六花亭の商品をひとつひとつ食べて紹介「百歳」

百歳、知ってますか?モモトセ、です。

本稿は六花亭の全商品を、ひとつひとつ紹介しようという企画です。こちらの店員Aのブログでも、同じ商品を紹介しています。よろしければそちらもどうぞ。

こういうお菓子です。

ジャンル:洋菓子

手土産にしたら喜ばれる度★★★★☆大体みんな好き

北海道土産としてのわかりやすさ★★☆☆☆おいしいけど北海道らしくはない

六花亭らしさ★★★★★おいいしいけどダサい!

包装の和菓子感★★★★★なんだ和菓子か…あれ?

 

まずは例によって公式サイトをご覧ください

大きさは手のひらに載るくらいです。このお皿が小さいのです。値段は、ひとつ125円です。

笹船みたいなかたちのパイ生地に、アーモンド粉末の入った、アーモンドケーキ、というのかな、そういうものが入っています。断面を見るとわかりますが、ブラックカランズジャムが入っています。

……ブラックカランズジャム? 調べてみると、なんてことはない、カシスのことです。Blackcurrantです。カタカナで書くとブラックカラント、です。なぜカランズなのか、ちょっとわかりません。Blackcurrant’s jamかとも思いましたが、その場合はアポストロフィ無しで、Black currant jamだと思います。複数形なら多分、カランツですよね。もしかしたら、ネイティブっぽく発音すると、カランズジャムに近いのかもしれません。高校のころ勉強したことを動員して考えてみると、アメリカ英語っぽくするならcurrantの最後のTはほとんど発音しないはずで、そのままjamにつながると、カラン ジャムに聞こえるはずです。半角スペースの部分には、かすかなTが潜んでおり、それに音便がかかって、日本語表記にすると、カランズジャムになるのかもしれません。ちょっと厳しいか。それに同じく高校の参考書知識だと、イギリス英語なら、もうちょっとTを強く言いそうで、それはそれでカランズジャム、に聞こえないもともありません。(母の友人の旦那さんに発音してもらったところ、わりとTを発音していました。サンプル数1なのでなんとも言えませんが)

そう、きっとイギリス人講師に、口頭でBlackcurrant jamだと言われ、それを書き取ったのだと思います。クラーク博士やモース博士のような、お雇い外国人が六花亭の黎明期に居た可能性を示唆しています。いや、そんなことはないですね。

この百歳、おいしいです。おいしいのですが、包装からは、とても想像できないような味です。とても六花亭らしいと思います。食べるとおいしいけど、食べる前はちょっとアレ、という六花亭らしさです。公式によるとイギリス菓子が原型らしいのですが、それが何かは明かされていません。そう、六花亭は控えめなのです。札幌駅すぐ近くに立派な自社ビルがあって、ふきのとうホールという、二階分の高さをとったコンサートもできるホールがありますし、そのビルの六花亭カフェは、晴れた日の昼に行くと、反射した光がワンワンとハウリングを起こすくらいに床も天井も真っ白ですし、店舗では「花、花、はな~~♪はなさく六花てい~~♪」というオリジナル曲を流してはいますが、差し引き控えめなのだと思います。

裏返して原材料を見てみます。バター、小麦粉、アーモンド粉末、卵、砂糖、ブラックカランズジャムと続きます。そう、バターが多いです。量が多いのから表記しないといけないルールなので、一番初めにくるバターが、一番多い材料なのです。たしかに、食べると、しっとりとして、バターっぽいです。くどい一歩手前くらいです。バターもアーモンドも値段が上がっているはずなので、原価が心配です。バターを多く使っている分、砂糖の甘みもけっこうきっちり入っていて、ブラックカランズジャムは、ちゃんと酸っぱいです。僕の好きな味の構成です。

この百歳を食べると僕は、焼きそばパンを想起します。アーモンドケーキは、主役を張れます。土台になれます。そしてパイ生地も、土台になれます。つまり、和食でいう、白いご飯にあたるものが、ふたつ組み合わさっているのです。口に入れたとき、アーモンドケーキのしっとり感に、さらに、もくっとしたパイ生地が加わります。ちょっと野暮ったいです。炭水化物と炭水化物です。パンと焼きそばです。もしくはコロッケとパンです。野暮ったく、そして安心感のある組み合わせです。ブラックカランズジャムは紅ショウガでしょうか。

このように、百歳は、六花亭の中では重めのお菓子です。なので、紅茶なら濃いめに淹れたアッサムかな、と思います。ジャムとのつながりで、ミントティーをたっぷり淹れておいて、がぶがぶ飲むのも良いかもしれません。コーヒーももちろんいけます。ほうじ茶や緑茶は、ちょっと違うかな、と思いますが、そこは六花亭、原材料のうしろのほうに、ちゃんとみりんが潜んでいます。みりんさえひとたらししておけば、安心してほうじ茶を飲めます。大丈夫です。お茶請けとして手土産にするのにとても良いです。パイ生地があるので手で食べてもべたつきません。ただし、パイ生地が崩れやすいので気をつけてください。

北海道土産にするには、北海道要素が足りないのですが、ある程度好みを把握している人にあげるのなら、なんの問題もないと思います。六花亭レベル高いな、とかんじること請け合いです。

ということで、「百歳」の紹介でした。おすすめです。