7つのスパイスを揃えて始める、南インド料理

ブラウンマスタードシード

インド料理といえば、スパイスです。南インド料理では、スパイスは、少ない種類を、控えめにつかうのが基本です。

そこで、7つのスパイスを揃えることで、かなりの南インド料理作ることができるということを、述べていきます。

スパイスをそろえるのが面倒、という方は、ぜひお読みください。スパイスは、計2000円くらいで揃います。

必要なスパイスは7つ+α

下記の7つのスパイスで、写真のミールスが出来上がります。

・ブラウンマスタード

・クミン

・ブラックペッパー

・フェネグリーク

・ホールチリ

・コリアンダーシード

・ターメリック

ある日のミールス

カレーごとに、使っているスパイスを一覧にしました。左端から時計回りに、

オーラン マスタード
ダール

ターメリック、クミン、

ホールチリ

サンバル

ターメリック、マスタード、

クミン、コリアンダー、

フェネグリーク、ブラックペッパー、

ホールチリ、(ヒング)

ラッサム

マスタード、クミン、

ブラックペッパー、ホールチリ

冬瓜のプリセリ

マスタード、ターメリック、

クミン、フェネグリーク、

ホールチリ

ポテトロースト ターメリック、(チリパウダー)
ヨーグルト なし
バナナのデザート なし

※ヒングはなくても大丈夫です。チリパウダーは、ホールチリで代用できます。

このように、7つのスパイスだけで、かなりの料理をつくることができます。このサイトで紹介するレシピでは、ほかのスパイスも使っていますが、この7つ以外を無視して作っても、問題はありません

ただし、動物性の食材を使うときは、その限りではありません。チキンカレー、ビリヤニ、チャイ、などです。

スパイスとしては、この7つで良いのですが、特殊な食材があと2つありますので、それと合わせて、各スパイスの解説をしていきます。

各スパイスを解説

ブラウンマスタードシード

ブラウンマスタード

ブラウンマスタード 

南インド料理というと、よく黒い粒粒が浮かんでいます。それがこれです。

基本的には、熱した油で弾けさせてから、カレーにジャッと加えます(テンパリングといいます)。味としては、苦みと、香ばしさです。それほど香りません。他には、パチャディを作るときは、ココナッツと一緒にペーストにすることで辛みを出すのに使います。どちらかというと、野菜料理に使うイメージです。

イエローマスタードというのも存在しますが、基本的にはこちらを使います。挽かれていないホールの状態で売られています。ホールのものがあればそれで十分です。

クミン

クミン

クミン

インド全域でよく使われるスパイスです。マスタードのようにテンパリングでも、挽いて使っても、そのままかじったり、チーズに振りかけても、と汎用性の高いスパイスです。肉にも野菜にも合います。南インドでは、ココナッツ、青唐辛子と一緒にペーストにして使うことが多いです。

味も香りも強いので、使いすぎると、全部がクミン味になってしまいます。とくに、クミンとニンニクを前面に出すと、南インドらしさが失われてしまいがちです。

粉末になった、クミンパウダーも売っていますが、挽いていないホールだけで十分です。

ブラックペッパー 

ブラックペッパー

ブラックペッパー

言わずと知れた黒胡椒です。細かく挽くと辛くなり、粗く挽くと華やかさが強く出ます。いわゆるカレーらしい味を出すために、クミン、フェネグリークと合わせて使うことがあります。ケララのカーランやクートゥーカリなどです。

肉料理との相性も良いです。トマト玉ねぎニンニク等とチキンを炒めて、粗く挽いたブラックペッパーを加えると、それで「chicken pepper roast」というカレーになります。

 

 

フェネグリーク

フェネグリーク

フェネグリーク

扱いのすこし難しいスパイスです。強い苦みがあり、熱した油に入れると、苦みが和らぎ甘い香りがします。また、焦げやすく、焦がすと、とても苦くなります。テンパリングにつかったり、先述のように、細かいパウダーにしてもつかいます。日本のカレー粉には、必ず入っています。

