7月22日の料理教室のようなもの『酒とスパイス料理』でつかうレシピ集です。
料理教室とは銘打ってありますが、普段の物とは違い、作った端からどんどん食べて飲んでをやろうと思います。なので、全体的にレシピは複雑でなく、それこそ酒を飲みながらでも作れそうなものが多いです。
お品書きはこのようになっております。
・海老とウズラの卵のアチャール
アチャールとは、まあ漬物くらいにとらえて良いと思います。先日のダルバートでも作ったように、ネパールでも使われる言葉です。というより、ネパールの方が強いかな、くらいです。印象ですが。ふつう海老のアチャールと言えば、保存の効くようなタイプが多いとは思うのですが、今回は浅漬け系のアチャールで、サラダ仕立てです。作り方は、かなり邪道だと思いますが、おいしいです。カマルプールという店で出しているものと近いです。
・スナップエンドウとペコリーノチーズのマサラ和え
生のスナップエンドウと、ペコリーノチーズを、スパイスで和えたものです。それだけです。簡単で美味しいです。
・人参とごまのサラダ
渡辺玲さんの「カレーな薬膳」を真似します。人参、ごま、カシューナッツ、レーズン、クミン、レモン、です。とてもおいしいので紹介します。
・マサラドーサ
じゃが芋のカレーが入ったクレープのようなものです。澄ましバター、ギー、をたっぷりつかい、ビール不可避の味に仕上げます。クレープは、米と豆を発酵させたもので、クリスピーな仕上がりにします。
・黒胡椒のポークカレーとターメリックライス
やはり締めにはカレーだろう、ということで、ブラックペッパーを効かせたカレーに、ターメリックライスを合わせます。実は、コダグ県というところのpandi pork curryです。コダク県と書くと変な感じがしますが、インドです。カルナータカ州です。
今日の流れですが、最初に、火を使うものを20分ほどで仕上げてしまい、あとは、席についていただいて、テーブルの上でちゃちゃっと仕上げていきます。
まずはサンバルをひと鍋でつくります。もっとも簡単な作り方だと思います。圧力鍋に豆と野菜を一緒に入れて煮てしまいます。野菜は、何でも良いと思います。今日はズッキーニで作ります。火にかけてざっと混ぜたら蓋をします。圧力がかかったら10分ほど煮て火を止めます。普通はトゥールダルを浸水させてから煮るのですが、より簡単にするために、ざっと洗って水を切ったらすぐに調理します。
○水——500ml
○玉ねぎ——1/6個(大きめに切る)
○トマト——1/3個(ざく切り)
○ズッキーニ——1本(大きめに切る)
○トゥールダル——1/4cup
マサラドーサ用のポテトマサラをつくります。マサラドーサmasala dosaが、なぜポテトの入ったドーサを指すかはわかりません。
芋は、かるくマッシュします。ただ切るだけでも良いのですが、ドーサとの馴染みを考えて、つぶします。完全につぶしてしまっても面白くないので、粗さは残します。今回はメークインを使いましたが、男爵でも北あかりでも、何でもよいです。
鍋に多めのサラダ油を熱したら、チャナダルを入れます。軽く色づいたらマスタードシードとウラドダルを入れ、マスタードシードが弾けてきたらクミンシードを加えます。ダルが色づいたら玉ねぎ、青唐辛子、塩、ターメリック、を加えて、玉ねぎがしんなりするまで炒めます。そこに、つぶした芋を入れて、ざっくりと混ぜるように炒めます。火を弱めないと焦げ付きそうです。芋には火が通っているので、混ぜるようなイメージです。これで出来上がりです。簡単です。
今回は、ダルとマスタードシードを多めにします。ポテトマサラは味が平坦になりがちなので、ダルの食感と、マスタードの風味を強めにします。
○芋——6個(切って茹でておく)
○サラダ油——大さじ
○チャナダル——大さじ1強
○ウラドダル——大さじ1
○マスタードシード——大さじ1強
○クミンシード——小さじ1
○玉ねぎ——1個(うす切り)
○青唐辛子——3本(みじん切り)
○ターメリック——小さじ1/4
○塩——小さじ1.5
サンバルの圧力が下がったらふたを開け、別の鍋に移します。味付けをして煮込んで出来上がりです。テンパリングはしません。
○塩——小さじ1.5
○タマリンドペースト——大さじ1
○ヒング——ちょっと
○サンバルパウダー——小さじ2
圧力鍋でポークカレーを作ります。
