ハイデラバードビリヤニに飽きたあなたへ贈る、海老ビリヤニのレシピとコツ

7月29日の『あこがれの海老ビリヤニと副菜3品』のレシピ集です。

はじめに

ビリヤニ、というのは、肉や野菜をつかった炊き込みご飯のようなものです。あくまで、ようなもの、なので、wikipedia辺りをご覧になってください。

今回作るのは、海老を具材にしたビリヤニです。敢えて名前を付けるなら、thalassery prawn biryaniとか、malabar prawn biryaniとかになると思います。prawnの前についているのは、どちらも地名です。ただ、『札幌ラーメン』が常に味噌ラーメンを指すわけではないように、地名と料理をくっつけた語には、常に『いや俺の知っている札幌ラーメンはバターが入る!』とか『うちの近くの行列店は塩が売りだ!』という有難いご指摘を受ける危険をはらんでいます。chettinad chickenとかもそうですね。

今回作るビリヤニの特徴としては、米を茹でずに炊いて、それを別に作ったカレーと層状にして蒸らすところです。あとは、カレーリーフが入るところも、ちょっと珍しいかもしれません。というのも、そもそもビリヤニはムスリム料理でして、その点で、カレーリーフとの結びつきは弱いように思われます。そういう意味では、今回のビリヤニは、ローカルなビリヤニかもしれません。それと、本来は、カイマライスという粒の小さい米を使いたいところですが、入手性が非常に悪いため、バスマティライスを使います

料理教室では、海老ビリヤニ以外に、下記の3品を作ります。

・マイソールラッサム mysore rasam

マイソールというのは地名です。マイソールのラッサムです。地名ビリヤニに地名ラッサムです。そうです、節操がありません。スパイスとダルが多めに入った、派手な味のラッサムです。ビリヤニにかけて食べるより、スープ的にそのまま食べたほうが良い気がします。

・ゴーヤとポテトのサブジ aloo karela

ゴーヤと芋を炒めたものです。つかうスパイスを絞って、地味な味にします。なぜか完成品の写真が無いので、途中の写真です。ここからもう少し炒めます。

・ライタ

ヨーグルトサラダです。ビリヤニと一緒に供される定番です。ライタも色々な種類があるようですが、今回は、玉ねぎを切ってヨーグルト和えました!以上!というような、雑なかんじで仕上げます。相変わらずキュウリは入りません。私の個人的な好みです。

海老ビリヤニのレシピ (6人分)

作り方は、ざっくりいうと、このような流れです。

①エビカレーを作る

出来るだけ水分の少ない、いため物に近いカレーを作ります。味は濃いめ。

②米をギーと一緒に炊いてギーライスを作る

きもち硬めに仕上げます。油はしっかり使います。

③重ねて蒸らす

重ねることで一体感が出て云々、です。ほぼ、気持ちです。

 

もうすこし細かく工程を分けてみます。

 

ニンニクと生姜のペーストを作る

海老をマリネする

ビリヤニマサラを作る

フライドオニオンを作る

マリネした海老を焼く

エビカレーを作る

鍋にスパイスとギー入りのお湯を沸かす

米を炊く

米とエビカレーを層状にして蒸らす

 

では、作っていきます。

 

ニンニクと生姜のペーストを作る

下準備が3つあります。ニンニクと生姜のペースト、GGペーストを作ることと、海老のマリネ、そしてフライドオニオンを作ること、です。

ニンニクと、それと同量の生姜を、ミキサーなどでペーストにします。そのままでは回らないので、サラダ油を適当量加えます。そのうち大さじ2を海老のマリネに使い、残りをエビカレーに使います。

市販のGGペーストがある方は、それを使っても良いです。もしくは、すりおろしたニンニクと生姜でも良いです。

・にんにく——12かけ

・生姜——ニンニクと同量

・サラダ油——適量

海老をマリネする

解凍した海老をボールに入れ、マリネ用の材料を加えてよく混ぜ、1時間ほど放っておきます。今回は、三分間クッキング方式を採用します。海老は、ちょっと大きめのむきエビを使います。カップヌードルみたいなのは駄目です。いや、実を言うと、小エビをたっぷりつかうとおいしいのですが、一般的には大きめの方が喜ばれるので、大きめのを使うと良いと思います。

・冷凍のむき海老——600g

・ターメリック——小さじ1/2 

・チリパウダー——小さじ1

・パプリカパウダー——大さじ1

・レモン汁——大さじ2

・塩——小さじ1/4

・ニンニクと生姜のペースト——大さじ2

・サラダ油——大さじ1

 

