サードウェーブのコーヒは、突き詰めると生豆をかじることになるのか

珈琲って、苦いですよね。普段は水とぬるま湯とお湯ばっかり飲んでいるので、ときどきコーヒーを飲むと、味が濃いなあ、と目を瞬きたくなります。料理人たるもの舌を常に鋭敏にしておくべきだ、という考えがない訳ではありませんが、水ばっかり飲んでいるのは、そういうストイックさの発露というよりは、単純に嗜好の問題です。

どうやら、うまれついて肌が強くはないようで、靴を買い替えるとほぼ間違いなく靴擦れしますし、インドに行かない理由の80%が自分の肌を信用していないからで、そういう肌の人は、粘膜も弱いのか、パイナップルを食べるとひりひりしたり、グレープフルーツジュースを飲むと喉がひりひりしたり、水を飲んだだけで喉がきゅっとなることもあります。あと、むせやすいです。壮二郎、という名前なのですが、むせ二郎と呼ばれることがあります。そういう体質なので、酒をがんがん飲んだり、濃いコーヒーをしょっちゅう流し込んだりすることができないのです。

そう、珈琲の話です。普段はほとんど飲まないのですが、サンマルクカフェのベトナム珈琲に砂糖を二本足して激あまにして飲んだり、スポーツ前のドーピングとして珈琲を飲んだり、パリのカフェで格好つけてcafeを飲んだりするのは好きです。味としても、好きなのです。

それで、サードウェーブのコーヒーです。厳密な定義は知りません。きっと、こだわりのコーヒーなのでしょう。詳しくは、googleに訊くか、詳しい方に訊いてみてください。僕はよく知りません。サードウェーブっていうのは、ワインのようにしてコーヒーを楽しむような店やコーヒーそのものを言うのだろう、とざっくりとらえています。specialty coffeeとか、clean cupとか、たぶんそういうかんじです。

一度だけそういうサードウェーブと思われるような店に行ったことがあって、そこのコーヒーが、まあ、おいしくなかったのですね。ちょっと驚くくらい薄かったのです。これはカップを洗った水か?とは店員Aの弁。

その時はサードウェーブという言葉自体知らなかったですし、specialty coffeeなんて聞いたこともなかったのですが、こんなことを思いました。

なんとなく、やりたいことはわかるなあ、と。楽しむためというよりは、仕入れたり焙煎したりするときの、試飲用じゃねえの、とも思いました。年間2000杯をプロとして飲むならこういうところに行きつくかもねという味。

そして、「コーヒー」という飲み物でなく、料理としてのコーヒー、言い換えるなら、素材として珈琲豆をつかった、スープのようなものをイメージしているのだろうなあ、と。わかる、わかります、やりたいことは。

でも、おいしくないんですよね。はっきりと、おいしくないのです。結構高いけど。

素材の味を楽しむとか、できるだけ不純物をのぞいたものを楽しむとか、そういう文化のピラミッドの頂上から見下ろすような考えも好きですが、それを、「おいしさ」と両立させるのが料理人の仕事だと思うのです。それを放棄してない?と思いました。キャベツの味を楽しみたいなら、生のキャベツをむしって食べたら良いでしょう。豆の味を楽しみたいなら、生の豆をかじってたら良いのでは、と。言いすぎですね。キャベツをかじるのっておいしいですよね。

思わず、店員さんに、これ薄くありません?これは普段どおりですか?と訊いてしまいました。

すると30代の女性店員さん(オーナーの奥さん?)は、立て板に水とはこのことか、わーーっと、珈琲について語り始めました。よくわからなかったのですが、「はじめて飲む方にはそう感じられることも…」、「コーヒーの収斂性の苦みが舌に…」「クリーンカップ、という基準が…」「豆の味を楽しむ…」「こいめに入れておだしすることもできますが、お客様の好みに合うコーヒーとはちがうかもしれません」と仰っていた気がします。たぶん、しょっちゅうそうやって訊かれるのでしょう。

家に帰って、調べてみました。cup of exellenceという、世界的な品評会のようなものがあるらしく。そこで使われている評価シートを見てみると、そもそも。苦みと渋み、という項目がないんですね。なるほど。

https://www.allianceforcoffeeexcellence.org/en/cup-of-excellence/

でも、あそこのコーヒー、紅茶よりはずっと苦かったし、焙煎した風味だってしました。たった一杯で何を言う、と言われたらそれまですが、なんとも釈然としないコーヒーでした。ただ、ここのコーヒー屋さんの豆を買って帰って自分で淹れると、すごくおいしいんですよね。きっと仕入れも焙煎も上手なのでしょう。ちなみに、そのお店おすすめの淹れ方をすると、店で飲むものより、大分濃いものが出来上がります。あれ?どういうことだ?

きっと世の中には、おいしくて、かつ豆の味を楽しめて、収斂性の苦みが舌にこないコーヒーも、あるのでしょう。というより、それが正しいサードウェーブのspecialtycoffeなのですよね。そのうち飲んでみたい気もします。良い店をご存知でしたら教えてください。

最後にことわっておくと、本稿では、サードウェーブとか、スペシャリティコーヒーとか、クリーンカップ、とか、そういうものを一緒くたにして書いています。実際は違うのでしょうし、勘違いも多いと思います。

もうひとつ付け足すと、ミールスを作る前にあまり濃い珈琲を飲むと、味がわからなくなるのでお気を付けください。飲んでしまったときは、あんかけ焼きそばを作ってください。あんかけ焼きそば大好きです。

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コメント

  1. countrylife より:

    突然の訪問、書き込み失礼します
    40年札幌の自家焙煎コーヒ-飲んでます
    るびあ・札幌珈琲館・TAKIZAWAさん・沢田さん・中島さん…
    今でも40年前のスタイル変わっていないのが
    西町の澤野コーヒーです
    嗜好品なので好み次第でしょうが、
    澤野さんの冷めても美味しい、
    何時間も酸化しないまで絶妙にローストされたコーヒーが自分は大好きです
    あと何年飲めるやら…

    1. shirotadcs より:

      西町ですね。車を持たないので、誰かにのせてもらうときに、むりやり予定に組み込むことにします。ありがとうございます。

      1. countrylife より:

        ぜひ!ぜひ!です
        自分も、近々、南インド屋さんのお店の方に寄らせてもらいますネ!!

        旧5号線の西町ヤナセとスバルの間の通りの住宅街です
        焙煎中だと、風向きによっては3~400m範囲でみつかります(笑)
        澤野さん高齢化で??
        水曜午後から(配達)と木曜日がお休み
        11時前~18時までの営業です
        ハードル高いです??

        1. shirotadcs より:

          南インド屋の店舗での営業は今年の1月2日で辞めたんですよ。食べて頂けないのは残念ですが、店のレシピを公開していますので、ぜひご覧ください。

  2. shirotadcs より:

    横井珈琲ですね、行ってみます。長居はしない方ですが、確かにライナーノーツは薄暗くて長居できそうですね。ありがとうございます。

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