんなら、和菓子風味がちょっと薄れるので、コーヒーでもぎりぎりいけるかもしれません。

ということで、ひとつ鍋の紹介でした。


同じ企画の、これまでの記事です。すべてしょうもない内容です。

大平原

マドレーヌのようなものです。ちょっとパウンドケーキに近いかな、という印象です。

百歳(ももとせ)

イギリスのお菓子を真似した物らしいです。

名前と包装からは想像できないおいしさです。