ビリヤニマサラを作る

ビリヤニマサラ、というと大仰ですが、ただスパイスを適当に塩梅して粉末にするだけです。使うスパイスは何でも良いと思うのですが、ハイデラバーディほど華やかにはしない方が良いかな、という気がします。今回は、ブラックペッパーとシナモンを強めにします。あとフェヌグリークも入れます。他に使いたいスパイスがあれば、大体何を入れても大丈夫だとは思います。

・クミン——小さじ1/2

・ブラックペッパー——小さじ1.5

・シナモン——砕いたものを小さじ1/2

・フェヌグリーク——小さじ1/4

・フェンネル——小さじ1/4

・クローブ——小さじ1/4

・グリーンカルダモン——小さじ1/4

 

フライドオニオンを作る

大きめのフライパンでフライドオニオンを作ります。多めの油で揚げ焼きにします。玉ねぎは、新玉ねぎだと水が多すぎるので、古いものを使ってください。鍋にサラダ油を熱して、玉ねぎを入れます。火加減は中火から強火です。時々かき混ぜて、均一に火が通るようにします。きつね色になってきたら火を止め引き揚げます。余熱で色が濃くなるので、すこし早いかなくらいで引き揚げます。残った油はそのままにしておきます。

油で揚げてつくるよりも、この作り方が安定しやすいと思います。揚げて作るほうが、より完璧な仕上がりにはなるのですが、タイミングが難しいのと、玉ねぎの切り方も神経を使います。揚げ焼きの方が、ゆっくり火が通るので、適当にやってもなんとかなります。サラダ油は、テフロン鍋であれば1/2cupもいらないかもしれません。鉄やステンレスだと、1cupほど必要かもしれません。

・玉ねぎ——1個(きれいな薄切りにする)

・サラダ油——1/2cup(鍋の材質によって加減する)

 

海老を焼く

次に、マリネしておいた海老を焼きます。焼く、とは言っても、水分が多いので、油で煮るようになり、焼き目はつかないと思います。焼き目好きの方は、海老を数回に分けて焼くか、大きなフライパンを使ってください。このビリヤニの味の構成としては、とくに焼き味は必要ない気もします。何故先にエビを焼くかというと、水分の少ないカレーを作るためです。玉ねぎやトマトを炒めたところに生のエビを投入すると、びしゃびしゃになって煮詰めるのが大変になります。エビにも火が通り過ぎますし。

海老に火が通って丸まって来たら、取り出してボールに戻します。念入りに焼く必要はありません。その鍋でそのまま、カレーを作ります。

エビカレーを作る

玉ねぎを炒めて、火が通って柔らかくなったら、にんにくと生姜のペーストを加えます。香りが出てきたら、青唐辛子とトマト、塩を加え、水分を飛ばすように炒めます。このとき、海老の入ったボールのグレイビーを、適宜かけながら炒めていきます。最終的に水分の少ない仕上がりにするためです。カレーというより、炒めものに近いです。

トマトが煮崩れてペースト状になったらカレーリーフとビリヤニマサラを加えます。かき混ぜながらすこし炒めて馴染ませます。エビカレーの出来上がりです。

途中で、バスマティライス4cupを水に浸けておきます。20分浸けてザルに揚げ、10分後に炊きます。

・玉ねぎ——中くらいの1個(繊維を断つように薄切り)

・GGペースト——残り全部

・トマト——小さいものを2個(みじん切り)

・青唐辛子——3本(みじん切り)

・カレーリーフ——20枚くらい

・塩——小さじ2

・ビリヤニマサラ

 

鍋にスパイスとギー入りのお湯を沸かす

大きめの鍋に水と塩、ギー、スパイス、サラダ油を入れて沸かします。

・水——1300ml

・ギー——大さじ3

・サラダ油——大さじ2

・塩——小さじ2弱

・シナモン——15cmくらい

・グリーンカルダモン——6粒

・クローブ——10粒

・ブラックペッパー——小さじ1/2

水の量は、つかう鍋や米によってかなり変わってきます。この量は、気密性の高い鍋で炊く場合ですので、あと100mlから200ml足しても良いと思います。

ギーは、もっと増やしても良いです。テカテカになるくらい入れても良いです。サラダ油を足しているのは、ギーだけだとちょっと重たくなるからです。それもお好みで加減してください。

また、米が4cupで、日本米でいうと8合くらいの量になります。お気をつけください。もしくは半量で作ってください。鍋は、ステンレス製のダッチオーブンを使いました。12インチの物を使っています。おすすめです。このリンクから買うと、わたくしに数十円入るみたいです。お気をつけください。

米を炊く

お湯が沸いたら、バスマティライスを投入します。20分水に浸けてザルに揚げ、10分間置いたものです。つかっているバスマティライスは、Lal qilla majesticです。