今回作るポークカレーは、pandi pork curryとも呼ばれるらしい、coorgという地方のカレーです。特徴としては、ローストした黒っぽいパウダースパイスと、変な酢を使うことのようです。クダンプリという果実から作られる酢のようですね。手持ちの、the essential kerala cookbook という本によると、コクムとは似てるけど違うものらしいです。タマリンドと米酢で代替します。
まずは、肉を煮ます。圧力鍋に、豚バラ肉と玉ねぎを入れて火にかけます。水は入れなくても大丈夫です。鍋底に玉ねぎを敷いて、その上に豚肉です。圧力がかかったら8分ほど煮ます。
○豚バラ肉——1kg
○玉ねぎ——1個
パウダースパイスをローストします。ミルにすべてのスパイスを入れて粉末にしてから乾煎りします。お手持ちのガラムマサラがあれば、クミン以下を置き換えてください。
○ターメリック——大さじ1/3
○チリパウダー——大さじ1/2
○パプリカパウダー——大さじ1
○コリアンダーパウダー——大さじ1
○ブラックペッパー——大さじ1/2
○クミンシード——ひとつまみ
○クローブ——ひとつまみ
○カルダモン——ひとつまみ
○フェンネル——ひとつまみ
○フェネグリーク——ひとつまみ
火加減は中火くらいです。あっという間に煙が上がってきますので、ひっきりなしにかき混ぜます。全体が、こげ茶色になるまで煎るのですが、それをここでやると、皆様の御召し物がひどいことになるので、さきほど煎っておいたものを、三分間クッキングします。
それと、ミキサーでペーストを作ります。にんにく、生姜、カレーリーフ、コリアンダーリーフ、です。ちょっと水も入れます。完全になめらかなペーストよりは、ちょっと粗いくらいの方が良いと思います。
○ニンニク——10かけ
○生姜——にんにくと同量
○カレーリーフ——20枚
○コリアンダーリーフ——適当量
○水——100mlくらい
出来上がったペーストを、サラダ油で炒めます。香りが出たところに、煮た肉とパウダースパイスを合わせます。ものすごい色になります。塩、砂糖、タマリンドペースト、酢、を加えて、水分を飛ばすように10分ほど煮込めば出来上がりです。以下の調味料は、様子を見ながら加減してください。肉の脂の入り方や玉ねぎの質などで全然違うと思います。塩はある程度しっかりつけて、苦みをやわらげる程度の砂糖を使います。酸味は、脂があまりしつこくなりすぎない程度で、あまり酸っぱくし過ぎない方が良いと思います。
○塩——大さじ1
○砂糖——大さじ1ちょっと
○タマリンド——大さじ3
○酢——大さじ2
ターメリックライスも炊いておきます。とくに見て面白いものではないので、調理は奥のキッチンでやります。米はざっと洗ってザルに揚げておきます。日本米とタイ米をブレンドするくらいがちょうどよいと思います。コツとしては、ターメリックは控えめにすることです。入れすぎると苦いし舌触り悪いしで、おいしくありません。塩とサラダ油でちょっと味がついた方が、おいしい気がします。バターでも良いです。
○日本米——2cup
○タイ米——1cup
○水——4cup
○サラダ油——大さじ1
○塩——ふたつまみくらい
○ターメリック——小さじ1/4
これで火を長く使うものは終わりですので、テーブルのセッティングをしましょう。
お持ちの飲み物をてきとうにやっていてください。突き出しに、揚げたパパドをどうぞ。
では、ここからは、さっと仕上げていきます。分量は、まあ適当で良いと思います。
『エビとウズラの卵のアチャール』
○冷凍エビ——500g程度(解凍して茹でておく)
○ウズラの卵——40個(茹でて剥いておく。もしくは水煮)
○玉ねぎ——1個(みじん切り)
○ミニトマト——ひとパック(半分に切る)
○パクチー——ひとつかみ
○米酢——3/4cup
○サラダ油——1cup
○チリパウダー——小さじ1
○ブラックペッパー——小さじ1/2
○クミンシード——小さじ1/2
○フェネグリーク——小さじ1/4
○マスタードシード——小さじ1/4
○塩——小さじ1強
○砂糖——小さじ2弱
○胡麻——小さじ1/2
酢と油は、今回は、whtie vinegerと、白いごま油を使いました。癖のないものであればなんでも良いと思います。スパイスはミルで粉末にします。
酢以下の材料を全てボールに入れてよく混ぜ、乳化させます。つまりドレッシングです。このドレッシングで、エビ、卵、野菜、を和えて出来上がりです。材料が多いので面倒に見えますが、実際に作るとすごく簡単です。スパイスの部分は、チリパウダーとガラムマサラでも良いですし、チリパウダーだけでも良いです。
