和食は週一回食べれば十分ですが、ダルなら毎日食べられます。味噌汁替わり、というより、味噌汁以上です。それで、そのときにどんな米を食べるかというと、最近は、日本米とタイ米を半々にして炊いています。
タイ米と言っても、タイ料理屋で出てくる香りの強いジャスミンライスではなくて、カオカオと呼ばれる、中級米です。ミールスに合うので、南インド屋は、これを湯取りして出していました。お店を急に畳んだものだから、家には大量の豆やタイ米のストックがあって、インド人用の炊き出しならできるくらいです。アルマイトの大鍋で豚汁をつくることはできないのですが、タマリンドと豆の酸っぱい汁物ならたくさん作れます。タイ米はおそらく、40kgくらいあるような気がします。気がします、ということは数えてないんだなあ、とばれますね。いまだに閉店後の荷物の整理が済んでいないのがばれますね。
そう、ダルバートの時にどんな米を食べるか、ということです。タイ米って、ぱさぱさしていて軽いからチャーハンにぴったり、という言説を見かけることがありますが(開高健も書いていたような)、味のない米でチャーハンを作ると、チャーシューやネギ油の味を受け止めきれなくて、なんだかバランスがわるくて物足りないチャーハンになる気がします。ジャスミンライスなら、あれはけっこう重たいので、おいしいカオパットが作れますよね。
ダルバートはというと、結構うまみも塩気も強いので、ただのタイ米だと味気ないし、だからと言って日本米だと、山盛り食べると便秘になりそうです。それに、冷めたご飯を次の朝に温めなおそうとすると、タイ米100%だと、もそもそになっておいしくないのです。おにぎりを作れない、と文句を言っていた米騒動のとき(not江戸時代)は、そりゃあ、おじさんたちは不満だったでしょう。
日本米はいま、ゆめぴりかを食べていて、それとタイ米を同量、さっと洗ってザルにあけて、いつもの二割増しくらいの水で炊くといいかんじです。タイ米はよく水を吸うんですね。
いや、タイ米の方が細長いから、同じ一合でも、みっちり詰まっているのかもしれません。あ、この五人掛けのシート、痩せている人ばかりだから6人座れた、みたいなかんじです。もしくは、兄の高校時代の知り合いで、弟から母親まで、そろって短躯で豊満な一家が住む部屋は、上の方の空間を誰も使っていないくて、すかすかでもったいないな、みたいな、そういうかんじです。
ダルバートだけでなく、日本カレーを食べるときも、このご飯だと、食べこみます。北海道弁でいうところの、食べらさる、です。こう、自然と食べらさるかんじですね。チャーハンにもよいです。ぱらっとしつつ、米の味もあるので丁度良いです。口の中でほどける感じがあるので、鮨のシャリとしても、ちょっとタイ米を混ぜたらよいのではないでしょうか。香りは、気にしない。
今日も台所では豆が煮えています。
我が家にいらしたお客様は、十中八九、豆とご飯を食べさせられます。栗原はるみさんのやさいたっぷりの昼ごはんは、出版社の方にも人気で、わざと昼時めがけてくる人もいるくらいらしいですが、ここの家はもっと殺伐としています。ダル、米、青菜、大根、以上です。
僕の食卓も、お洒落な本にして出版したいです。和食器に盛り付けなおして、地味な色の布を敷いた上に並べたいです。単焦点レンズで撮ってほしいです。出版社のみなさまよろしくお願いします。