強火で加熱していくと、どんどん水が減っていきます。そのまま強火で加熱して液面が米の面より下がるくらいまでになったら蓋をして火を弱めます。8分ほどで、火を止めます。ふたを開けて食べてみて、硬ければ蓋をして蒸らします。この段階では、すこし硬めかな、くらいでオッケーです。ただ、芯が残るくらいだと、良くないです。ちゃんと蒸らしましょう。

より一般的なレシピでは、スパイスを油で炒めてから米を投入してさらに炒め、そこにお湯を注ぎます。そのようにしても良いのですが、米を炒めると崩れやすく、表面が荒れてしまうことがあるので、今回は、このようなやり方にしています。

また、ここにカレーリーフを投入すると、より全体がカレーリーフっぽくなります。おすすめです。

・バスマティライス——4cup

 

米とエビカレーを層状にして蒸らす

さあ、いかにもビリヤニらしいこの工程ですが、意味があるのかと落ち着いて考えると、ちょっと悩んでしまいます。チキンであれば、チキン味のグレイビーをある程度の量作ることができ、それでもって半茹での米を仕上げることで味の一体感が云々、と言えます。ところが海老は、あんまり出汁がとれません(有頭海老でスープをとれば別ですが)。なので、ねっとりとした少な目グレイビーのカレーにしているのです。ということで、この工程は、ほぼ、気持ちです。それと、今回のようなタイプのビリヤニは、米がしっとりとしてそのまま食べてもおいしいので、無理にカレーとの一体感を演出する必要があるかというと、また難しいところです。かえって、米と肉とのメリハリがなく全体が同じ味になってしまい、飽きが来る、という考えもあります。やはり、ハイデラバーディとは、おいしさのタイプが違う気がするのです。

お客様がケララで参加した料理教室では、ボールの中でカレーと米をざっくり混ぜていたらしく、まあそれでも問題ないよな、と思います。

長くなりました。

炊けた米の半量を取り出します。無理にかき混ぜて均一にしようとすると、米が崩れてしまうので、そっと上半分を取った方が良いと思います。

エビカレーを温めなおしてから、米の上に全部のせます。その上から、作っておいたフライドオニオンの半量を散らします。

さらに、取り出しておいた米を重ねます。残りのフライドオニオンを振りかけます。

蓋をして、弱火で加熱します。5分程度です。温めなおす、くらいの感覚です。

ふたを開けたら、あまりかき混ぜないようにして盛りつけます。

これでビリヤニは完成です。

 

レシピまとめ

最後に、ビリヤニと副菜のレシピをまとめておきます。副菜のコツとかそのあたりは、もう書く気力が残っていないので書きません。

海老ビリヤニ

●ニンニクと生姜のペースト

・にんにく——12かけ

・生姜——ニンニクと同量

・サラダ油——適量

●ビリヤニマサラ用

・クミン——小さじ1/2

・ブラックペッパー——小さじ1.5

・シナモン——砕いたものを小さじ1/2

・フェヌグリーク——小さじ1/4

・フェンネル——小さじ1/4

・クローブ——小さじ1/4

・グリーンカルダモン——小さじ1/4

●フライドオニオン用

・玉ねぎ——1個(繊維に沿って、綺麗にうす切り)

・サラダ油——1/2cup

●エビマリネ用

・冷凍のむき海老——600g

・ターメリック——小さじ1/2 

・チリパウダー——小さじ1

・パプリカパウダー——大さじ1

・レモン汁——大さじ2

・塩——小さじ1/4

・ニンニクと生姜のペースト——大さじ2

・サラダ油——大さじ1

●エビカレー用

・玉ねぎ——中くらいの1個(繊維を断つように薄切り)

・GGペースト——残り全部

・トマト——小さいものを2個(みじん切り)

・青唐辛子——3本(みじん切り)

・カレーリーフ——20枚くらい

・塩——小さじ2

・つくっておいたビリヤニマサラ——全部

●ギーライス用

・バスマティライス——4cup

・水——1300ml

・ギー——大さじ3

・サラダ油——大さじ1

・塩——小さじ2弱

・シナモン——15cmくらい

・グリーンカルダモン——6粒

・クローブ——10粒

・ブラックペッパー——小さじ1/2

①ニンニクと生姜はサラダ油と一緒にミキサーでペーストにする

②ビリヤニマサラ用のスパイスを、ミルで粉砕する

③海老を一時間くらいマリネする

④フライパンにサラダ油を熱してうす切りにした玉ねぎを炒め、フライドオニオンを作る

⑤残った油で海老を焼く。火が通ったらボールに戻す

⑥そのままの鍋でエビカレーを作る。玉ねぎを炒めて火が通ったら、GGペーストを加える。香りが出たら、トマトと青唐辛子、塩を加えて、トマトがつぶれるまで炒める。カレーリーフとビリヤニマサラを加えて、なじむまで少し炒める。ぽてっとして、水分の少ないカレーにする。

⑦大鍋にギ―ライス用の水、油、スパイス、塩、を入れて沸騰させる。米を投入して、そのまま強火で加熱する。液面が米の面よりも下がったら蓋をして、弱火で8分ほど加熱する。ふたを開けて、芯が残っていれば蓋をして蒸らす。硬めであればオッケー。

⑧米の上半分を取り出し、そこに、温めなおしたエビカレーを重ねる。フライドオニオンの半量を散らす。米の残り半分を重ね、残りのフライドオニオンを散らす。蓋をして弱火で5分ほど加熱する

長い!!長いよ!!でも実際に見たらそこまで複雑じゃないよ!!