『スナップエンドウとペコリーノチーズのマサラ和え』
○スナップエンドウ——適量
○ペコリーノチーズ——適量
○チリパウダー——適量
○ブラックペッパー——適量
○クミン——適量
○アムチュールパウダー——適量
スナップエンドウは新鮮なものが良いです。生で食べると食感が面白いです。筋を取って適当に切ります。そこに、ナイフで削るようにして切ったペコリーノチーズを合わせます。スパイスをミルで挽いて適宜かけます。混ぜます。完成です。チーズは、他の物でも良いと思います。
チーズの切り方はお好みで良いと思いますが、あまり厚く切りすぎると、スナップエンドウとの食感の差が強くなりすぎて、一体感が生まれません。
スパイスは、チャートマサラというミックススパイスをイメージしたものです。既製品をお持ちの方はそちらを使ってください。アムチュールは青マンゴの粉末で、酸味があります。
『渡辺玲さん風の人参サラダ』
○人参——3本(皮ごと千切り)
○レーズン——大さじ2(水に浸けておく)
○カシューナッツ——大さじ4(乾煎りして粗く砕く)
○ごま——大さじ5
○塩——小さじ1ちょっと
○レモン汁——大さじ3
○クミンシード——小さじ1(乾煎りしてつぶす)
○太白ごま油——大さじ3くらい
材料を全部混ぜたら出来上がりです。おいしいです。残念ながらレシピには著作権が認められないようで、レシピを作る身としては悲しい気がしないでもありません。『カレーな薬膳』という本に載っていますので、正確なレシピはそちらをご覧ください。以前、書評のようなものも書いています。
この三つだけでお腹いっぱいになる可能性があるのですが、あくまで前菜です。次にマサラドーサです。生地の配合ですが、こんなかんじです。
○タイ米——2cup
○ホールウラドホワイト——1cup
○チャナダル——1/4cup
○フェネグリーク——小さじ1/4
○ライスフレーク——1cup
○塩——小さじ1/2
米を水に浸けて、ホールウラドとチャナダルをフェネグリークと一緒に水に浸けて、一晩置きます。豆を、浸けておいた水1.5cupくらいで挽きます。もちろんウェットグラインダーです。ふわっとしたら取り出して、次は米を挽きます。同じく漬け汁2cupくらいで挽いて、そこに、ミルで細かくしたライスフレーク(ポハpohaとか、チウラとも言う)を投入して、水も1cupほど足します。指で触ってもざらざらしない、とても滑らかなペーストになったら、豆と合わせて、塩も入れて、良くかき混ぜます。暖かいところにひと晩置いて発酵したら出来上がりです。
まあ、ウェットグラインダーが自宅にある方は皆無だと思いますので、ミルやミキサーで工夫してみます。タイ米とホールウラドを、それぞれミルやミキサーで挽きます。ホールウラドは入手性が悪いので、ウラドダルでも良いです。ライスフレークも挽きます。で、それを水で溶いて、ねちょねちょのものを作ります。発酵させます。たぶん二日くらいかかります。挽き方が粗いと発酵の進みが多分遅いのですが、まあ、ちょっと酸味がでればそれでオッケーです。ちょっと粗いと、生地を伸ばして焼くときにちょっとやりにくいのですが、まあ、できなくはありません。
イドゥリラヴァという、粗びきの米粉がありまして、アーンドラキッチンのあの粗びき感って、もしかしてそれかな、とも思っています。それを使えば、ちょっと楽ですね。
鉄板とパール金属のクレープパン、ふたつで焼いていきます。焼き方は、youtubeなどで適当に調べてください。さきほどのポテトマサラを入れてくるっと巻けば出来上がりです。サンバルをかけて食べましょう。
では、カレーライスで締めます。ターメリックライスと、さきほどの黒いポークカレーを盛りつけます。付け合わせは、大根スティックです。はじめ、玉ねぎのアチャールを考えていたのですが、すこし酸味のあるカレーにあわせるなら、かえって芋系のほうが良いか、いやそれだとちょっと重いな、ということで、間をとって大根スティックです。肉と好相性です。消化に良いのでたくさん食べてください。
最後にラムチャイをつくります。ラムの効かせかたは調整できるので、今回はちょっとラム強めにします。これで二杯分です。
●カルダモン 小さじ1/4 クローブ小さじ 1/4 シナモン ほんのひとかけら、を砕いておく