フェネグリーク単体を強く出したカレーは、ほとんどありませんが、なくてはならないスパイスです。

一度に使う量が少ないため、一度買うと、なかなか無くなりません。香りも飛びにくいので、保管しやすいです。パウダーにしたものも売られていますが、ホールのものだけで良いです。ちなみに「メティ」と表記することもあり、「カスリメティ」というのは、フェネグリークの葉の粉末で、これを肉のカレーに入れると、お店の味になります。ムスリムの味です。

 

●ホールチリ

ホールチリ

ホールチリ

挽いていない唐辛子です。ペーストにしたり、テンパリングしたり、主に香りづけに使います。唐辛子というと辛みのイメージですが、辛みだけでなく、うまみと香りがあるのです。また、見た目が良いので、赤色が欲しい時に多めに入れるとお店っぽくなります。

辛みを出す時には、粉末になったチリパウダーを使います。粗く挽いた「チリコルサ」というのも売っていますが、とくに必要ありません。

 

 

●コリアンダーシード

コリアンダーシード

コリアンダーシード

南インドにおける主な使い道は、サンバルです。花のような華やかな香りがします。他には、「morkuzhamb」というヨーグルトカレーに使うこともあります。

挽いて使うこともありますが、レシピで「コリアンダーパウダー」とあるところを、コリアンダーシードを挽いて代用することは、あまりお勧めできません。香りが強くなりすぎるからです。

プランターや庭に播くと、コリアンダリーフ、つまりパクチーができます。プランターより、直播のほうが良く生えるようです。

 

●ターメリック

ターメリック

ターメリック

黄色みをつけるスパイスです。とても苦いので、入れる量を間違えると悲惨なことになります。また、脂溶性で溶けにくいので、入れた後はしっかりと煮込む必要があります。とくに野菜のカレーでは、量は少なめにします。

肉を柔らかくする効果もあるとのことで、肉の下味付けの時に、よく使われます。

 

 

 

●タマリンド(+α その1)

タマリンド

タマリンド

酸味づけにつかいます。南インド料理の特徴の一つに、このタマリンドをつかうことが挙げられるくらいに重要なものです。南インド屋では、基本的にサンバルとラッサムに使います。

このままでは使いにくいので、下記の手順で、使いやすくします

1.タマリンドを3倍程度の量のぬるま湯に浸し、ふやけたところでよく揉みしだく

2.ザルか何かで漉し、「液状の部分」と「筋と莢の部分」とに分けて保管する

「液状の部分」を、サンバルと、味の調整用に、「筋と莢の部分」をラッサムに使います。

瓶詰のタマリンドペーストも売っていますが、塊になったタマリンドバーを使います。ペーストの方は、塩や砂糖、酸味料が添加されているので、使いにくいです。

●ココナッツシュレッド(+α その2)

ココナッツシュレッド

ココナッツシュレッド

ココナッツを細長く削ったものです。そのままポリヤルという、野菜のココナッツ炒めにつかったり、ペーストにしたりして使います。ココナッツもまた、南インド料理を特徴づけるものです。

ココナッツファインという、より細かく削ったものもあります。ココナッツファインは味が抜けているので、ぜひシュレッドを使ってください。ココナッツがそこらに生えている地域にお住まいの方は、ぜひ生のものを削ってつかってください。

スパイスに、タマリンドとココナッツシュレッドを合わせても、3000円程度で揃えることができます。 

 

もっと揃えたくなったときは

そうですね、きっとスパイス好きの皆様は、とても7つでは足りないかと思います。よくわかります。

そういう時には、下の図のものを揃えてください。既述の7つと合わせて、必要なスパイスを一覧にしました。大体優先順位で並べてありますが、厳密なものではありません。最下段から揃えて、眺めてさすって、にやにやするのも楽しいものです。

よく使うもの

・ブラウンマスタード ・クミン

・ブラックペッパー ・フェネグリーク

・ホールチリ ・コリアンダーシード

・ターメリック ・コリアンダーパウダー

・チリパウダー 

できれば揃えたいもの

・フェンネル ・カルダモン

・クローブ  ・ヒング

・シナモンホール(notパウダー)

・パプリカパウダー ・スターアニス 

・生のカレーリーフ

たまに使うもの

・ローリエ  ・メースパウダー(ナツメグ)

・ケウラウォータ ・カスリメティ

・ブラウンカルダモン ・サフラン

観賞用

・固形ヒング ・カシミールチリ

・カルパシ などなど