 

マイソールラッサムmysore rasam

●トゥールダル——1/2cup

●水——800ml

●ターメリック——小さじ1/4

●スパイスペースト用

○サラダ油——大さじ2

○チャナダル——小さじ2

○コリアンダーシード——大さじ1

○クミンシード——小さじ1

○ブラックペッパー——小さじ1

○ホールチリ——6本(手でこまかく千切っておく)

○ココナッツシュレッド——大さじ1

○水——100ml

●タマリンドペースト——大さじ5

●水——600ml

●塩——小さじ2今日

●ヒング——ふた振り

●カレーリーフ——10枚くらい

●テンパリング用

○サラダ油——小さじ2

○マスタードシード——小さじ1

①トゥールダルはざっと洗って、水、ターメリック、と圧力鍋に入れる。サラダ油ひとたらし(分量外)を加えて蓋をし、火にかける。圧力がかかったら弱火にし、3分間にて火を止める。

②スパイスペーストを作る。鍋にサラダ油を熱し、チャナダルを入れる。軽く色づいたらコリアンダシード、クミンシード、ブラックペッパーを入れ、香りが出てきたらホールチリをちぎって加える。ココナッツシュレッドと水を入れて鍋の温度を下げる。冷めたらミキサーなどで、粗めのペーストにする。

③タマリンドペースト、水、塩、ヒング、カレーリーフをすべて鍋に入れて火にかけ、沸いたら煮崩したトゥールダルを加える。再び沸いたら火を弱め、スパイスペストを加えてそのまま弱火で3分ほど煮込む。

④テンパリングをする。別の鍋にサラダ油を熱し、マスタードシードを入れる。8割くらい弾けたら火を止めて、ラッサムの入っている鍋に、スパイスと油をじゃっとかける。あれば、細かめに刻んだコリアンダーリーフを最後に入れる。

 

ゴーヤとポテトのサブジ Aloo karela

・ゴーヤ——1本(縦半分にして種ごと薄切り)

・メークイン——3個(拍子切り)

・玉ねぎ——1/4個(繊維に沿ってうす切り)

・サラダ油——1/2cup

・ターメリック——小さじ1/4

・チリパウダー——小さじ1/2

・塩——小さじ1

①鍋にサラダ油を熱し、玉ねぎを炒める。しんなりしたらメークインを加えて炒める。半分くらい火が通ったらゴーヤを加え、ざっとまぜてから、塩、ターメリック、チリパウダーを加える。そのままゴーヤが柔らかくなってメークインに火が通るまで炒める

 

●かなり素っ気ない仕上がりなので、お好みでスパイスを加えても良いです。クミン、マスタード、ガラムマサラ、などです。最後にレモンを振りかけても良いです。

●ゴーヤを素揚げするようにたっぷりの油で炒めて取り出し、つぎに芋を揚げ焼きにして……という作り方もあります。

●芋が崩れるようなタイプもおいしいです。

 

ライタ

・ヨーグルト——2cupくらい

・玉ねぎ——1/2個(うす切り)

・トマト——1/2個くらい(ざく切り)

・水——1/2cup

・塩——小さじ1/4

・レモン汁——小さじ2

①材料をすべて混ぜ合わせる。以上。

 

●玉ねぎをヨーグルトで和えたもの、という仕上がりです。

●キュウリを加えても良いです

●塩やレモン、水の量は、適当に塩梅してください

 

蕪と芋のサブジ

・カブ——2個(小さめの乱切り)

・メークイン—–2個(小さめの乱切り)

・サラダ油——大さじ2

・クミン——小さじ1

・ターメリック——小さじ1/2

・チリパウダー——小さじ1/4

・青唐辛子——1本(みじん切り)

・塩——小さじ1/2弱

①鍋にサラダ油を熱して、クミンを放り込む。軽く色づいたら火を弱め、ターメリックとチリパウダーを加えて、油となじませる。青唐辛子、メークイン、塩を加えて、2分ほど炒める。蕪を加えてざっと混ぜ、なじんだら水(分量外)を加えて蒸し焼きにする。柔らかくなったら出来上がり。あれば、最後に刻んだコリアンダーリーフを混ぜる。