●水100ml、茶葉 小さじ1.5を鍋に入れ強火にかける。沸騰したら、牛乳150ml、砂糖大さじ2を入れてかき混ぜる。
●吹きこぼれそうになったら、ダークラム大さじ1を入れ、ざっとかき混ぜてスパイスを入れ火を止める
最後の火入れの具合で、アルコールを飛ばさないようにすれば、よりラム酒が効きます。単純に量を増やす、最後にカップに垂らす、という手もあります。
以上でお終いです。有難うございました。
最後にレシピをまとめておきます。
『エビとウズラの卵のアチャール』
○冷凍エビ——500g程度(解凍して茹でておく)
○ウズラの卵——40個(茹でて剥いておく。もしくは水煮)
○玉ねぎ——1個(みじん切り)
○ミニトマト——ひとパック(半分に切る)
○パクチー——ひとつかみ
○酢——3/4cup
○サラダ油——1cup
○チリパウダー——小さじ1
○ブラックペッパー——小さじ1/2
○クミンシード——小さじ1/2
○フェネグリーク——小さじ1/4
○マスタードシード——小さじ1/4
○塩——小さじ1強
○砂糖——小さじ2弱
○胡麻——小さじ1/2
①酢以下の材料をボールに入れよく混ぜてしっかり乳化させる。スパイスはミルで挽いておく。そこに他の材料を投入して和える。
『スナップエンドウとペコリーノチーズのマサラ和え』
○スナップエンドウ——適量
○ペコリーノチーズ——適量
○チリパウダー——適量
○ブラックペッパー——適量
○クミン——適量
○アムチュールパウダー——適量
①スパイスはミルで挽いておく。削ったチーズとスナップエンドウをスパイスで和える。
『渡辺玲さん風の人参サラダ』
○人参——3本(皮ごと千切り)
○レーズン——大さじ2(水に浸けておく)
○カシューナッツ——大さじ4(乾煎りして粗く砕く)
○ごま——大さじ5(軽く煎って半擦りにする)
○塩——小さじ1ちょっと
○レモン汁——大さじ3
○クミンシード——小さじ1(乾煎りして粗くつぶす)
○太白ごま油——大さじ3くらい
①材料を全部よく混ぜる。
『ポテトマサラ(マサラドーサの中身)』
○芋——6個(切って茹でておく)
○サラダ油——大さじ5
○チャナダル——大さじ1強
○ウラドダル——大さじ1
○マスタードシード——大さじ1強
○クミンシード——小さじ1
○玉ねぎ——1個(うす切り)
○青唐辛子——3本(みじん切り)
○ターメリック——小さじ1/4
○塩——小さじ1.5
①鍋にサラダ油を熱し、チャナダル、マスタードシード、ウラドダル、を順に入れる。ウラドダルが軽く色づきマスタードシードが弾けてきたらクミンを加える。クミンが軽く色づいたら玉ねぎ、青唐辛子、塩、ターメリック、を加えて、玉ねぎがしんなりするまで炒める。ポテトを加えてよく混ぜる。
『黒胡椒のポークカレー』
○豚バラ肉——1kg(4cm角くらいに切る)
○玉ねぎ——1個(うすぎり)
○塩——大さじ1強
○砂糖——大さじ1強
○タマリンド——大さじ3
○酢——大さじ2
○ターメリック——大さじ1/3
○チリパウダー——大さじ1/2
○パプリカパウダー——大さじ1
○コリアンダーパウダー——大さじ1
○ブラックペッパー——大さじ1/2
○クミンシード——ひとつまみ
○クローブ——ひとつまみ
○カルダモン——ひとつまみ
○フェンネル——ひとつまみ
○フェネグリーク——ひとつまみ
○ニンニク——10かけ
○生姜——にんにくと同量
○カレーリーフ——20枚
○コリアンダーリーフ——適当量
○水——100mlくらい
①圧力鍋の底に玉ねぎを敷き、その上に豚バラ肉を置く。圧力がかかったら8分ほど煮る。
②パウダースパイスは、こげ茶色になるまで乾煎りする。換気扇は強めで。
③ニンニク以下の材料をミキサーでペーストにする。粗めのが良いと思う。
④鍋にサラダ油(分量外)を熱して、ペーストを炒める。香りが出たら、煎ったスパイスと、塩、砂糖、タマリンド、酢、煮た肉と玉ねぎ、を加えて、水分を飛ばすように10分ほど炒める。
おまけのラムチャイです。レシピは以前の記事からの転載です。
●カルダモン 小さじ1/4 クローブ小さじ 1/4 シナモン ほんのひとかけら、を砕いておく
●水100ml、茶葉 小さじ1.5を鍋に入れ強火にかける。沸騰したら、牛乳150ml、砂糖大さじ2を入れてかき混ぜる。
●吹きこぼれそうになったら、ダークラム大さじ1を入れ、ざっとかき混ぜてスパイスを入れ火を止める